分割品購入の適否をExcelでシュミレーションしてみましょう。
下のリンクからサンプルファイルにアクセスして、
- 薬品名をプルダウンリストから選択(→現薬価、新薬価が反映)
- あなたの薬局の通常包装品と分割品の仕入れ率(薬価に対しての原価率)を入力
- 通常包装容量と分割品単位容量を入力(100,10など)
- 現在庫数量と期末までの使用見込み数を入力
【Excel】分割品購入適否シュミレーション サンプルファイル
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分割品購入の適否をExcelでシュミレーションしてみましょう。
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【Excel】分割品購入適否シュミレーション サンプルファイル
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先日の記事で、薬価改定を控えて通常包装品を発注すべきか、分割品で発注すべきかを考えてみました。
この記事の中では特定の医薬品の特定の状況(現在庫数、使用見込み)においての検証だけでしたが、様々なケースを検証するためにはExcelを利用するのが効果的です。
ここで押さえておくべきパラメータには、
があります。
1には、卸ごとの通常包装品の仕入れ率(納入価率)があります。薬価に対し何%の価格で納入されるか、という値です。多くの薬局は総加重で妥結していることと思いますが、単品単価契約の場合は2に分類されることになります。
2には、各薬品の薬価、包装容量、及び今回の薬価引下げ率(=1‐新薬価/現薬価)があります。
3には、その薬品の現在庫数と3月末までの使用見込み数(使用量)があります。
これらのパラメータを入力できるようなExcelシートを作成します。
※薄オレンジの網掛けセルにパラメータ入力
上図のようにA列のセルに項目名を入力し、通常包装品と分割品に対応したセルをそれぞれB列、C列に用意します。
C5セル「=B5」
B6セル「=B5*B3」、C6セル「=C5*C3」
C7セル「=B7」
B8セル「=B5*(1-B7)」、C8セル「=B8」…新薬価は恐らく3月5日に告示されます
C9セル「=B9」
C10セル「=B10」
B11セル「=IF(B10>B9,CEILING(B10-B9,B4),0)」
C11セル「=IF(C10>C9,CEILING(C10-C9,C4),0)」 ※B11セルを右にフィルドラッグ
B12セル「=B9+B11-B10」、C12セル「=C9+C11-C10」※B12セルを右にフィルドラッグ
B11,C11セルの解説
使用見込み>在庫数の場合には、CEILING関数を使用してB4(またはC4)に入力した包装単位での仕入数を算出するため上記の式になります。
使用見込み<=在庫数の場合には発注する必要がないので、0、とします。
B12,C12セルの解説
期末在庫数を求めるため、「現在庫数+仕入数-使用数」という計算式にします。
次に通常包装品と分割品で薬価差益の差を求めます。
【薬価差益】
現在庫を使い切った分の薬価差益①と、期末までの使用のために仕入れた分から期末までに使用した分の薬価差益②の合計、とします。
今回の例では、現在庫数50錠、使用見込み70錠となっていますので、現在庫数の50錠を使い切った分の薬価差益①と、使用見込み70錠まであと20錠足りないので通常包装で100錠仕入れて20錠使用した時の薬価差益②または、分割品で20錠仕入れて20錠使用した場合の薬価差益②の合計①+②となります。
B15セル「=B10*B5*(1-B3)」
C15セル「=IF(C10>=C9,(1-B3)*C9+(C10-C9)*(1-C3),C10*(1-B3))*C5」
※C15セルの解説
【改定後薬価差益】
3月末に残った「期末在庫数」分が4月以降に新薬価で使用されて薬価差益が発生することを考えます。
今回の例では現在庫50錠から100錠仕入れて70錠使用したので、期末在庫は30錠となります。分割品の方ではたまたま期末在庫が残らないという状況です。
B16セル「=B12*(B8-B6)」
※期末在庫数×(新薬価-通常包装品の3月までの原価)
C16セル「=IF(C10>C9,C12*(C8-C6),B16)」
※使用数が現在庫数以上なら、期末在庫数×(新薬価-分割品の3月までの原価)
※使用数が現在庫より少なければ、B16セルと同じ値
【改定後仕入 薬価差益】
3月中に通常包装品を仕入れた場合の期末在庫数に合わせるように、4月以降に分割品を仕入れ、それぞれが使用された場合の薬価差益を考えます。
今回の例では通常包装で仕入れた場合の期末在庫が80錠のため、3月に分割品を仕入れた場合の期末在庫との差である80錠を通常包装品で仕入れた場合の差を考えます。
B17セル「=0」通常包装品で仕入れた場合の期末在庫数の方が多い場合を考えるため
C17セル「=(B12-C12)*C8*(1-B3)」
※(通常包装品を仕入れた場合の期末在庫数-分割品を仕入れた場合の期末在庫数)×新薬価×通常包装品の薬価差益率
【合計薬価差益額】
現在庫を使用した分と、3月末までに仕入れて3月末までに使用した分と、4月以降に使用した分の薬価差益の合計を算出します。
B18セル「=B15+B16+B17」
C18セル「=C15+C16+C17」
【差額】
合計薬価差益額の、通常包装品を仕入れた場合と分割品を仕入れた場合の差額を出します。
C19セル「=B18-C18」
※通常包装品を仕入れた場合が得なら+プラスに、分割品が得なら-マイナスになる。
これで各パラメータを入力した場合に、通常包装品で仕入れるべきか分割品で仕入れるべきかが、客観的に判断することが可能になります。
ただし、このままでは各薬品の状況に応じてパラメータ入力をしないといけません。これはとっても非現実的です。
そこで、Excel2010以降の標準機能である「データテーブル」機能を利用します。(リボンのデータ>予測>What-If分析>データテーブル を利用)
ワークシートに上図のような表の枠組みを作成します。
F2~Y23を選択して、リボンの「データ」タブ>「予測」グループ>「What-If分析」>「データテーブル」を選択し、開いた次のウインドウで、
行の代入セル「=$B$10」
※期末までの使用見込みのB10セルに行方向のG2~Y2セルの値を代入する
列の代入セル「=$B$9」
※現在庫数のB9セルに、列方向のF3~F23セルの値を代入する
OKをクリックすると、G3~Y23のセルに一気に値が表示されます!
これで、在庫数と使用見込みに応じた判断が可能になりました。(下図)
上図で赤字で表示されるのは、分割品を購入した方が薬価差益が大きいということなので、この範囲になる現在庫:期末までの使用数の組合せでは「分割品」を仕入れた方がお得になります。
図では赤の範囲が規則正しく斜めに位置していることに気づきます。
期末までの使用数が現在庫より+40までは赤字、つまり分割品での仕入れがお得となっています。
ということは、通常包装で100錠仕入れておよそ半分(45錠)使えるなら、通常包装で発注すべきということになります。
では、薬価の大小、薬価引下げ率の大小ではその違いはどうなるのでしょうか?
1)薬価の大小
上図ではセルセプトカプセル250mgの薬価269.4円の場合ですが、これを薬価100円にしてみると、次の図になります。
薬価が小さくなる分、数字(薬価差益の差)自体は小さくなりますが赤字の範囲には変化がありません。
つまり、薬価が低ければそれほど大きな差にはならないが、100錠包装の半分を使用するなら通常包装で仕入れた方が一応お得になる、ということですね。
2)薬価引下げ率の大小
それでは薬価を基に戻して、薬価引下げ率を大小変化させてみます。
・薬価引下げ率「3%」の場合
・薬価引下げ率「10%」の場合
薬価引下げ率が大きくなれば、分割品を仕入れた方がいいという赤字の範囲が広くなることが分かります。
これを1~10%でまとめると、次のようになります。
薬価引下げ率 | 100錠包装中通常包装が適する使用見込み数 |
1% | 15 |
2% | 15 |
3% | 25 |
4% | 35 |
5% | 35 |
6% | 45 |
7% | 45 |
8% | 45 |
9% | 55 |
10% | 55 |
薬価引下げ率が小さければ、そもそも薬価差益の差は小さくなることも併せて考えると、例えば「薬価引下げ率が3%以下なら通常包装品で仕入れる」と薬局長が決断したり本部主導で決定してもいいかもしれません。
通常包装の仕入れ率によってどのように変化するか見てみましょう。
分割品は、納入価×1.08(消費税分)=薬価、となるように納入価が決まることがほとんどですので、約92%で固定で考えます。
通常包装の仕入れ率 | 100錠包装中通常包装が適する使用見込み |
70% | 15 |
75% | 25 |
80% | 35 |
85% | 45 |
90% | 75 |
仕入れ率が大きくなれば分割品との差も小さくなります。ただ仕入れ率自体は薬局と卸の間で値は固定されるので、皆さんの薬局での値を確認しておくといいでしょう。
通常包装:分割包装が、100錠:10錠の場合が多いですが、140錠:14錠、56錠:14錠、などいくつかのパターンがありますので、その関係を確認します。
通常包装 | 分割品 | 通常包装が適する使用見込み数 |
100 | 10 | 45 |
50 | 10 | 25 |
140 | 14 | 60 |
56 | 14 | 15 |
3つ目のパターンまでは概ね通常包装の4~5割の使用見込みがあれば通常包装品が適しているという結果です。
4つ目のパターンでは14錠1シート(25%)以上使用するのであれば、通常包装品が適しているということになります。
いかがでしたでしょうか?
いくつかのパラメータによって、通常包装品が適しているかどうかということが、薬価差益の差をベースにして考えることができる、というお話でした。
この考え方を発注システムに組み込めば、システムで最適な包装を割り出すことも可能です。(実際そんなシステムは見たことありませんが、、、笑)
最後に、今回のシュミレーションに使用したExcelファイルを、クラウドストレージを活用して、読者の皆様に利用いただけるようにしてみました。興味のある方はファイルを開いてみて下さい。
サンプルファイルはこちらのページから(新薬価対応済み) H30.3.21修正しました
2017年11月に千葉県のウエルシア薬局で医療用医薬品の不正販売についての報道があり、こんな記事を書きました。
そして残念なことに先週こんな報道がありました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201802/554877.html
埼玉県の薬局について、薬機法に対する違反で業務停止7日間の行政処分、ということです。(麻向法違反については処分なし?のようです)
また、先述のウエルシア薬局の店舗に対しては、薬機法及び麻向法に対する違反で、19日間の業務停止処分となりました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201802/554926.html
違反内容及び処分内容の違いをまとめてみました。
薬局名 | ウエルシア薬局ユーカリが丘店 | ファミリープラザ健康薬局 |
開設者 | 株式会社ウエルシア薬局 | 有限会社ドラッグストア光 |
所在地 | 千葉県佐倉市 | 埼玉県和光市 |
違反期間 | 2014年8月31日~17年7月10日(約3年間) | 2015年9月18日~17年10月6日(約2年間) |
違反内容 |
《千葉県発表》 (1)薬機法第49条第1項違反 薬局開設者は、2014年8月31日から17年7月10日までの間、26人に対し計63回(うち向精神薬3人、計8回を含む)、36種類(うち向精神薬3種類を含む)の処方箋医薬品を処方箋なく販売した。 (2)薬機法第8条第1項違反 管理薬剤師は、上記(1)の通り処方箋医薬品を処方箋なく販売するなど管理者の義務を怠った。 (3)薬機法第55条第1項違反 薬局開設者は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を22人に対し計29回、薬機法第50条(直接の容器等の記載事項)および薬機法第52条(添付文書等の記載事項)に定める必要な記載事項を渡すことなく販売した。 (4)麻薬及び向精神薬取締法第50条の16第4項違反 薬局開設者は、2016年3月22日から17年3月3日までの間、3人に対し計8回、3種類の向精神薬を処方箋なく販売した。 |
《埼玉県発表》 同薬局が (1)医師から処方箋の交付を受けていない人13人に対して、処方箋医薬品の抗菌薬や向精神薬を17品目販売、 (2)従業員2人に対して、薬機法施行規則第205条で定められた文書の交付を受けずに劇薬2品目を販売
それぞれ薬機法第49条第1項、同法第46条第1項に違反 |
発覚経緯 | 2017年8月21日 巡回中の管理職 | 2017年6月 匿名の通報 |
立入検査 | 2017年9月5日に通報、12月22日まで行政指導 | 2017年8月 |
不正販売品目 | (1)の処方箋医薬品として、主にED治療薬や男性型脱毛症治療薬(AGA治療薬)が販売され、(3)については主にロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名ロキソニン他)やH2受容体拮抗薬が含まれていた |
患者2人計9回 レペンタン坐剤 従業員11人計36回 抗菌薬など |
処分発表 | 2018年2月7日 | 2018年2月9日 |
処分内容 | 業務停止19日間 2018年2月9日~同月27日 | 業務停止7日間 2018年2月10日~同月16日 |
※ウエルシア薬局の千葉県内の店舗110店舗についても点検を指示され、3店舗で不正販売が確認されたものの常習性はないと判断され今回はおとがめなしとなっているようです。
まあ、ウエルシアについては氷山の一角、あるいはトカゲのしっぽキリ的なこともあるんだろうな、というのが感想ですね。
大手以外でも全国でこのような法に抵触することが日々行われているのかもしれません。なんせ5万5千軒もの薬局がありますからね。。
内部通報や匿名の通報により行政の知るところとなった時、行政側はまず開設者を呼び出して事情を聴いてきます。その後、不正の有無を示す資料の提出などを経て、不正の疑いありとなったら現場立入検査となります。
多くの場合は、事情聴取で開設者代理の担当者が持ち帰り数日以内に保健所へ社内調査内容を報告する際に、大ごとにならないように折衝しています。
時には資料を改ざんすることもありますが、バレなければ不正ではないので、保健所に確信的なネタがなければそのまま終了することもあります。
(以前にも登録販売者の実務経験証明書発行で不正がありましたが、表ざたになったのは氷山の一角にすぎません)
今回の2例の違反内容を分かりやすく振り返ります。
いわゆる、処方せん医薬品について、「処方せん医薬品を処方せんなしで販売等してはいけません」ということです。
「毒薬又は劇薬を販売等する際は、譲受人に「譲受け証」を書いてもらわないといけません」ということですね。ちなみに、調剤された医薬品は薬機法の対象外となるため、処方せん調剤で劇薬を患者に交付する際にはこの譲受け証は不要となります。
医薬品を販売する際には、添付文書などが必要です。薬局間の譲渡の際は納品書などに必要事項を記載し、【調剤専用】と明記することで免除されます。
※ウエルシア薬局から小分け分譲してもらった伝票にはこの【調剤専用】の記載がないので、厳密には小分けの際(店舗間移動含む)に添付文書等を一緒に渡していなければ、全店舗がこの法律に違反していることになります。
管理者の義務として規定されています。今回は医薬品の管理において義務を果たせていないとされたのでしょう。
処方箋医薬品の販売については、薬機法第49条第1項の但し書きで、薬剤師等に販売することは認められていますが、向精神薬についてはたとえ相手が医師でも、処方せんがなければ販売等はできません。(病院等の開設者に対しては販売等が認められる)
公表された違反内容の事実についてよく見てみると、「開設者は…」となっていることに気づきます。
多くの開設者(会社の幹部たち)は、ちゃんとやっていないのは管理者の責任だ、と思っていることでしょう。自分たちの責任を棚に上げて、ね。
バ~カと言ってやりましょう。
管理者が業務を遂行できているかを確認し、常に薬機法にのっとった運営ができるように配慮をするのが開設者の責務なのです。
開設者が調剤(=売上げ)のことしか考えてないと、こういった違反が起きてしまうということを肝に銘じておいてもらいたいものですね。
3月の薬価改定に向けて在庫を絞りたいと考えている薬局長が多いことでしょう。
今回は、通常包装品で購入して、何錠か残ってしまい薬価改定を迎えて薬価差が小さくなるのと、3月末に在庫「0」となるように分割品を購入するのと、どちらがお得か考えてみましょう。
今在庫が90錠あるけど、3月末までに84錠ずつ2人の患者さんに出そう…
3月末までに、84×2ー90=78錠 を仕入れないといけません。
100錠包装で仕入れると、3月末に22錠残ってしまいます。ここは卸の分割品を利用した方がいいのでしょうか?
1シート10錠単位の分割品を8シート(80錠)仕入れたら、3月末の在庫は2錠だけです。
通常なら、薬価差益を考えたら通常包装で仕入れた方がいいに決まっていますが、薬価改定が待ってます!さあ、薬局長の決断はどっち??
毎年薬価改定が始まれば薬局経営を左右しかねない問題となりそうなこの命題ですが、
の3つを丁寧に考えれば答えは見つかりそうです。
私の薬局で、セルセプトカプセル250mgを調剤している患者さんが3月末までにあと2回来局予定です。直近の処方日数は35日分で、1日1回1カプセルなので、70Cpが必要となります。
現時点の在庫数は15Cpです。
薬価は1Cp 269.4円で、薬価引下率は7%とします。
通常包装で100Cp仕入れた場合
仕入れ率を85%とすると、1Cp当たりの薬価差益は薬価×(1‐仕入れ率)ですので、
70Cpの薬価差益= 70 × 269.4 × (1‐0.85) = 2828.7(円)
3月末の在庫数は、15+100-70=45Cp となります。
4月以降の薬価(仮定)は、269.4円×(1‐0.07)=250.4円 となるとして、
原価は変わりませんので、45Cpの薬価差益は、45Cp×(250.4‐269.4×0.85)=969.8円
つまり、通常包装を仕入れた場合の薬価差益の合計は
2828.7+969.8=3798.5円 となります。
分割品で60Cp仕入れた場合
一方、3月末の在庫を絞るために分割品で仕入れた場合を考えてみます。
仕入れ率を92%とすると、3月末までに使用する分の薬価差益は15Cpが通常包装品の残りを使用して、55Cpが分割品を使用したとすると、
15×269.4×(1‐0.85)+55×269.4×(1‐0.92)=1791.5(円)
そして3月末の在庫は、15+60-70=5Cpとなります。
新薬価(仮定)は250.4円として、5Cpの薬価差益は、5Cp×(250.4‐269.4×0.92)=13.4円
ここで便宜上40Cp包装品があるとして考えます。
(通常包装品仕入れの場合と在庫数を合わせるため)
仕入れ率は変わらず85%とすると、
40Cpの薬価差益=40×250.4×(1‐0.85)=1503.2(円)
ということで、分割品を仕入れた場合の薬価差益の合計は
1791.5+13.4+1503.2=3308.2円 となります。
分割品で損をするかも。見た目の在庫金額に騙されないで!!
元の在庫数、薬価、薬価引下げ率、通常包装容量、分割品容量、各仕入れ率、にもよるのですが、今回のケースでは、分割品を仕入れて期末在庫を「5Cp」とするよりも、通常包装品を仕入れて「45Cp」とした方が、結果的には薬価差益を確保できるという結果になりました。
そうです、「仕入れ値の高い分割品を使って期末在庫を減らす」という手法では、結果的に損をすることもある、ということです。
では、通常品の方がいい場合、分割品の方がいい場合、の見極めはどうするの?って知りたいですよね。。。ハイ、ここでExcelの出番です!
次回の記事で、Excelを使ったシュミレーション方法を紹介したいと思います。
=====================================================
記事更新ししました!
Excelでのシュミレーションについてはこちらをどうぞ!!
(H30.3.2更新)
2月7日(水)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。
既に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。
その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋しました。
目次
見出しタイトルの色が赤:点数増、青:点数減としました
概要:点数は引き上げ、要件は若干厳しくなりました
点数:現行かかりつけ薬剤師指導料70点→73点、同包括管理料270点→280点
要件など:
解説:
「取りやすい患者で算定する」という薬局本位のものではなく、患者本位のものとなるように制度上明記しておくから、くれぐれも無節操なことはするなよ。という厚労省のメッセージでしょう。医師会の意見を受けて在籍期間は12ヶ月以上とし、保険薬局協会などが訴えていた「パートでもかかりつけ薬剤師に!」というのは却下された代わりに、育児・介護期間中は勤務時間の要件は緩和しますよ。ということ。
かかりつけ薬剤師が真に必要な患者に的を絞りより良質な薬学的指導を実施することを期待して点数も少し上げるから、ちゃんとやってね、ということでしょう。
概要:基準調剤加算を廃止し、地域支援の実績等を踏まえた評価にする
点数:現行基準調剤加算32点→35点
要件など:[施設基準]
(1) 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。(※)
1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。
① 夜間・休日等の対応実績 400 回
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回
③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回 (☆新設)
④ 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回
⑤ 服薬情報等提供料の実績 60 回
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10 回
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回
⑧ 外来服薬支援料の実績 12 回
(2) 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
(3) 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること
(4) 一定時間以上開局していること。
(5) 十分な数の医薬品を備蓄していること。
(6) 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。
(7) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24 時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
(8) 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
(9) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。
(10) 当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。
(11) 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が5割以上であること。
(12) 区分番号00 の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の基準を全て満たすこととし、(1)を適用しない。
① 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
② 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
③ かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
解説:現行の基準調剤加算をベースとして、より地域に貢献していることを求める形になりました。調剤基本料1を算定する薬局以外でも算定可能にするため、要件(1)を満たすことが求められました。
また、、門前型薬局に厳しくする一環で、「集中率85%以下の場合、後発医薬品調剤率50%以上であること」と現行の基準調剤加算より厳しくなりました。
《要件1の現実味》について、、、
① 夜間・休日等の対応実績 400 回
年間50週の営業と考えると常勤薬剤師1人当たり週8回の受付が必要です。平日19時以降と土曜日の午後に営業しているとしても、なかなか達成は難しそうですね。営業時間の要件を満たすためにただ開けているだけではダメ、ということでしょうか。
当番医対応での応需も、私の地域で内科だと多くて年間4回くらいですので、1回当たり平均100回の受付としても合計400回。薬剤師1人分の受付しか達成できません。
近隣医療機関が土曜日午後や日曜日も診療しているとかであれば行けそうですね。
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回
こちらは月間で考えてみると、1人当たり月4回あればOKですが、私の薬局では常勤換算で3.6人ですので薬局としては月12回の算定が必要です。
これは残薬調整などに取り組めば行けそうですね。
③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回 (☆新設)
新設で今回改定の目玉の一つです(後述)。各薬剤師が「この人!」と思う患者さんを選んでおき来年の3月までに実績を上げればOK。行けそうですよ。
④ 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回
単純に考えると、各薬剤師が個人在宅を1件担当しなさいよ。ということでしょう。ただし、多くの場合医師の訪問診療は月2回で処方せんもその都度交付されるので、個人在宅の患者さん1人につき年間24回の実績となりますので、私の薬局の場合は個人在宅患者が2人いれば要件クリアできます。既に在宅訪問の実績を持つ薬局ではハードルは低めということになりますね。
⑤ 服薬情報等提供料の実績 60 回
これは厳しい感じですね。月間で考えると薬剤師1人当たり月5回、常勤3.6人で月18回の実績が必要です。服薬指導時に、服薬に係る問題を積極的に患者さんから聞き出し、同意を得て処方医に情報提供するしかないでしょう。毎月1人5回が目標となります。
注意したいのは、情報提供したうえで、次回受付時に算定できる点です。それを見越して少なくとも3月から取り組むのが賢明でしょう。
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10 回
これが最も厳しいかもしれませんね。麻薬を月1回処方される患者さんが薬剤師とほぼ同数いないといけません。麻薬が処方されるかどうかは、薬局ではどうしようもないですよね。近隣の医師が在宅療養で末期がんの患者さんの受け入れに熱心だったりすれば割とすぐにクリアできそうですが、そうでないと厳しいでしょう。医師に今回改定の内容を説明して、がん疼痛ケアに取り組んでもらうしかないでしょう。
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回
こちらもなかなか厳しいでしょうか。かかりつけ薬剤師として月3~4回の指導実績があればいいのですが、パートを含めて常勤薬剤師全員がかかりつけ薬剤師という薬局は少ないでしょうから、かかりつけ薬剤師でない薬剤師の分までとなるとかなり頑張らなければ、となります。私の薬局ではかかりつけの届出をしている薬剤師は私だけで、4月から4年目になる薬剤師を入れても2人。新卒薬剤師が1人入社予定であることを考えると、常勤4.6人、必要な実績は年間184回となり、かかりつけ薬剤師2人で月間16回の算定が必要です。処方日数が長期化している中で月16回を維持するためには、20~30人の患者からかかりつけの同意をもらう必要があるでしょう。
⑧ 外来服薬支援料の実績 12 回
各薬剤師が毎月1回服薬支援を実施するということですが、毎月1回を維持するのってなかなか厳しいところです。私の薬局では、出入りしている介護施設に新規入所される方の持参薬を整理・一包化の依頼を受けた時に算定することが多いですが、そんな度々はありません。定期的に他科受診をされている患者さんでPTPで渡されて困っている、という患者さんの掘り起こしをして各薬剤師が2人くらい見つけられればいけそうですね。
概要:妥結率が5割以下の場合の調剤基本料の減算幅を大きくするとともに、単品単価契約への移行を打ち出すものとなった
点数:<現行>調剤基本料4(31点)、調剤基本料5(19点) →調剤基本料減算(100分の50)
要件など:次のいずれかに該当する保険薬局であること
(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が5割以下であること。
(2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していないこと。
(3) (略:後述)
解説:現行では未妥結減算として調剤基本料1に相当する薬局は調剤基本料4を、調剤基本料2に相当する薬局は調剤基本料5を調剤基本料3に相当する薬局は特別調剤基本料を算定することになっていて、概ね100分の75に相当する点数となっていますが、減算幅が大きくなった形です。
概要:無菌製剤処理加算の評価を見直し、乳幼児に対する業務の評価を新設すること
点数:<現行>65点、75点→67点、77点
<現行 乳幼児の場合>130点、140点→135点、145点
《在宅患者訪問薬剤管理指導料》
6歳未満の患者・訪問した場合の加算(新設) 100点
要件など:無菌製剤処理加算については要件に変更なし
在宅患者訪問薬剤管理指導料:患者が6歳未満
解説:無菌製剤処理加算を1日につき2~5点加点となりました。そうですか、ありがとう。というくらいですよね。無菌製剤処理加算については、6歳未満の乳幼児かどうかというより、何種の注射薬を混注するかで点数を分けた方が実際の業務負担を反映できるのにね、と思います。在宅患者訪問薬剤管理指導の乳幼児加算はとてもありがたいですね。
概要:薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。
点数:125点
要件など:6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
解説:対人業務の目玉の一つです。薬局主導で保険医と共同してポリファーマシーの対策をしてくれ、ということでしょう。ある厚労省の研究会メンバーの先生(医師)は「医者にはポリファーマシーは解決できない」と断言されていました。患者の訴えや副作用のモニタリングから減薬の可能性を検討し医師に提案する。ある意味薬剤師の本分が制度的に可能になるので、各薬局でしっかり取り組みたいですよね。私の薬局では、これから近隣医と打ち合わせをして、各薬剤師が少なくとも年1回は算定できるようにしたいなと思っています。
概要:同一建物居住者に対する訪問指導の評価から、単一建物診療患者の人数による評価へ変更し医科報酬と考え方を揃える。
点数:
【在宅患者訪問薬剤管理指導料】/【居宅療養管理指導費】
同一建物居住者以外 650点/503単位
同一建物居住者 300点/352単位
→単一建物診療患者数 1人 650点/507点
単一建物診療患者数 2~9人 320点/376単位
単一建物診療患者数 10人以上 290点/344単位
ただし、以下のいずれかの場合は単一建物診療患者数が1人であるものとみなされる
解説:前回改定で変更された医科の基準に合わせることになります。現行では同一日に何人の患者を訪問するかという基準でしたが、同月に訪問する患者数が基準になります。10人以上の患者がいる施設では点数減をなりますが、個人宅のご夫婦を訪問する場合は但し書きにより、それぞれに650点/507単位を算定できることになります。細かい運用規定は3月5日(予測)の告示の際に発表されるものと思われます。
概要:継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、要件を追加するとともに評価を見直す。併せて乳幼児指導加算の評価を充実する
点数:【薬剤服用歴管理指導料】
<現行>6か月以内に来局あり 38点 →<改定後>41点
6ヶ月以内に来局なし or 手帳持参なし 50点 → 53点
特養入所患者 38点 → 41点※
調剤基本料1・4以外 50点 → 調剤基本料1以外 53点
《新設》手帳活用不十分な薬局 13点
【乳幼児服薬指導加算】10点→12点*
要件など:
解説:より連続した指導を実施するために、次回の指導計画を要件に加え増点とされました。特養入所者に対しては「訪問すること」が要件になったため、看護師への電話やFAXでの伝達・指導では算定不可となり、薬剤師が直接施設を訪問することが明記されることになりそうです。手帳活用不十分な薬局はどのように判定するかが気になるところですね。基本料1以外の薬局では指導料は手帳持参の有無に関係なく53点のみとなりますので、このままでは手帳持参かどうかを判定できません。これも3月5日(予測)の告示の際の発表を待つしかありませんね。
概要:残薬調整に係るもの以外の評価を見直す
点数:(在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料についても同じ)
<現行>30点 → 1 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
2 残薬調整に係るものの場合 30点
解説:現行の残薬調整に係る加算を評価しつつ、それ以外についてももっと頑張って欲しい、ということなんだなと理解しました。
概要:保険医療機関の求めがあった場合の評価を見直す
点数:<現行>20点 →1 服薬情報等提供料1 30点
2 服薬情報等提供料2 20点
要件など:保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に月に1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。
解説:個人的には「医療機関からの求めがあった場合って、そんなのほとんどないよ」と即座に思ってしまいました。ただ、医科の資料にも目を通していくと、「処方箋料・向精神薬調整連携加算12点」というのがありました。
直近の処方時に、向精神薬の多剤処方の状態にあった患者又は不安の症状又は不眠の症状に対し、ベンゾジアゼピン系の薬剤を12 月以上、連続して同一の用法・用量で処方されていた患者であって、減薬の上、薬剤師(処方料については薬剤師又は看護職員)に症状の変化等の確認を指示した場合
変化の確認を指示された患者について、ある期間、場合によっては毎月文書にて医師に報告すれば行けそうですね。多剤処方って何剤?とか、は3月5日に分かるでしょう。薬局としては医師に説明する必要もあるでしょうから、処方箋料・向精神薬調整連携加算の内容と、報告書のひな型の作成などを3月に始めたいところです。
概要:対物業務から対人業務への構造的な転換を進める
点数:
ロ 15日分以上 21日分以下の場合70点 →67点
ハ 22日分以上 30日分以下の場合80点 →78点
ニ 31日分以上の場合87点 →86点
解説:思ったより減点幅が小さかった印象です。個人的には内服薬調剤料よりも吸入薬や点鼻薬などデバイス使用に係る手技の指導をもっと評価してもらいたいと常々思っていますけどね。。。
イナビルを薬局で吸ってもらうための指導と、説明書や動画見て家で吸ってくださいというのとがどちらも10点ておかしいですよね。
概要:後発医薬品の調剤数量割合の基準を引き上げ、調剤数量に応じた評価に見直すとともに、後発医薬品の調剤数量割合の低い薬局においては調剤基本料を減算する
点数:
後発医薬品調剤体制加算1 65%18点 → 75%18点
後発医薬品調剤体制加算2 75%22点 → 80%22点
後発医薬品調剤体制加算3 (新設) → 85%26点
調剤基本料減算 (新設) 2点
要件など:【調剤基本料減算】受付回数月600回超で後発医薬品調剤率が20%以下、あるいは後発医薬品調剤率の報告をしていない薬局
解説:このブログの記事で昨年9月の私の予測は大きく外れてしまいました!
思いのほか大盤振舞いでしたね。国としてはH29年度半ばに70%の目標を立てていましたが、実際は65.8%と4.2ポイントも下回っており、2年後に80%を達成するためにはまだまだ底上げが必要と判断したのでしょう。80%未満でも評価する要件が必要だったんです。しかも点数も厚いままでした。
各薬局では1~3月の実績で各要件をクリアするために、あとどれだけ置き換えが必要かを実績データから割り出し、即行動しないといけませんね。
概要:分割調剤の手続きの明確化・合理化を図る観点から、分割調剤に係る処方箋様式を追加するとともに、具体的な取扱いを明確にする
要件など:[分割調剤に係る留意事項]
解説:前回改定で導入された「分割指示処方箋」の取り扱いをより明確化することで分割調剤の実績を作りたい、ということでしょう。厚労省としては容体の安定している患者にほぼ処方せんをもらうためだけに受診されることは、なるべく避けたい。将来は海外の例を参考に日本版リフィル処方せんを導入したい、というのが透けて見える気がします。そのためには実績が何より大事、ということで分割調剤が進むように要件を明確に分かりやすくした、ということですね。
概要:
(1) 調剤基本料3について、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。
(2) 調剤基本料3について、グループ全体の処方箋受付回数が多い、特に大型の門前薬局の評価をさらに適正化する。
(3) 調剤基本料2について、処方箋の受付回数が2,000 回を超える保険薬局における特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。
(4) 調剤基本料2について、以下の場合を追加する。
(5) 特定の医療機関との不動産取引の関係がある等のいわゆる同一敷地内薬局に対する評価を見直す。
点数:
調剤基本料1 41 点 → 41点
調剤基本料2 25 点 → 25点
調剤基本料3 20 点 → イ 20点/ロ 15点
調剤基本料4 31 点 → 削除
調剤基本料5 19 点 → 削除
特別調剤基本料 15点 → 10点
未妥結減算 100分の50 → 100分の50
要件など:
【調剤基本料1】
【調剤基本料2】
【調剤基本料3】同一グループ受付4万回超かつ集中率95%超
→【調剤基本料3のイ】
同一グループ4万回超40万回以下で、集中率が85%超
→【調剤基本料3のロ】
同一グループ40万回超で、集中率が85%超
【特別調剤基本料】
次のいずれか
【未妥結減算】
次のいずれか
解説:ざっとまとめるとこんな感じでしょう。
集中率の高い薬局の基本料をさらに下げていくという流れが継続され、集中率の要件が90%(調剤基本料3は95%)→85%に引き下げられました。一方で、調剤基本料2の受付回数については現状維持でした。
医療モールや敷地内薬局の集中率にメスを入れたのと、大手チェーン薬局をさらに減点するという意思が伝わりますね。
調剤基本料2に該当する薬局としては、受付回数を減らすか、集中率を下げるかの対策が必要です。近隣医以外の医療機関から施設患者の処方せんを応需するとか、近隣医の処方日数を伸ばしてもらい受付回数を減らすか、くらいでしょうか。
特定の受付が4000回超となる薬局は、今までは第2薬局を作ればよかったのですが、今回はその仕組みにもメスが入ったので素直に諦めましょう(笑)
調剤基本料3に該当する薬局は、グループ全体の受付回数を減らすことなどはほぼ不可能ですから、集中率を下げるため近隣医の処方せん受付を減らすか、他の医療機関の処方せん受付を増やすか、または両方をやらないといけません。普通に考えれば、訪問専門診療所の医師と施設に営業をかけることが手っ取り早そうですね。
月4,000回の受付で集中率が90%とすると、
4000×90%÷85%=4236
月236回の受付を増やさないといけません。特養2軒分(1患者月2回処方で)でもギリギリ足りるかどうか、というところです。施設患者の処方せんを応需すると急なお届などの対応も必要になりますので、そのための体制作りも不可避です。
概要:血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用について、美容目的などの疾病の治療以外を目的としたものについては、保険給付の対象外である旨を明確化する
要件など:【投薬】
入院中の患者以外の患者に対して血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)を処方された場合で、疾病の治療であることが明らかであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合を除き、これを算定しない。
解説:週刊誌記事で話題になってしまい、何か対策を、ということでしたが、例によって「医師の処方権が云々」となり、保険者が疑わしいレセプトを査定すればいいんじゃないの?という結論になりました。「医者はポリファーマシーを解決できない」から仕方ないですね。
以上、ざっとまとめてみました。
今後、それぞれの項目についてExcel的な記事を上げたいと思っています。
例)後発医薬品調剤率を上がるためには?
今回の診療報酬改定ではかなり薬局への風当たりが強くなっていますね。
「そらそうだよな」なんて思ったりもしますが、メディアの記事など腑に落ちないこともあるので少し整理してみたいと思います。
日本では「調剤」について薬剤師法第19条で薬剤師の専権事項となっています。
ただし、薬剤師法第19条及び医師法第22条の規定で医師(または歯科医師)に調剤権の特例を認めています。
しかしながら、長らく「院内処方」が一般的でした。
1970年代以降から「医薬分業」へと政策誘導が始まったのですが、その原因は院内処方による薬価差益目当ての不必要な薬剤投与です。医師(または医師会)による自浄作用が期待できなかったから、あるいは不十分だったからでしょう。
医薬分業が加速するようになったのが90年代後半以降、公立の総合病院などの多くが院外処方に切り替え始めたのがきっかけだったようです。
この頃までの特徴としてもう一つ、秘密主義もあげられるでしょう。
医師は患者に投薬の情報をなるべく隠すのが一般的でした。「医者からもらった薬がわかる本」などが本屋に必ずありましたし、実際に医者からもらった薬には薬の名前も書いていませんでした。識別番号がその頃の名残ですね。
軟膏剤なんかは薬品名の書いた薬札を破ってから患者に渡すようになっていました。
分業率が上がるにつれ、薬品の情報がオープンになり今ではインターネットでだれでも知りたい情報を見つけることができるようになりました。
多くの薬局がいわゆるパパママ薬局として地域に根付いた「町の薬屋さん」として、OTCや衛生材料、雑貨品などを販売していたのが、降って湧いた医薬分業ブームで調剤を中心にする薬局が増えたのでしょう。
効率を求め知り合いの医師の診療所の門前に店を構えて、衛生材料や雑貨品の品ぞろえは最小限にする門前薬局のビジネスモデルが出来上がってきました。
一方、調剤中心にすることを選ばず、OTCや衛生材料、雑貨品などで収益を上げるドラッグストア志向の薬局が誕生しだしたのもこの頃のことと思われます。
薬剤師会の構成メンバーはこうしたパパママ薬局から始まった数店舗の薬局を経営する人たちが多いのですが、調剤に関わる情報を共有することを命題としていたのでしょうか、世の中では処方箋は門前薬局で、OTCや雑貨はドラッグストアで、という認識がどんどん広がっていきました。
その結果、薬剤師会の構成メンバーは小規模薬局の経営者が中心となり門前薬局の集団に、一方のドラッグストアは徐々に規模を拡大しOTC医薬品供給の中心になっていきました。
薬剤師会は降って湧いた医薬分業ブームに対応するのが至上命題と化し、そのビジネスモデルは門前調剤薬局であり、今話題の健康サポート薬局のあり方からどんどん乖離していきました。
パパママ薬局が診療所の門前に店を構える一方、資本力のある薬局が大型病院の門前に立地を求めて展開し始め、どんどん巨大化していき調剤薬局チェーンも増えていくことになります。
命題は効率化と教育。待ち時間をいかに少なくするか、いかに少ない人員で運営するかということに加え、薬剤師の満足度を上げるためなのか社員教育にも注力することで、薬剤師を集め更なる店舗展開へとつなげていきました。
小規模門前薬局中心の薬剤師会の中では、規模に見合う発言権が得られないからか日本薬局協会(NPhA)を平成16年に設立し、一部の企業は日薬から退会したりもしました。
設立当初から大企業が構成していることもあり、日本薬剤師会、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)と並ぶ業界団体として大きな影響力を持っています。
調剤中心を選ばず、OTCや化粧品を販売の中心にして拡大をしてきたのがドラッグストアです。命題は市場原理の中での推奨販売。
日替わり商品などで集客し、高利益の保健薬や化粧品を推奨販売するための接客力が命でした。
業態(ビジネスモデル)としては、健康サポート薬局に最も相応しい業態でしょう。
しかしここ10年ほどでインターネットショッピングなどの影響もあり、雑貨品の低価格販売では集客に陰りが見え、集客と利益の柱が食品と調剤にシフトしてきました。
それと引き換えに推奨販売や接客は弱くなってきているなあと感じています。
推奨販売が中心の頃は、薬剤師が十分に確保できず薬剤師不在の店舗なんてのもよく聞いた話でしたが、業界として登録販売者制度を勝ち取り、OTC販売と調剤を分離することで薬剤師が調剤専任となっていき、求人にも有利に働いてきています。
調剤路線を歩みだしたのが遅いのと、1店舗当たりの薬剤師数は少ないので、薬剤師としての見識を深めることが難しいのが課題でしょう。ただ、「自分しかいない」という場面も多いので決断力は早くから身につきやすいですね。
また、調剤専任の薬剤師が増えることで、ドラッグストアなのにOTCが苦手な薬剤師も増えていることが懸念されます。
話を院内処方に戻します。
薬局で調剤し、患者に交付するのは薬剤師の仕事です。では身近にある院内処方の診療所では、だれが調剤し、説明してくれるのでしょう。
薬剤部のある病院では薬剤師が担当しているでしょう。
一方、開業医のクリニックでは、薬をくれるのは窓口の事務員、というところが多いのではないでしょうか。
薬剤師法第19条には「ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」との但し書きがあります。
看護師に余裕があるところなら看護師が行うところもあるでしょう。しかし、医師が自ら調剤し、患者に交付しているクリニックはそうそうないのではないでしょうか。
なぜ医師自らが調剤しないのか?コストに見合わないからなんでしょうね。。。
院外処方により薬価差益を得られなくなっても、医師による多剤投与が「ポリファーマシー」と言われ問題視されるようになってきています。
そんな中で、すべてを院内処方に戻して、少しばかり院内処方の調剤料を増やしたとして、医師が「割に合う」と感じるでしょうか。
在庫管理もしないといけません。調剤、投薬するスタッフの確保・教育、備蓄スペースも必要です。
現実的に考えれば、今更院内処方へ回帰するなんてどう考えても無理な話です。
ところで、ビジネスジャーナルの記事で「薬局、棚から100円の薬取るだけで手数料1100円?「儲けすぎ」批判強まる、大手社長に配当1億円超」というのが出ましたが、ドラッグストアは調剤でのもうけを原資に、食品をスーパーやコンビニより安売りできるという旨がありましたが、売上構成比や、粗利率、人件費について全く触れないバカげた記事です。
しかも、日医の会長の写真を掲載しているものだから、日医会長の発言のように錯覚を誘っているような記事。無責任ですよね。
とは言え、いわゆる門前薬局が今のままではいけないんだろうということには異論はありません。と同時に、どうしてこうなったのかの反省がないの?とも思います。
普通の企業は自らの成長や生き残りのために、企業理念なり戦略などを描いて経営者の指導の下にいかに実践していくか、を毎日努力しています。
業界団体においても同じで、業界全体が成長するために、あるべき姿、目指すべき姿、求められる姿などを描きます。
それなのに、国から「薬局はこういう姿になりなさい」と言われた薬局業界!
特に日本薬剤師会の体たらくには目も当てらません。まずはその反省をしっかりしなければ存在意義を自ら失うことにつながるでしょうね。。。
調剤報酬改定後、4月から後発医薬品調剤体制加算を算定するためにはこの1~3月の実績で要件をクリアすることが必要になりますが、前回の記事でも触れたように「2段階の要件を維持」になる可能性があります。
その場合、現行の65%、75%から10ポイントずつ上昇して75%、85%になるかもしれません。80%を超えてからの2~3%アップって相当キツいんですけどね。。。
そんなこんなで、私もさっそくどの品目を後発にしようかと検討を開始しました。
9月から12月までは後発への切り替えを我慢していた「オルメサルタン」「ロスバスタチン」を、12月中旬から切り替え始めましたが、それまでのオルメテック使用者(使用量)の85%にギリギリ足りるくらいまでしか切り替えられそうになく、今まで使用量が少ないため後発品の採用をしていなかった品目を後発に切り替えないといけないことが判明しました。
今回は、4月から後発医薬品調剤体制加算を算定するためのいろいろを考えてみます。
各社のレセコンの集計機能で「後発医薬品調剤率」を確認していることと思いますが、この集計は「〇月~〇月の実績では後発医薬品調剤率は何%?」を知るための集計となっています。
ここでは、この集計にある数字を基に目標とするGE調剤率をクリアするために必要な先発品→後発品への置き換え数量を求めてみましょう。
レセコンにより集計様式は異なりますが、どの様式でも必ず
という数字があるはずです。
GE調剤率=B ÷(A+B) で計算されています。
そこで、GE調剤率=85%、必要な置き換え数量を X とすると、
85% = ( B + X )÷( A + B ) となりますので、
X = 0.85 × ( A + B )- B で計算されます。
※置き換えしても全体の調剤数は変わりませんので分母の( A + B )はそのまま
私の薬局の数字を当てはめてみると
A = 96,305
B = 386,278
現行GE調剤率=80.04%
X = 23,917(A の 約25%)となります。
さて、ここからが問題ですよね!後発希望の患者さんにはほぼほぼ後発品で調剤しているつもりなので、4分の1を変えるとなるとなかなか大変そうです。
後発品に置き換えする候補を検討するために、A(先発品) の薬品別内訳を帳票を出力してみました。
この集計表の中で、数量が大きく、使用人数が少なめなものほど置き換え効率がいいということになります。
ただし、GE調剤率の算出には「健康保険に関わるもの」を算出するルールとなっているため、自費、自賠責、労災に関わる調剤はもちろん、生活保護やその他公費のみの調剤分は集計から除外されることになっています。
※各社レセコンでは、患者の保険番号で判別しているはずです
生活保護の患者さんに一生懸命ジェネリックを勧めても、調剤報酬上は全く評価されない仕組みって、どうなんでしょうね??
あとは、先発品だけど後発品より同額か安いもの、後発品だけど先発品より同額か高いものはどちらも集計から除外されます。
A(先発品) の薬品別内訳の帳票を手に1品目ずつざっと見直してみたのですが、なんだか違和感を覚えたのです。
「この品目って後発あったっけ?」
表を上から順に見ていくと、
などが、後発ありの先発品として集計されています。
その理由は厚労省のホームページにありました。
このページの下の方に、
後発医薬品の数量シェア(置換え率)
=〔後発医薬品の数量〕/(〔後発医薬品のある先発医薬品の数量〕+〔後発医薬品の数量〕)
=〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕/(〔2で分類される品目の数量(☆を除く)〕+〔3で分類される品目の数量(★を除く)〕)
という記載があり、ここでいう2で分類される品目とは
2:後発医薬品がある先発医薬品(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む。ただし、全ての後発医薬品が経過措置として使用期限を定められている場合を除きます。後発医薬品と同額又は薬価が低いものについては、「☆」印を付しています。)
となっています。
つまり、アルファロール内用液は同成分の錠剤やカプセル剤が後発品にあるから、パキシルCR錠は普通錠の後発品があるから、ペンタサ顆粒94%はメサラジンの錠剤や50%細粒の後発品があるから、ポリフル錠は細粒なら後発品があるから、ということでそれぞれ「後発品のある先発品」となっているということのようです。
レセコンメーカー各社はこのページにあるリストを基に後発品に関するデータベースを作成していると思われるので、上記のような品目が分母に入ってきているのです。
現場薬剤師としては、後発に変えようがないのに何やねんそれ!ですよね。
とはいえ、メコバラミン錠や、アセトアミノフェン錠・細粒、バイアスピリン腸溶錠など後発品しかないような品目もあるので仕方ないような気もしてきました。
とにかく現場では、できることをどれだけ頑張るかしかないので、後発品採用を増やすことと、先発品希望の患者さんに改めて後発品への変更について聞いてみるしかないですね。
こんにちは。昨年の12月18日に次期診療報酬改定の改定率が厚労省から公表されました。
今月末には個別改定項目について煮詰められ、さらに1か月ほどかけて点数が設定されていくことになります。
さて、改定率について見ていきましょう。
診療報酬(いわゆる本体部分):+0.55%
薬価(医療費ベース):-1.65% (薬価ベースで約‐7%)
材料価格:-0.09% (薬価ベースで約‐7%)
本体部分は従来の、医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3 堅持された形です。
1月末頃になると、改定内容の個別項目が概ね明らかになってきて、そこでは調剤基本料や基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算など収支に直接かつ大きく影響する項目の方向性が見えてきます。
ただこの時点で重要なのは、薬価ベースでの薬価の引き下げ率です。
抜本改革による改定というのは、高額な新薬の薬価の見直しや新薬創出加算などの制度の見直しなどによるもので、店舗で大きく影響するのは通常の薬価改定によるものの方です。
薬価改定と抜本改革の引き下げの割合はおよそ、0.82:0.18 なので、通常薬価の引き下げ率は7% × 0.82 = 5.8% となります。
この数字は概ねこれまでの薬価改定と同程度と言えるでしょう。
皆さんの薬局の在庫価値が3月31日から4月1日になると、何もしなくても約5.8%下がってしまうということです。薬価ベースで1000万円の在庫があったとすると、4月1日には942万円になってしまう、58万円分の価値がなくなるということです。
薬局の備蓄品目と備蓄量によっては、引下げ率は増減しますので概ね5~7%程度の引き下げを見込んでおくといいでしょう。
今回改定では、長期に収載されている先発品の薬価引下げ幅を大きくするという話も出ていますので、後発医薬品調剤率が低い薬局では引下げ率は大きくなることも予想されますね。
先日アルフレッサのMSさんからもらった資料には、後発医薬品調剤体制加算については、現状の2段階の要件設定が継続されそう、との記載がありました。
このブログで、「80%の1段階のみになりそう!」という記事を書いたので、私的にはショックなのですがそんなことを言っていてもしょうがないので、2段間の場合を想定しておきましょう。
もらった資料では、現状、65%(18点)、75%(22点)のところ、75%と85%になる見込みのような記載でした。点数はそのままスライドか?といった感じです。
(こちらもご覧ください)
この後は、例年通りの流れとすると
1月末頃:個別改定項目の答申(点数なし)
3月上旬(5日頃):薬価改定含む診療報酬改定の告示
3月下旬:厚労省からQ&Aの公開、各地で厚生局の説明会開催など
となるでしょう。
==============================
H30.2.12追記
2月7日に個別改定項目(点数含む)の答申がありました。
こちらのページで調剤報酬部分について解説していますので、是非どうぞ。
薬局長目線の解説:2018年(平成30年)診療報酬改定内容が決定!! - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo
==============================
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現時点で薬局で取り組むべきことは、
です。
などの早めに取り組んでおかないと、3月になってからではアップアップしてしまいますよね。
特にチェーン内他店舗への引き取り依頼は、相手先店舗が3月末までギリギリの在庫になるように発注した後ではもらってもらえないことが多いので、早め(1月中がベスト!)に依頼しておきましょう。
返品は過去記事(毎年薬価改定になると、薬局はどうすればいい?? - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo)でも触れましたが、厳密には4月になってからでも構いませんが、経営上数字を正確に把握するためには3月中に返品伝票が来るように段取りしましょう。
3月末までの使用見込みを割り出す方法は、なかなか手間がかかるのですがExcelを使えばちゃんとできます。VBA(マクロ)を使えるなら、全品目(ただし、内服薬)について自動化することもできます。
(折を見て、紹介しますね)
過去記事では、後発医薬品調剤体制加算の要件は80%以上の1段階のみと書いたのですが、85%、75%の2段階になるとしたら現状で80%弱~80%前半の薬局は85%をクリアするために対策をすぐに始めたいところです。
私の薬局も80%をクリアしていて、12月にオルメサルタン、ロスバスタチン、イルベサルタンの3成分でジェネリックを採用したので80%は安泰と思って余裕こいていましたが、それでも12月単月の実績だと82%ちょっとでした。
やばいです!あと3%分も何とかしないといけません。
4月から加算を算定するには1~3月の実績でクリアすればいいので、すぐに手を打って何とか間に合わせたいものです。
ちなみに私の薬局では、3ヶ月の(薬価収載単位の)使用量が500~1500とそれほど大きくない品目で、今までなんとなく後発品を採用していなかった品目を見直し始めました。
調剤基本料についても議論が多く、チェーン薬局や集中率の高い門前薬局、敷地内薬局などの基本料を引き下げる話や、基準調剤加算の要件に電子お薬手帳の採用有無や、在宅関連実績の充実を求める話などがあるようです。
ただし、2年前の基本料の枠組みの改定の時は、細かい要件(月間受付〇回超、集中率〇%超など)は3月の告示まで詳細は出なかったので、今回も3月上旬まではやきもきしながら待つしかないかもしれませんね。
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(H30年11月追記)
2019年10月の消費増税に合わせての薬価改定の議論が熱を帯びています。
こちらもご覧ください。
2019年10月の消費増税と薬価改定 - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo
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来年度の診療報酬改定の議論の中で、今まで2年に1回だった薬価改定を毎年実施することについて、「2021年から実施する」という方向でまとまりそう、ということです。
ということは、
平成30年(2018年)4月 診療報酬改定・薬価改定・介護報酬改定
平成31年(2019年)4月 薬価改定(H30.7.6訂正)
〇〇元年(2019年)10月 消費税8%⇒10%に増税
&診療報酬改定があるかも(H30.7.6訂正)
〇〇2年(2020年)4月 診療報酬改定・薬価改定
〇〇3年(2021年)4月 薬価改定・介護報酬改定
〇〇4年(2022年)4月 診療報酬改定・薬価改定
〇〇5年(2023年)4月 薬価改定
〇〇6年(2024年)4月 診療報酬改定・薬価改定・介護報酬改定
というスケジュールになります。
※現天皇の退位が2019年4月末になるのが有力だそうです。2019年5月からは新元号となりそうです。
つまり、「2018年以降毎年薬価改定が実施されることになる」ということです。
2019年4月に薬価改定をしないというのは、同年10月に予定されている消費増税の影響を含めて今の中医協で議論をすることは困難との判断もあったのでしょうかね。(H30.7.6 取消)
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2019年10月の消費増税の影響を踏まえて、2019年4月には全品目の薬価改定が行われる予定となっていました!!
また、消費増税による医療機関の経費増を手当てするための診療報酬改定も検討されているようですが、これはまだ実施するかどうか、実施するならその時期は、などについては現在検討中のようです。
こちらのサイトが大変参考になりますので紹介しておきます。
2019年10月の消費税率引き上げに備え、薬価・材料価格の調査を実施―消費税分科会 | メディ・ウォッチ | データが拓く新時代医療
消費増税だからって薬価改定されても、診療報酬で補填されなければ薬局の損税ばっかり増えてしまいますね。(H30.7.8追記)
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前回の消費増税は2014年4月で、改定のタイミングとピッタリだったため、一包化の加算が7日当たり30点→32点になったりと一応消費増税の影響を踏まえたものでした。
しかし今回の増税のタイミングは改定から1年半も後なので、なるべく増税には触れないまま点数を決めたいという思惑もあるのでしょうか。。。
我々薬局で働くものとしては、御上が決めることにどう対応していくか、に尽きますので「毎年薬価改定」の売り上げと在庫への影響について考えてみます。
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分割品目の発注の適否についてはこちらをどうぞ(H30.2.18追記)
薬価改定に向けて分割品購入はお得か? - 調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo
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目次
続きを読む
調剤薬局で本部側の役職を持つ方には、ちょっとショッキングな記事が出てしまいました。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201711/553569.html
ウエルシアは2010年頃からか、当時の社長の肝いりで「非処方せん薬の販売」を始めました。当初は困っている方のお役に立つことと、そういう「武器」を持つことで他のドラッグストアとの差別化を目的としていました。
ですが、間もなくグループ会社の調剤部長の間で「売上げ競争」が始まり、その頃から「いつかは起こる事」だったのでしょう。
当時から「誤って」処方せん医薬品を処方せんなしで販売する事案があり、レセコン入力の際にチェックがかかるようにレセコンメーカーに機能追加を要請した、などの経緯もあります。
ちなみに、薬機法の規定では処方せんによらずに処方せん医薬品を販売等した場合は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または両方を併科する」となっています。(法第八十四条十七)
この医療用医薬品の不正販売は大手のドラッグストアに限った問題でもなさそうです。
皆さんの会社では従業員が薬局にある医療用医薬品を購入することを認めている会社も多いことでしょう。
ちょっとした症状のために、仕事を休んで医療機関を受診したがそれほど大した診断もなく、ごくありがちな処方内容の処方せんで家の近くの薬局で薬をもらった。ということがあったとしましょう。
そんな大したことがないなら、仕事場の薬局にある薬を薬剤師が選んであげれば、本人も、薬局の現場も助かる。ということも多いでしょう。
そんな時、場合によっては抗生剤が欲しい場合もあるでしょう。
事務スタッフが抗生剤を買いたいと言ってきたら、どうしますか???
そうです、事務スタッフに抗生剤を販売したらアウトなんです。。。
中には、それを分かっていて、薬剤師が購入したことにして個人的に譲渡する、なんてこともやってないですか?(しかもお金をもらっていれば”販売”です)
今回のウエルシアの件は最低限のガバナンスが利いていたとみることもできるでしょう。ガバナンスが機能していない薬局が全国5万薬局のうちどれほどあるかを考えるとぞっとします。
薬剤師会の幹部の経営する薬局も例外ではなさそうです。
ただ、今回は「元従業員」が行ったとされています。現在はウエルシアを退職しているのでしょう。現在もウエルシア社員だったら、保健所に相談していたでしょうか??
本社側としては当該薬剤師が既に退職しているので、敢えてオープンにした方が企業イメージへのダメージを最小限に出来ると踏んだと考えるのが妥当でしょう。
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次に、今回の問題をシステム的な観点で考えてみます。
チェーン薬局ではいわゆる本部システムなるものを導入していて、各店の売り上げ、在庫状況が一元的に把握できるようになっていることでしょう。
1.の確認をしていない薬局はほぼないでしょうが、2.をしっかり確認している薬局はどれだけあるでしょうか。レセコン売り上げは確認しているという薬局はあっても、分譲品の代金まで確認しているところは少ないのではないでしょうか。
さらに言えば分譲の際、在庫システムで出庫処理を行いますが、その時に「分譲単価」が適切かどうかまでチェックしてますか?通常は薬価で登録し、外税を合わせた金額を請求するでしょう。
しかし、担当者が故意かどうかは別として「適当な」単価で登録したらどうでしょうか?だれがどの時点で間違いに気づくことができるでしょうか。
更にさらに言えば、
お金の問題ならその会社で解決すればいいだけですが、向精神薬を廃棄したように見せかけて横流ししていた…なんてことになっていたらどうしますか?
私たち医療業界は性善説を原則にして仕事が構成されてきました。グループ薬局では当たり前になっている本部システムも不正を抑止(又は監視)する目的で開発されてきませんでした。
なので本部担当者は本部システムから得られるデータを駆使して、不正の可能性がないかどうかをチェックする必要があります。
今回の件では3年間も放置されたままでした。
紙薬歴の薬歴未記載は現場に行って確認しないと分かりませんが、今回の不正はある程度データで判断が可能です。
本部のシステムやデータの担当者は何をやっていたのかな??と思わざるを得ないですね。また、氷山の一角かもしれませんので、現場からの自己申告を促しつつ、本部で今一生懸命データをさらっているかもしれません。
(広報IRで発表したので、これ以上は不正はない、ということなのかもしれませんが)
そもそもデータを活用していればこんなことにはならなかったのにね。。。