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薬局長目線でポイント解説③:令和2年度(2020年)診療報酬改定

 

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2月7日(金)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

1月29日に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

令和2年度診療報酬改定について

 

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋し、3回に分けて解説します。

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その③の内容・・・

 

【Ⅱ-11 医療におけるICTの利活用

⑤情報通信機器を用いた服薬指導の評価

概要:

  1. 外来患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、薬剤服用歴管理指導料として評価を新設する。
  2. 在宅患者に対するオンライン服薬指導の評価を新設する。

 

点数

  1. (新) 薬剤服用歴管理指導料 4 オンライン服薬指導を行った場合43点(月1回まで)
  2. (新) 在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者オンライン服薬指導料57点(月1回まで)

要件など:

1.薬剤服用歴管理指導料4(外来患者に対して)

[対象患者]

次のいずれにも該当する患者であること。

(1)医科点数表の区分番号A003オンライン診療料に規定する情報通信機器を用いた診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者

(2)原則3月以内に薬剤服用歴管理指導料1又は2を算定した患者

[算定要件]

(1)別に厚生労働大臣が定めるものに対して、オンライン服薬指導を行った場合に、月に1回に限り所定点数を算定する。この場合において、注4から注10までに規定する加算は算定できない

(2)オンライン服薬指導により、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(3)医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(4)オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(5)患者の同意を得た上で、対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(6)オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、やむを得ない事由により、同一の保険薬剤師が対応できない場合には、同一保険薬局内の他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。以下同じ。)の氏名を服薬指導計画に記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ている場合に限り、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

(7)患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、原則として、服薬指導等の内容を手帳に記載すること。

(8) 当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる

(9)医薬品を患者に配送する場合は、医薬品受領の確認を行うこと。

(10)厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号)第31条第1号に該当する場合(以下「特区における離島・へき地の場合」という。)は、次のとおりとする。

ア (3)については、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行

規則及び関連通知に沿って実施すること。

イ (5)については、服薬指導計画を作成することを要しない。

ウ (6)については、他の保険薬剤師が対応しようとする場合には、服薬指導計画以外の文書に当該他の保険薬剤師の氏名を記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ること。

[施設基準]

(1)情報通信機器を用いた服薬指導を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(2)当該保険薬局において、1月当たりの次に掲げるものの算定回数の合計に占める薬剤服用歴管理指導料の4及び在宅患者オンライン服薬指導料の算定回数の割合が1割以下であること。

① 区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料

② 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン服薬指導料を含む。)

2.在宅患者オンライン服薬指導料

[対象患者]

次のいずれにも該当する患者であること。

(1)医科点数表の区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者

(2)保険薬局において区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を月1回のみ算定している患者

[算定要件]

(1)別に厚生労働大臣が定めるものに対して、オンライン服薬指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合に、注1の規定にかかわらず、在宅患者オンライン服薬指導料として57点を算定する。この場合において、保険薬剤師1人につき、週10回に限り算定できる。

(2)在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者オンライン服薬指導料を合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる

(3)オンライン服薬指導により、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(4)医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(5)オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(6)患者の同意を得た上で、対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(7)オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、やむを得ない事由により、同一の保険薬剤師が対応できない場合には、同一保険薬局内の他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。以下同じ。)の氏名を服薬指導計画に記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ている場合に限り、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

(8)訪問診療を行った医師に対して、在宅患者オンライン服薬指導の結果について必要な情報提供を文書で行うこと。

(9)患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、原則として、服薬指導等の内容が手帳に記載されるようにすること。

(10)当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる

(11)医薬品を患者に配送する場合は、医薬品受領の確認を行うこと。

[施設基準]

(1)薬剤服用歴管理指導料の4に係る届出を行った保険薬局であること。

 

解説:<薬機法改定にあわせたオンライン服薬指導の解禁!

 今回驚いたのは、在宅患者に対してもオンライン服薬指導!?ってことですね。日薬委員の反対意見は空しく散りました…

【外来】それはさておきまず外来においては、医科のオンライン診療に基づく処方せんのみ対象で、3月以内に対面での指導を行っていること、対面&オンラインの服薬指導計画を作成することが必要です。また、オンライン指導は当該薬局内で行う=薬剤師の自宅や会社の本部とかでやっちゃだめですよということです。

さらにオンライン服薬指導を担当する薬剤師を決めて、一応予備薬剤師2名までなら対応してもいいですよ、となってます。手帳云々に関する要件は次回対面服薬指導時に実施すればいいのか、3月の説明会を待ちましょう。

個別改定項目の方には記載されていませんが、薬剤服用歴管理指導料4を算定するにあたっては予め施設基準の届出が必要になるようです。また、外来+在宅のオンライン服薬指導の回数が全部の薬歴管理指導料+訪問薬剤管理指導料の1割以下であることも要件です。1月400回受付の薬局でも1月40人に対してオンライン指導ができることになりますので、現時点では特別大きな制約とはならないようです。

近隣医療機関の医師がオンライン診療を行っていれば、段取りを整理して実施すれば算定しやすそうですね。ただ、服薬指導計画を作成とかは、なかなか手間がかかりそうです。その指導計画の内容について細かな規定が設けられるのかなども、3月の説明会待ちですね。

【在宅】次に在宅においてですが、これはあまり現実味がないのではないかと思いますがどうでしょう。高齢だったり一人で薬局に来られないような患者が多いので、その人たちにスマホでビデオ通話というのはなじまない気がしますね。ただ今後は老人施設での薬剤管理指導を2回のうち1回はオンラインで実施するということもありそうですね。

要件についても、医科で「在医総管」を算定しているかどうかをどうやって知るのか?とか、在宅患者訪問薬剤管理指導料を月1回のみ算定とは当月の話なのか、とかいろいろ細かな点で確認したいことがありますね。

※今回の改定は「診療報酬=医療保険」なので、介護保険の居宅療養管理指導に反映されるとしても2021年の介護報酬改定まで待つことになります。

まずは、オンライン指導のためのツールの選定・導入はしっかり進めておきたいところです。薬の発送や代金の徴収をどうするのかも考えないとですね。。

※PayPayやLINE Payとかなら、店舗のQRコードをあらかじめ患者に渡しておけば、オンライン指導でもその場で会計することができるかもしれませんが、ビデオ通話中に同じスマホでPayPayを使ったら画面の確認をどうしたらいいのやら…

流れは、処方箋は医療機関から薬局に送付、薬局からオンライン指導を実施後、薬を患家へ送付、ということです(中医協資料より)

 

【Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 】

⑯ 患者の状態に応じた在宅薬学管理業務の評価

概要:

  1. 緊急時の訪問薬剤管理指導について、医師の求めにより、計画的な訪問薬剤管理指導の対象とはなっていない疾患等に対応するために緊急に患家に訪問し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合について新たな評価を行う。
  2. 経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する場合について、医師の求めなどに応じて薬局が必要な支援等を行った場合について新たな評価を行う。(「Ⅱ-10-②」を参照)

点数:【在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料】

1 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合 500点(変更なし) 

2 (新)1以外の場合 200点 (従来は薬剤服用歴管理指導料を算定)

要件など:

  • 1及び2については、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、1と2を合わせて月4回に限り算定する。

解説:<今までの苦労がやっと報われる!!>

老人施設の患者さんで、定期訪問の翌日に熱発して抗生剤などが処方されお届に行くことなんてざらにありました。その時に算定できるのは薬剤服用歴管理指導料の41点。往復の時間を含めて、薬剤師の人件費と全く合わないななんて思っていました。それが今回、計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患でなくても月4回まで1回200点を算定できるようになります!なんと5倍の評価です!!良かったですね。

しかも介護保険適用の患者さんに対しても、現行でも在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は算定が可能なので、特に施設系の在宅を担当している薬局は増収が見込めそうですね。

ただし算定強化に取り組む薬局は、本社側でしっかり薬剤師の訪問に係る時間と帰店後の報告書作成の時間の確保(=代替要員の確保など)をしっかりやってもらいたいものです。薬機法の改定もありますので、管理薬剤師は積極的に開設者に対し人員補充などの意見具申を文書で行うようにしましょう。

 

【Ⅳ-1後発医薬品やバイオ後続品の使用促進

①薬局における後発医薬品の使用促進

概要:

  1. 後発医薬品調剤体制加算について、調剤数量割合の高い加算に重点を置いた評価とする。
  2. 後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局(現行基準では後発医薬品の調剤数量割合が20%以下)に対する調剤基本料の減算規定について、当該割合の基準を拡大する。

点数:

イ 後発医薬品調剤体制加算1(75%以上)18点 ⇒  15

ロ 後発医薬品調剤体制加算2(80%以上) 22点 (変更なし)

ハ 後発医薬品調剤体制加算3(85%以上) 26点 ⇒  28

後発医薬品非促進減算 20%以下▲2点 ⇒ 40%以下▲2点 ※除外規定・経過措置期間あり

解説:<GE調剤率要件は変わらず点数が変更に>

後発医薬品の普及をなんとしても80%を達成するために、75%以上の加算1が残りましたが、85%以上に配分が大きくなりましたね。

変更不可処方せんに係る調剤数量を分母から除外する、とか、変更不可処方せんの処方箋料を減算するべき、とかいろいろ議論はありましたが、結局今回はそこまでは踏み込まず点数配分を変えることで薬局の底力に期待するということで落ち着いたようですね。結局は後発品の普及は薬局頼みということなのでしょう。

区分1(75%以上)の薬局はマイナス改定ですので、何とか2,3月で80%を目指したいところですね。ただ今から始めてもどうしようもない薬局も多いでしょう。2年後の改定ではそうならないように準備しておきたいものですね。

後発医薬品調剤体制加算も、調剤基本料と同様に薬局の収支を左右する大きな収入源ですので、経営者にはしっかり先手を打ってほしいものです。薬局長としては2年後に向けてそれぞれ+5%を目標にしていくといいでしょう。

 

【Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進】

② 入院時のポリファーマシー解消の推進<医科>

概要:入院前の処方薬の内容に変更、中止等の見直しがあった場合について、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を記載した文書を薬局に対して情報提供を行った場合について、退院時薬剤情報管理指導料の加算を新設する。

 

点数:(新) 退院時薬剤情報連携加算 60

要件など:

  • 入院前の内服薬を変更又は中止した患者について、
  • 患者又はその家族等の同意を得て、
  • 保険医療機関が、保険薬局に対して、その理由や変更後の患者の状況等を文書により提供

解説:<病薬連携の促進>

ここでも病薬連携に関して医科にインセンティブを与えて、連携促進を図りたいということでしょう。点数がついてますので病院から薬局にじゃんじゃんFAXが届くかもしれませんね。突然のFAXに慌てふためかないように薬局側はしっかり心の準備をしておきましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?皆さんの薬局では4月以降増益になりそう(できそう)ですか?

個人的には、国から提示された「患者のための薬局ビジョン」のいいなりになったり振り回されるのは「それでいいのか?」と思っちゃうのですが(東京の役所にいる人に言われたからやるんじゃなくって患者さんと日々接している我々が自ら進化すべく行動したいと思ってます)、厚労省のお役人達がこのビジョンに沿って調剤報酬を組み立てるという構図なので、保険収入を当てにした仕事をしている以上は上手に従わないといけないなと思っています。

今回の改定の全体像は

  • 対物業務に対する評価減
  • チェーン薬局&門前型薬局の評価減
  • 対人業務の評価新設とかかりつけ薬局機能強化・オンライン指導解禁
  • ポリファーマシー解消とGE推進
  • 病薬連携の促進

今までやってきたことが評価された点と、新たな業務が創設された点がありますが、これからこっちの方向に向かいますよということだと思います。

特に前回改定で創設された「服用薬剤調整支援料」など2ndシーズンの加算にはしっかり取り組んで実績を上げていくことが、2年後に向けとても大事なんじゃないかと思いますが皆さんはいかがでしょうか。

 その③おわり。

 

今回の改定で変更となる「点数」についてはこちらのブログでとてもスッキリまとめられていますので、こちらも参考にしていただけたらと思います。

pharmacist.hatenablog.com

 

薬局長目線でポイント解説①

その①の内容・・・

【Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進 】

②情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進

【Ⅱ-1 かかりつけ機能の評価 】

③ 外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

④ かかりつけ薬剤師指導料等の評価

⑤ 同一薬局の利用推進

【Ⅱ-7-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価】

④ 質の高い外来がん化学療法の評価<医科>

⑥ がん患者に対する薬局での薬学的管理等の評価

 

 

薬局長目線でポイント解説②

その②の内容・・・・

【Ⅱ-10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価 】

① 地域医療に貢献する薬局の評価 

② 薬局における対人業務の評価の充実(目玉!)

③ 調剤基本料の見直し