以前の記事では調剤基本料関連についてまとめました。
令和8年度(2026年)調剤報酬改定を読み解く!①調剤基本料関連 - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo
今回は調剤薬局の収益に直結する、基本料の「加算」についてまとめてみます。
後発医薬品調剤体制加算⇒地域支援・医薬品供給対応体制加算1へ
2024年10月から長期収載品に係る選定療養費制度が導入され、みるみる後発医薬品の調剤割合が上昇しました。中医協での議論では、「後発医薬品調剤体制加算の役割は終わった」みたいな論調もあり、何かしらの衣替えが必要だったという事だと思います。
後発医薬品調剤率;80%/85%/90%⇒85%
これまで3区分だった後発医薬品調剤率が1区分のみになりました。
さらにこの「地域支援・医薬品供給対応体制加算1」が次に解説する同加算2~5の要件になりました。
今までは後発医薬品調剤体制加算を算定できていなくても、地域支援体制加算を算定することは可能でしたが、今回の改定では後発医薬品調剤率が85%以上でないと、地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5が算定できないことになりました。
現在、後発医薬品調剤体制加算1(80%以上)を算定して地域支援体制加算を算定している薬局はピンチです。が、後述の経過措置があるため慌てなくても大丈夫ですが、26年5月~27年4月までの実績で85%以上になるようにしなければなりません。
そして、現在、後発医薬品調剤体制加算算定せずに地域支援体制加算を算定している薬局は経過措置もないため大ピンチです。
ですが、26年6月には算定できなくてもその後3か月実績で85%をクリアできれば届け出ができます!(最速3~5月の実績で6月に届出、7月から翌5月末まで算定)
点数;21点/28点/30点⇒27点
点数はこれまでの85%以上(28点)をベースにすると、1点減の27点に設定されました。これまで後発品調剤に懸命に取り組んで90%以上をキープしてきた薬局にとっては、残念な配点(3点減)となりましたね。。。
地域医療への貢献に係る十分な体制
地域支援・医薬品供給対応体制加算1を算定するための施設基準は以下の通り。
- 特別調剤基本料Bを算定している保険薬局以外の保険薬局であること。
- 在庫を抑制した結果、他の保険薬局からの分譲を頻繁に受けざるを得ない状況や、卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を行わざるを得ない状況に陥らないよう、医薬品の安定供給に向けた計画的な調達や在庫管理を行うこと。
- 直近1年間において、他の保険薬局等に医薬品を分譲した実績があること。また、分譲を行った際には分譲に係る伝票又は医療用医薬品の譲渡書を2年間保存すること。ただし、同一グループの保険薬局への医薬品の分譲は、当該実績に含めない。(⇒分譲後2年間保存)
- 医薬品の供給不安等により、患者が持参した処方箋に記載された医薬品が入手困難な場合は、当該医薬品の在庫を持つ保険薬局を探し、当該保険薬局に予め連絡して在庫を確認した上で、当該患者に当該保険薬局を案内したり、処方医に処方内容の変更可否を照会したりする等、適切に対応すること。(⇒別紙様式4-2を用いること。また、患者から別紙様式4-2を受け取った保険薬局は2年間これを保存すること。)
- 重要供給確保医薬品のうち内用薬及び外用薬であるものについて、1か月分程度は備蓄するよう努めること。(⇒当該保険薬局で直近1年間に調剤した数量から割り出した1か月分の使用数量を備蓄することをいう=調剤しなかったものは備蓄対象外)
- 個々の医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎むこと。また、原則として全ての品目について単品単価交渉とすること。(以下のような交渉は単品単価交渉に該当しない)

- 流通の効率化と安定供給の確保のため、卸売販売業者への頻回配送・休日夜間配送・急配に係る過度な依頼を慎むこと。
- 厳格な温度管理を要する医薬品や、在庫調整を目的とした医薬品等については卸売販売業者への返品を慎むこと。
- 医薬品の流通改善及び安定供給の観点から、地域の保険医療機関や保険薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目についての情報共有や、事前の取り決めを行っておくことが望ましい。
- 直近3月間の当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品の規格単位数量を合算した数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であること。
- 後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示すること。
特別調剤基本料B、後発品調剤割合85%以上、掲示以外の事項については、
- 適切に在庫を管理し、
- 卸に迷惑をかけず、
- 近隣で医薬品を融通して、
- 在庫がなくても患者を放流せず責任持て
ということでしょうか。このうち明確なのは
・医薬品分譲実績は必須で、伝票などは「2年間」保存
・患者を他薬局に紹介した際の様式4-2は「2年間」保存
あとは、そういう方向でやってます、という気持ちがあればOKかと思います。
ただし、「在庫無い場合に患者を放流」しない対応については、真摯に、適切に対応する必要があるでしょう。地域薬局としての「矜持」の問題でもありますし、不適切な対応があれば他薬局には知られてしまいますし、そうなると厚生局に通報される可能性もあり得ます。
また、「単品単価交渉」について共同購入に参加している薬局は、共同購入各団体の見解をしっかり確認する必要があります。
地域支援体制加算1~4⇒地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5へ
地域医療への貢献に係る十分な体制
地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5を算定するための薬局の体制などの要件の変更点は以下の通りです。
- R8.6以降新規開設等薬局;調剤室16㎡以上の面積要件
- 緊急避妊薬の調剤又は販売を含む女性の健康に係る対応
- セルフメディケーション関連機器を設置していること。
- 薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを販売又は提供していないこと。
目新しいものとしては、新規開設薬局の面積要件16㎡以上、セルフメディケーション機器の設置、研究用試薬・検査キットの販売不可などでしょうか。
セルフメディケーション関連機器とは、下記のうち3つ以上の設置が必要
①体重計
②体温計
③血圧測定器
④体組成計(体脂肪率、BMI等を含むもの)
⑤血中酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ)
⑥握力計
⑦骨密度測定器
※①⑥以外は医療機器の承認が必要
簡単に使用できるという観点では、①②③⑤⑥が扱いやすいように思いますし、費用面と設置スペースでは①②⑥あたりが良さそうです。
※Amazonでの費用目安はザックリで①2000円、②1000円、⑥3000円 あたりです
「薬事未承認の研究用試薬・検査サービス」については疑義解釈その3問2で触れられましたが、
公衆衛生の向上及び増進の観点から、
・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)等に抵触するおそれのある、疾病の診断や罹患リスクの判定を行うことができると標榜する研究用試薬又は検査用試薬や、
・医師法等に抵触するおそれのある、疾患の罹患可能性の提示や診断等の医学的判断を行う検査サービス
を指す。
という事になってますが、最近流行りの「尿線虫がんリスク検査」や「薬剤代謝遺伝子検査」などは該当なのか…
重要供給確保医薬品
「特掲診療料の施設基準等…」第92 地域支援・医薬品供給対応体制加算 の1(2)エに
『重要供給確保医薬品のうち内用薬及び外用薬であるものについて、1か月分程度は備蓄するよう努めること。』とあり、更に6(1)に以下のように規定されました。
「1か月分程度は備蓄する」とは、重要供給確保医薬品のうち内用薬又は外用薬の各品目(直近1年間で調剤しなかったものを除く。)について、当該保険薬局で直近1年間(開設から1年に満たない保険薬局については、開設した月からの月数。)に調剤した数量から割り出した1か月分の使用数量を備蓄することをいう。
尚、重要供給確保医薬品は供給確保医薬品のうちA群、B群に指定された医薬品が該当します。供給確保医薬品及び重要供給確保医薬品 別表1・2
経過措置
後発品調剤率に関しての経過措置が設定されています。
令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1、2又は3に係る届出を行っている保険薬局については、令和9年5月31日までの間に限り、1の(3)に規定する要件を満たしているものとする。
経過措置ではないですが、地域支援・医薬品供給対応体制加算2~5の新要件の「調剤室面積が16㎡以上」は令和8年6月以降開局の薬局に適応されます。
なお、開設者の変更などで開設許可を取得し直した場合でも、各厚生局のホームページに公表されている「コード内容別医療機関一覧表」において指定年月日が変更されなければ、遡及指定として扱われるようです。
※M&Aでの許可取得し直しの場合は、一般的にこの「指定年月日」はリセットされます
連携強化加算(5点)
令和6年度と変更なし
バイオ後続品調剤体制加算(新)(50点)
バイオ後続品を調剤し、また患者に適切に説明することができる保険薬局の体制を評価するものであり、バイオ後続品(インスリン製剤を除く。)を調剤した場合に算定することができます。
<算定できるケース>
バイオ医薬品の一般名処方⇒バイオ後続品を調剤
バイオ後続品の銘柄処方⇒当該バイオ後続品を調剤
バイオ先行品・後続品の銘柄処方⇒疑義照会にて別銘柄バイオ後続品を調剤
※バイオ医薬品の銘柄処方については、疑義照会なく他のバイオ医薬品を調剤してはいけません!
※インスリン製剤は対象外です
<施設基準>
★バイオ医薬品の調剤実績において、以下であることが望ましい
- バイオ後続品の存在するバイオ医薬品について、成分ごとに
- バイオ後続品の調剤数 ÷ (バイオ先行品の調剤数+バイオ後続品の調剤数)が80%以上となる成分数(A)
- 薬局で調剤実績のあるバイオ医薬品の「成分数」(B)
- (A)÷(B)が60%以上
あくまで、今回の改定では「望ましい」という要件ですが、医科の一般名処方加算の対象にバイオ医薬品も含まれることになったので、これを機に自店の状況を確認しておきましょう。
★バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨を当該保険薬局の内側及び外側の見えやすい場所に掲示
医療DX推進体制整備加算(月1回10点/8点/6点)⇒電子的調剤情報連携体制整備加算(月1回8点)
★電子処方箋システムによる重複投薬等チェックを行う体制を有することが要件に追加されました。
第95の2 電子的調剤情報連携体制整備加算 1(4)

※現行でも、当日中に電子処方箋管理サービスへの「調剤登録」を行うことが、算定要件であるにも関わらず、一切「調剤登録」の作業を行わない薬局もあります。これらの薬局は、調剤時に患者の診療情報や薬剤情報を閲覧、活用をしていないのでしょう。
改定を機に、算定要件や調剤の流れを確認したいですね。
★レセプト件数ベースのマイナ保険証利用率について
現行の医療DX推進体制整備加算1(70%以上)、2(50%以上)、3(30%以上)⇒ 電子的調剤情報連携体制整備加算30%以上
これまでのDX加算の最低基準になりました。つまりDX加算3を算定していた薬局は何もしなくても2点プラスになり、頑張ってマイナ保険証を推進してきてマイナ保険証利用率が80%を超えていたり、90%に迫ろうとしていた薬局は2点マイナスという、なんとも理不尽な改定内容となっています。
★掲示事項
現行の医療DX加算では令和8年5月31日まで経過措置となっていた、「電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを活用するなど、医療DXに係る取組を実施している保険薬局である。」旨を、6月1日以降は確実に掲示しておく必要があります。
★医療DX加算からの継続事項
上記以外は現行の医療DX加算の要件が引き継がれます。
在宅薬学総合体制加算1・2
在宅薬学総合体制加算1(30点)
在宅患者に対する薬学的管理及び指導を行うにつき必要な体制の整備が要件ですが、今改定では15点⇒30点に点数が上がり、訪問薬剤管理指導関係の実績が年24回⇒48回にハードルが上昇しました。月4回以上の在宅訪問の実績が必要になります。
体制要件としてはおおよそ変更はありません。
- 緊急時等の開局時間以外の時間における在宅業務に対応できる体制
- 緊急時等の対応に係る周知
- 在宅業務の質向上のための研修実施&外部研修の受講
- 医療材料および衛生材料を供給できる体制
- 麻薬小売業者の免許
- かかりつけ薬剤師に係る届出
在宅薬学総合体制加算2(イ100点)(ロ50点)
在宅患者に対する高度な薬学的管理及び指導を行うために必要な体制が整備されており、かつ高度な薬学的管理及び指導に係る十分な実績を有することが要件で、いわゆる個人宅の患者には2イ(100点)を、それ以外の患者には2ロ(50点)を算定します。今改定で個人宅患者に対して50点⇒100点と点数アップになりましたが、要件のハードルが結構上がってます。
《実績要件》
訪問薬剤管理指導関連の実績について次のいずれかを満たすこと
- 個人宅;240回以上、個人宅割合が2割超
- 個人宅;480回以上、個人宅割合が1割超
個人宅最低240回(月20回)、2wごとの訪問が基本だとすると毎月10人の個人宅患者を担当している必要があります。なかなかハードルは高ですね。
一応グラフにしてみました。

次のいずれかを満たす
- 訪問管理指導に係る麻薬管理指導加算;10回以上
- 無菌製剤処理加算;1回以上
- 乳幼児加算及び小児特定加算の合計;6回以上
一般的な薬局で最も現実的なのは麻薬管理指導加算の要件でしょうか。終末期の在宅患者の受け入れが年間に2人ほどあれば10回くらいはすぐに行きそうですが、在宅医との連携が重要ですね。
《体制要件》
常勤換算で薬剤師3名以上
開局時間中は2名以上の薬剤師が常駐し、調剤応需と在宅患者の急変対応が可能
高度管理医療機器販売業の許可
実績要件も厳しいですが、薬剤師の勤務体制もなかなか厳しいように思えますね。以前勤務していた在宅件数の多い薬局でも、隣のクリニックの休診日には薬剤師1名勤務のシフトでした。社員を1名あてがうと、他の日に休ませる必要がでてきて外来が回らなくなるのも困るので、パートに勤務してもらうと時給2,500円として8時間x4日/月=8万円/月の人件費増となります。
ペイするためには2イ(100点)だけでも月80回の算定が必要ですが、実績要件が最低月20回となっています。あとは施設在宅患者で月120回の実績があればやっとペイできる計算です。月2回訪問とすると個人宅10人、施設60人の担当が必要です。
個人宅・施設の実績を伸ばす余地がないなら、在宅薬学総合体制加算2の要件を満たすために安易にシフト増員するのは得策ではなさそうです。
後発医薬品5点減算
変更はありません。調剤基本料の「注8」に規定する保険薬局に該当するものとして、以下を除く後発品調剤率が50%以下(または前年8月1日時点の届け出未報告)の薬局は基本料から5点減算となります。
- 処方箋受付回数が月600回以下
- 先発品変更不可処方箋の受付割合が50%以上
後発品調剤割合の判定は直近3か月の実績で行い、50%以下に該当すれば翌々月から5点減算となります。つまり、6~8月の実績を9月に判定し、50%以下であれば10月から減算となります。(従来の後発医薬品調剤体制加算の届出判定と同様ですね)
前年8月の届け出未報告での減算の場合は、当該報告を行えば翌月から減算はしなくてよくなります。
門前薬局等立地依存減算(15点減算)
以前の記事で触れていますので、確認してください。
令和8年度(2026年)調剤報酬改定を読み解く!①調剤基本料関連 - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo
まとめ
調剤基本料加算をまとめるとこんな感じでしょうか。

最低点は3点となります。