調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo

調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

在庫不足時の対処方法と備蓄基準

 

sponsored Link

みなさんの薬局では、調剤すべき医薬品の在庫が不足した場合にどのような対処をしていますか?

 

一般的には対処の段階としては、

  1. 患者さんへ在庫不足を伝える
  2. 不足のままひとまず薬剤交付する
  3. 不足薬の手配と交付
  4. 次回分備蓄の検討

のような順で対応していくことになると思います。

 

今回は、私の薬局の新人スタッフ向けのつもりでこの対処方法をまとめてみます。

 

 

患者さんへ在庫不足を伝える

 

患者さんとのトラブルを防ぐためにも重要ですね。

基本的には、処方せんを受付けて、在庫の有無を確認して、不足が判明すれば速やかに患者さんに伝える、ことが重要です。

 

よくあるのが、処方せんを受付スタッフが受取り、数人の患者さんの投薬が終わった後に、やっとその患者さんの調剤(ピッキング)を始めたら在庫不足が判明して、それから患者さんに伝えたら「だったら待たせる前に言ってくれよ」とお叱りを受けるパターンです。

 

なので、受付スタッフには「普段見かけない薬剤名がないか」や、「あまり見かけない医療機関からの処方せん」かどうかを常に気にしておくように、と周知・教育しておかないといけません。

 

そして、肝心の「伝え方」ですが、

「申し訳ございません。ただ今〇〇という薬の在庫が〇日分不足となります。〇時間程度で手配可能の見込みですが、ひとまず、ご用意できる分だけお渡しさせていただき、不足分は後程(後日)お届け又は郵送などさせていただいてもよろしいでしょうか。」

更に不足理由が明確な場合、「現在取扱いがなかったので」とか「今回薬が変更となり備蓄がなく」、「今回処方日数が増えていたので」「来局予定から〇日くらい早く来局されたため」などを言い訳じみないようにサラッと添えるのも、患者さんをイラっとさせないために大事です。

 

また、手配時間については、その不足薬剤が一般的にはメジャーな薬剤で、だいたい問屋も在庫してるだろうと思われる場合以外は、「問屋に在庫があるか確認しますので少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか。」と時間をもらって問屋の在庫を確認しましょう。

 

不足のままひとまず薬剤交付する

 

処方数量と、現時点での交付数量及び不足数量を確認し必ず何かしらメモ書きにしておきます。

交付の際に、お届け希望か、郵送でいいのか、患者さんが受取りに来てくれるか、などもメモに記しておきましょう。

 

不足薬がある場合、服薬指導が不足理由の説明やお届けについての確認などに費やされがちです。しっかりと必要な服薬指導をすることを心がけましょう。

 

不足薬の手配と交付

「不足のうち、〇錠交付するか」ですが、

  • その薬剤を他に使っている人がいるかどうか
  • 使っているなら次の来局予定と使用量見込みはどうか

を確認する必要があります。

他に使っている人がいて、その人が「今日あたり来局ありそう」かどうか、で備蓄している全部を交付するか、一部は残しておかないとヤバいのかを判断します。

(「今日あたり来局ありそう」でなければ、備蓄全量を交付しても構いません)

 

投薬後速やかに、あるいは投薬までの間に別のスタッフが問屋に発注をします。この時、遅くても何時までに必要なのかを明確に伝えることが重要です。問屋に変に遠慮してしまうと、患者さんに迷惑をかけることにつながりますので、遠慮せず正確に伝えましょう。(納品時に謝意を伝えることも忘れずに)

 

当日中にお届の必要がある場合は、薬局内でその必要性について情報共有しておくことと、◯時までに届かない場合は問屋に連絡するなど臨機応変な対応が必要です。

 

交付時の不足メモに従って、不足薬剤の数量・薬袋などを準備確認し、お届や郵送などの用意をします。

 

次回分備蓄の検討

 薬が不足してしまうと、一気に仕事が増えてしまいます。仕事が増えるということは、ミスの元にもなりかねません。だから欠品をしない在庫管理が重要になってきます。

 

備蓄の要素は3つあります。

  • どの薬剤を
  • どれくらいの期間
  • どれくらいの量

備蓄するかです。会社によってはその基準を定めているところもあるでしょう。しかし、大手の調剤薬局やドラッグストアでも、その基準を明確に定められている会社はあまりないのが現実です。

 

本部側は在庫を搾れというけど、具体的な指示は出さないという会社は多いでしょう。

実は具体的な指示を出さない、のではなく、出せない、あるいは出し方を知らない(分からない)のです。

具体的指示を出すためには、備蓄の基準を定める必要があります。

そしてその基準があれば、基準通りに備蓄していれば、新患その他で備蓄がない場合は不可抗力と割り切ることができます。現場ではこの「割り切り」が精神衛生上とても重要なことなのです。

 

前職のドラッグストアで在庫管理を任された時に、全店で備蓄基準を決めたことがあります。それは、

一度処方されたことのある薬剤は、同じ量を3か月間備蓄する

というものでした。

「同じ患者さんが、同じ処方内容で3か月以内に来局された場合には必ず備蓄がある」という品揃えを目指しました。

 

この基準があれば、3ヶ月経っても再来局がなかった、他の患者さんにも使わなかった、という薬剤は過剰在庫品として返品や他店舗への移動など、過剰在庫処理の対象とします。

 

繰り返しますが、欠品は

  • リスク管理上の危険因子
  • 患者満足度の悪化要因
  • 服薬指導の質低下
  • スタッフのモチベーション低下

など、ほとんど何も良いことはありません。

防げる欠品は日常の発注業務で防ぎましょう!!