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調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

突合点検のデータベース化と実際の査定内容

 

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薬局に毎月社会保険支払基金から診療報酬振込明細の案内とともに、レセプト返戻や査定の通知に加えて、突合点検による査定通知が届いています。

※突合点検における査定とは、処方元医療機関から当該点数分を徴収(レセプト請求額から減額)されることです

 

これらの情報を漫然と眺めているだけだと、もったいない!ということで、私の薬局では約2年前から、情報を1件1件Excelに入力し、データベース化しています。

 

データベースと言ってもExcelを使えばいたって簡単ですよ。リスト形式で1件1行でデータを入力して、Excelの「テーブル」機能と「ピボットテーブル」機能を使えばデータベースの完成です。

 

 査定データの入力

 それでは、データの入力項目について紹介します。

以下の項目を1行目・タイトル行として入力します。

 年 月診療分
区分
患者氏名
生年月日
医療機関
調剤日
薬剤名
査定内容
査定点数
査定項目
査定理由
審査結果の理由等

「年月診療分」突合点検通知書の左上部に記載されている、いつ提出されたレセプト分に関する査定か?

「区分」再審査分かどうか。突合点検通知書のタイトルの右側に【再審査】とあれば、この列(データベース的にはフィールドという)に再審査と入力します。再審査とはレセプト提出時点では社保支払基金のチェックを通過したものの、数か月後に保険者(健康保険組合)によるチェックで引っかかったもの、ということです。

「患者氏名」~「調剤日」は通知書に記載されている通り入力します。

「薬剤名」査定の対象となった薬剤の名称を入力

「査定内容」〇錠△日分⇒〇錠▲日分、など

「査定点数」通知書に査定点数と査定金額が記載されているので、点数の方を入力します。(金額は患者ごと負担割合の違いがあるため)

「査定項目」薬剤料のみ、薬剤料+調剤料、薬剤料+調剤料+基本料+薬学管理料、などを入力

「査定理由」通知書に記載されている、【A:療養担当規則等に照らし、医学的に適当と認められないもの】、【B:療養担当規則等に照らし、医学的に過剰・重複と認められるもの】、【C:療養担当規則等に照らし、A・B以外の医学的理由により適当と認められないもの】【D:告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの】のどれかを入力します

「審査結果の理由等」査定理由の続きでコメントが記載されている場合があるので、その文言を入力します

 

ウインドウ枠の固定

 データを入力する際はタイトル行が固定されている方が、入力しやすいので、「ウインドウ枠の固定」をします。

「表示」タブ>「ウインドウ枠の固定」>「先頭行の固定」でタイトル行(1行目)が固定されます。

 

ピボットテーブルの挿入

データが入力出来たら、リスト内のどれかのセルを選択し、「挿入」タブ>「テーブル」を選択し、リスト範囲がすべて選択されているのを確認して「OK」をクリック、または「Enter」キーを押します。

更に、「挿入」タブ>「ピボットテーブル」を選択し、データの範囲の欄に「テーブル1」など上で設定したテーブルの名称を入力しておけば、以降データが増えてもExcelが自動でデータの追加を認識してくれます。

 

レポートフィルタ

 必要に応じてですが、隣の診療所のDrと情報共有することを想定しているので、当薬局では「医療機関」をレポートフィルタに配置して、当該医療機関を選択しています。

行フィールド

 「薬剤名」>「査定理由」>「審査結果の理由等」>「査定内容」の順に配置したりしますが、いろいろ項目を入れ替えてみて、一番役立ちそうな並びにするといいでしょう。

列フィールド

 今回は項目の配置はしていませんが、いろいろ試してもいいでしょう。

値フィールド

 「患者名」など数値以外の項目を配置すると、「個数/患者名」などと集計・表示されますので、「個数/患者名」と表示されたセルを選択して「件数」と上書きします。

次に、「査定点数」を配置します。今度は「合計/査定点数」として各行に入力した査定点数の合計が表示されます。

  

 

実際の査定内容

 それでは、私の薬局の査定内容を一部紹介しますね。

当薬局は消化器内科の門前薬局で、DrはPPIにはラベプラゾールを基本処方としています。最近はタケキャブの処方も増えていますが、それに伴い査定件数も増えつつあるという状況です。

以下は約2年間の隣接医療機関に関する集計になります。

 

タケキャブ:12件、約2万5千円が査定されています

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ラベプラゾール:2規格で21件、約3万1千円が査定されています

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詳細を知るには個々の患者のそれまでの処方内容などを把握した上でないと判断できないので、ここでは割愛しますが、全体として「PPIの処方には、きちんとした段階を踏んでいないものは査定します」という意思が伝わってきます。

 

A~Dの査定理由ですが、きっちりと判断されているというよりは、恐らく審査を担当した担当者の「感覚」によるものと考えた方がよさそうです。

 

アコファイド:6件、約2万6千円

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添付文書の「効能効果に関する使用上の注意」の項で、「上部消化管内視鏡検査等により,胃癌等の悪性疾患を含む器質的疾患を除外すること」とあります。医科レセプトで傷病名に「胃潰瘍」としている状態でアコファイドは処方してはいけませんよ、ということでしょう。

薬剤料のみならず、調剤料も査定されるので大きいですね。