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薬局長目線の解説:2018年(平成30年)診療報酬改定内容が決定!!

 

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2月7日(水)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

既に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋しました。

 

目次

 

 

見出しタイトルの色が赤:点数増青:点数減としました

 

かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料

概要:点数は引き上げ、要件は若干厳しくなりました

点数:現行かかりつけ薬剤師指導料70点→73点、同包括管理料270点→280点

要件など:

  • 患者状態を踏まえたかかりつけ薬剤師の必要性や患者要望を確認すること
  • 同意の取得に係る書類の様式を整備
  • 当該保険薬局での在籍期間 6ヶ月以上 → 12ヶ月以上
  • 勤務状況 育児・介護休業法で定める期間は週24時間以上かつ週4日以上
  • 調剤基本料に係る特例対象から除外する取り扱い(調剤基本料1への救済要件)を廃止

解説:

「取りやすい患者で算定する」という薬局本位のものではなく、患者本位のものとなるように制度上明記しておくから、くれぐれも無節操なことはするなよ。という厚労省のメッセージでしょう。医師会の意見を受けて在籍期間は12ヶ月以上とし、保険薬局協会などが訴えていた「パートでもかかりつけ薬剤師に!」というのは却下された代わりに、育児・介護期間中は勤務時間の要件は緩和しますよ。ということ。

かかりつけ薬剤師が真に必要な患者に的を絞りより良質な薬学的指導を実施することを期待して点数も少し上げるから、ちゃんとやってね、ということでしょう。

 

地域支援体制加算(新設)

概要:基準調剤加算を廃止し、地域支援の実績等を踏まえた評価にする

点数:行基準調剤加算32点→35点

要件など:[施設基準]
(1) 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。(※)

1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。

① 夜間・休日等の対応実績 400 回
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回
③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回 (☆新設)
④ 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回
⑤ 服薬情報等提供料の実績 60 回
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10 回
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回
⑧ 外来服薬支援料の実績 12 回

(2) 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
(3) 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること
(4) 一定時間以上開局していること。
(5) 十分な数の医薬品を備蓄していること。
(6) 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。
(7) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24 時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
(8) 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
(9) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。
(10) 当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。
(11) 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が5割以上であること。

(12) 区分番号00 の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の基準を全て満たすこととし、(1)を適用しない。
麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
② 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
③ かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。

 

解説:現行の基準調剤加算をベースとして、より地域に貢献していることを求める形になりました。調剤基本料1を算定する薬局以外でも算定可能にするため、要件(1)を満たすことが求められました。

また、、門前型薬局に厳しくする一環で、「集中率85%以下の場合、後発医薬品調剤率50%以上であること」と現行の基準調剤加算より厳しくなりました。

《要件1の現実味》について、、、

① 夜間・休日等の対応実績 400 回

年間50週の営業と考えると常勤薬剤師1人当たり週8回の受付が必要です。平日19時以降と土曜日の午後に営業しているとしても、なかなか達成は難しそうですね。営業時間の要件を満たすためにただ開けているだけではダメ、ということでしょうか。

当番医対応での応需も、私の地域で内科だと多くて年間4回くらいですので、1回当たり平均100回の受付としても合計400回。薬剤師1人分の受付しか達成できません。

近隣医療機関が土曜日午後や日曜日も診療しているとかであれば行けそうですね。
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40 回

こちらは月間で考えてみると、1人当たり月4回あればOKですが、私の薬局では常勤換算で3.6人ですので薬局としては月12回の算定が必要です。

これは残薬調整などに取り組めば行けそうですね。
③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回 (☆新設)

新設で今回改定の目玉の一つです(後述)。各薬剤師が「この人!」と思う患者さんを選んでおき来年の3月までに実績を上げればOK。行けそうですよ。
④ 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12 回

単純に考えると、各薬剤師が個人在宅を1件担当しなさいよ。ということでしょう。ただし、多くの場合医師の訪問診療は月2回で処方せんもその都度交付されるので、個人在宅の患者さん1人につき年間24回の実績となりますので、私の薬局の場合は個人在宅患者が2人いれば要件クリアできます。既に在宅訪問の実績を持つ薬局ではハードルは低めということになりますね。
⑤ 服薬情報等提供料の実績 60 回

これは厳しい感じですね。月間で考えると薬剤師1人当たり月5回、常勤3.6人で月18回の実績が必要です。服薬指導時に、服薬に係る問題を積極的に患者さんから聞き出し、同意を得て処方医に情報提供するしかないでしょう。毎月1人5回が目標となります。

注意したいのは、情報提供したうえで、次回受付時に算定できる点です。それを見越して少なくとも3月から取り組むのが賢明でしょう。
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10 回

これが最も厳しいかもしれませんね。麻薬を月1回処方される患者さんが薬剤師とほぼ同数いないといけません。麻薬が処方されるかどうかは、薬局ではどうしようもないですよね。近隣の医師が在宅療養で末期がんの患者さんの受け入れに熱心だったりすれば割とすぐにクリアできそうですが、そうでないと厳しいでしょう。医師に今回改定の内容を説明して、がん疼痛ケアに取り組んでもらうしかないでしょう。
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40 回

こちらもなかなか厳しいでしょうか。かかりつけ薬剤師として月3~4回の指導実績があればいいのですが、パートを含めて常勤薬剤師全員がかかりつけ薬剤師という薬局は少ないでしょうから、かかりつけ薬剤師でない薬剤師の分までとなるとかなり頑張らなければ、となります。私の薬局ではかかりつけの届出をしている薬剤師は私だけで、4月から4年目になる薬剤師を入れても2人。新卒薬剤師が1人入社予定であることを考えると、常勤4.6人、必要な実績は年間184回となり、かかりつけ薬剤師2人で月間16回の算定が必要です。処方日数が長期化している中で月16回を維持するためには、20~30人の患者からかかりつけの同意をもらう必要があるでしょう。
⑧ 外来服薬支援料の実績 12 回

各薬剤師が毎月1回服薬支援を実施するということですが、毎月1回を維持するのってなかなか厳しいところです。私の薬局では、出入りしている介護施設に新規入所される方の持参薬を整理・一包化の依頼を受けた時に算定することが多いですが、そんな度々はありません。定期的に他科受診をされている患者さんでPTPで渡されて困っている、という患者さんの掘り起こしをして各薬剤師が2人くらい見つけられればいけそうですね。

 

 

未妥結減算

概要:妥結率が5割以下の場合の調剤基本料の減算幅を大きくするとともに、単品単価契約への移行を打ち出すものとなった

点数:<現行>調剤基本料4(31点)、調剤基本料5(19点) →調剤基本料減算(100分の50)

要件など:次のいずれかに該当する保険薬局であること
(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が5割以下であること。
(2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していないこと。

(3) (略:後述)

解説:現行では未妥結減算として調剤基本料1に相当する薬局は調剤基本料4を、調剤基本料2に相当する薬局は調剤基本料5を調剤基本料3に相当する薬局は特別調剤基本料を算定することになっていて、概ね100分の75に相当する点数となっていますが、減算幅が大きくなった形です。

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無菌製剤処理加算他

概要:無菌製剤処理加算の評価を見直し、乳幼児に対する業務の評価を新設すること

点数:<現行>65点、75点→67点、77点

   <現行 乳幼児の場合>130点、140点→135点、145点

   《在宅患者訪問薬剤管理指導料》

     6歳未満の患者・訪問した場合の加算(新設) 100点

要件など:無菌製剤処理加算については要件に変更なし

     在宅患者訪問薬剤管理指導料:患者が6歳未満

解説:無菌製剤処理加算を1日につき2~5点加点となりました。そうですか、ありがとう。というくらいですよね。無菌製剤処理加算については、6歳未満の乳幼児かどうかというより、何種の注射薬を混注するかで点数を分けた方が実際の業務負担を反映できるのにね、と思います。在宅患者訪問薬剤管理指導の乳幼児加算はとてもありがたいですね。

 

服用薬剤調整支援料(新設)

概要:薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。

点数:125点

要件など:6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、処方医に対して、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。

解説:対人業務の目玉の一つです。薬局主導で保険医と共同してポリファーマシーの対策をしてくれ、ということでしょう。ある厚労省の研究会メンバーの先生(医師)は「医者にはポリファーマシーは解決できない」と断言されていました。患者の訴えや副作用のモニタリングから減薬の可能性を検討し医師に提案する。ある意味薬剤師の本分が制度的に可能になるので、各薬局でしっかり取り組みたいですよね。私の薬局では、これから近隣医と打ち合わせをして、各薬剤師が少なくとも年1回は算定できるようにしたいなと思っています。

 

 

在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費

概要:同一建物居住者に対する訪問指導の評価から、単一建物診療患者の人数による評価へ変更し医科報酬と考え方を揃える。

点数:

【在宅患者訪問薬剤管理指導料】/【居宅療養管理指導費】

同一建物居住者以外 650点/503単位

同一建物居住者   300点/352単位

→単一建物診療患者数 1人 650点/507点

 単一建物診療患者数 2~9人 320点376単位

 単一建物診療患者数 10人以上 290点344単位

ただし、以下のいずれかの場合は単一建物診療患者数が1人であるものとみなされる

  • 建築物の戸数の10%以下の場合
  • 建築物の戸数が20戸未満で在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するものの数が2人以下の場合

解説:前回改定で変更された医科の基準に合わせることになります。現行では同一日に何人の患者を訪問するかという基準でしたが、同月に訪問する患者数が基準になります。10人以上の患者がいる施設では点数減をなりますが、個人宅のご夫婦を訪問する場合は但し書きにより、それぞれに650点/507単位を算定できることになります。細かい運用規定は3月5日(予測)の告示の際に発表されるものと思われます。

 

薬剤服用歴管理指導料

概要:継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、要件を追加するとともに評価を見直す。併せて乳幼児指導加算の評価を充実する

点数:【薬剤服用歴管理指導料】

<現行>6か月以内に来局あり 38点 →<改定後>41点

    6ヶ月以内に来局なし or 手帳持参なし 50点 →  53点 

    特養入所患者 38点 →  41点※

    調剤基本料1・4以外 50点 → 調剤基本料1以外 53点

    《新設》手帳活用不十分な薬局 13点

   【乳幼児服薬指導加算】10点→12点*

要件など:

  • 薬剤服用歴の記録に次回の服薬指導の計画を追加する
  • ※施設を訪問して実施した場合
  • 手帳活用不十分(13点):6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が5割以下
  • *手帳活用不十分な薬局となった場合は、「麻薬加算」「重複投薬・相互作用等防止加算」「特定薬剤管理指導加算」「乳幼児指導加算」の算定もできなくなります。

解説:より連続した指導を実施するために、次回の指導計画を要件に加え増点とされました。特養入所者に対しては「訪問すること」が要件になったため、看護師への電話やFAXでの伝達・指導では算定不可となり、薬剤師が直接施設を訪問することが明記されることになりそうです。手帳活用不十分な薬局はどのように判定するかが気になるところですね。基本料1以外の薬局では指導料は手帳持参の有無に関係なく53点のみとなりますので、このままでは手帳持参かどうかを判定できません。これも3月5日(予測)の告示の際の発表を待つしかありませんね。

 

重複投薬・相互作用等防止加算

概要:残薬調整に係るもの以外の評価を見直す

点数:(在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料についても同じ)

<現行>30点 → 1 残薬調整に係るもの以外の場合 40点
         2 残薬調整に係るものの場合 30点

解説:現行の残薬調整に係る加算を評価しつつ、それ以外についてももっと頑張って欲しい、ということなんだなと理解しました。

服薬情報等提供料

概要:保険医療機関の求めがあった場合の評価を見直す

点数:<現行>20点 →1 服薬情報等提供料1 30点
           2 服薬情報等提供料2 20点

要件など:保険医療機関の求めがあった場合において、患者の同意を得た上で、薬剤の使用が適切に行われるよう、調剤後も当該患者の服用薬の情報等について把握し、保険医療機関に必要な情報を文書により提供等した場合に月に1回に限り算定する。これらの内容等については薬剤服用歴に記録すること。

解説:個人的には「医療機関からの求めがあった場合って、そんなのほとんどないよ」と即座に思ってしまいました。ただ、医科の資料にも目を通していくと、「処方箋料・向精神薬調整連携加算12点」というのがありました。

直近の処方時に、向精神薬の多剤処方の状態にあった患者又は不安の症状又は不眠の症状に対し、ベンゾジアゼピン系の薬剤を12 月以上、連続して同一の用法・用量で処方されていた患者であって、減薬の上、薬剤師(処方料については薬剤師又は看護職員)に症状の変化等の確認を指示した場合

変化の確認を指示された患者について、ある期間、場合によっては毎月文書にて医師に報告すれば行けそうですね。多剤処方って何剤?とか、は3月5日に分かるでしょう。薬局としては医師に説明する必要もあるでしょうから、処方箋料・向精神薬調整連携加算の内容と、報告書のひな型の作成などを3月に始めたいところです。

 

内服薬調剤料

概要:対物業務から対人業務への構造的な転換を進める

点数:

ロ 15日分以上 21日分以下の場合70点 →67点
ハ 22日分以上 30日分以下の場合80点 →78点
ニ 31日分以上の場合87点 →86点

解説:思ったより減点幅が小さかった印象です。個人的には内服薬調剤料よりも吸入薬や点鼻薬などデバイス使用に係る手技の指導をもっと評価してもらいたいと常々思っていますけどね。。。

イナビルを薬局で吸ってもらうための指導と、説明書や動画見て家で吸ってくださいというのとがどちらも10点ておかしいですよね。

 

後発医薬品調剤体制加算

概要:後発医薬品の調剤数量割合の基準を引き上げ、調剤数量に応じた評価に見直すとともに、後発医薬品の調剤数量割合の低い薬局においては調剤基本料を減算する

点数:

後発医薬品調剤体制加算1 65%18点 → 75%18点

後発医薬品調剤体制加算2 75%22点 → 80%22点

後発医薬品調剤体制加算3  (新設)  → 85%26点

調剤基本料減算 (新設)  2点

要件など:【調剤基本料減算】受付回数月600回超で後発医薬品調剤率が20%以下、あるいは後発医薬品調剤率の報告をしていない薬局

解説:このブログの記事で昨年9月の私の予測は大きく外れてしまいました!

思いのほか大盤振舞いでしたね。国としてはH29年度半ばに70%の目標を立てていましたが、実際は65.8%と4.2ポイントも下回っており、2年後に80%を達成するためにはまだまだ底上げが必要と判断したのでしょう。80%未満でも評価する要件が必要だったんです。しかも点数も厚いままでした。

各薬局では1~3月の実績で各要件をクリアするために、あとどれだけ置き換えが必要かを実績データから割り出し、即行動しないといけませんね。

 

分割調剤

概要:分割調剤の手続きの明確化・合理化を図る観点から、分割調剤に係る処方箋様式を追加するとともに、具体的な取扱いを明確にする

要件など:[分割調剤に係る留意事項]

  1. 分割指示に係る処方箋を発行する場合、分割の回数は3回までとするこ
    と。
  2. 分割指示に係る処方箋を発行した場合は、患者に対し、調剤を受ける度
    に、記載された回数に応じた処方箋及び別紙を保険薬局に提出するよう指
    導すること。
  3. 保険薬局の保険薬剤師は、分割指示に係る処方箋の交付を受けた患者に
    対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の保険薬局で調剤を受ける
    べきである旨を説明すること。
  4. 保険薬局の保険薬剤師は、患者の次回の調剤を受ける予定を確認するこ
    と。予定される時期に患者が来局しない場合は、電話等により調剤の状況
    を確認すること。患者が別の保険薬局にて調剤を受けることを申し出てい
    る場合は、当該保険薬局に調剤の状況とともに必要な情報を予め提供する
    こと。
  5. 受付保険薬局情報において、1枚目の処方箋が処方箋の使用期間内に受
    け付けられたことが確認できない場合は、当該処方箋は無効とすること。

解説:前回改定で導入された「分割指示処方箋」の取り扱いをより明確化することで分割調剤の実績を作りたい、ということでしょう。厚労省としては容体の安定している患者にほぼ処方せんをもらうためだけに受診されることは、なるべく避けたい。将来は海外の例を参考に日本版リフィル処方せんを導入したい、というのが透けて見える気がします。そのためには実績が何より大事、ということで分割調剤が進むように要件を明確に分かりやすくした、ということですね。

調剤基本料

概要:

(1) 調剤基本料3について、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。

(2) 調剤基本料3について、グループ全体の処方箋受付回数が多い、特に大型の門前薬局の評価をさらに適正化する。

(3) 調剤基本料2について、処方箋の受付回数が2,000 回を超える保険薬局における特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げる。

(4) 調剤基本料2について、以下の場合を追加する。

  1. 当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数が一定数を超える場合。
  2. 同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋を含めた受付回数が一定数を超える場合。

(5) 特定の医療機関との不動産取引の関係がある等のいわゆる同一敷地内薬局に対する評価を見直す。

点数:

調剤基本料1 41 点 → 41点
調剤基本料2 25 点 → 25点
調剤基本料3 20 点 → イ 20点/ロ 15点
調剤基本料4 31 点 → 削除
調剤基本料5 19 点 → 削除
特別調剤基本料 15点 → 10点

未妥結減算 100分の50 → 100分の50

要件など:

【調剤基本料1】

  •  かかりつけ薬剤師指導料などの実績による特例→削除
  •  (新設)へき地の薬局(特定区域内、区域内の医療機関数が10以下、月の受付回数2500回以下)

【調剤基本料2】 

  • 1月の受付回数と集中率>2000回超かつ90%超→2000回超かつ集中率85%
  • 特定医療機関からの受付が4000回超→特定医療機関+同一所在地医療機関の受付の合計が4000回超
  • (新設)同一グループで特定医療機関が同じ場合はそれらの合計が4000回超

【調剤基本料3】同一グループ受付4万回超かつ集中率95%超

→【調剤基本料3のイ】

 同一グループ4万回超40万回以下で、集中率が85%

→【調剤基本料3のロ】

 同一グループ40万回超で、集中率が85%

【特別調剤基本料】

次のいずれか

  • 保険医療機関(病院)と不動産取引等の関係がある薬局で当該病院の集中率が95%超
  • 調剤基本料1,2,3のイ又はロ、のいずれにも該当しない

【未妥結減算】

次のいずれか

  • 妥結率が5割以下
  • 妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について未報告
  • 月受付が600回超で、かかりつけ薬局に係る業務が年間0件

 解説:ざっとまとめるとこんな感じでしょう。

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集中率の高い薬局の基本料をさらに下げていくという流れが継続され、集中率の要件が90%(調剤基本料3は95%)→85%に引き下げられました。一方で、調剤基本料2の受付回数については現状維持でした。

医療モールや敷地内薬局の集中率にメスを入れたのと、大手チェーン薬局をさらに減点するという意思が伝わりますね。

 

調剤基本料2に該当する薬局としては、受付回数を減らすか、集中率を下げるかの対策が必要です。近隣医以外の医療機関から施設患者の処方せんを応需するとか、近隣医の処方日数を伸ばしてもらい受付回数を減らすか、くらいでしょうか。

特定の受付が4000回超となる薬局は、今までは第2薬局を作ればよかったのですが、今回はその仕組みにもメスが入ったので素直に諦めましょう(笑)

 

調剤基本料3に該当する薬局は、グループ全体の受付回数を減らすことなどはほぼ不可能ですから、集中率を下げるため近隣医の処方せん受付を減らすか、他の医療機関の処方せん受付を増やすか、または両方をやらないといけません。普通に考えれば、訪問専門診療所の医師と施設に営業をかけることが手っ取り早そうですね。

月4,000回の受付で集中率が90%とすると、

 4000×90%÷85%=4236 

月236回の受付を増やさないといけません。特養2軒分(1患者月2回処方で)でもギリギリ足りるかどうか、というところです。施設患者の処方せんを応需すると急なお届などの対応も必要になりますので、そのための体制作りも不可避です。

 

 

ヘパリン類似物質の処方に係る要件の見直し

概要:血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用について、美容目的などの疾病の治療以外を目的としたものについては、保険給付の対象外である旨を明確化する

要件など:【投薬】

入院中の患者以外の患者に対して血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)を処方された場合で、疾病の治療であることが明らかであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合を除き、これを算定しない。

解説:週刊誌記事で話題になってしまい、何か対策を、ということでしたが、例によって「医師の処方権が云々」となり、保険者が疑わしいレセプトを査定すればいいんじゃないの?という結論になりました。「医者はポリファーマシーを解決できない」から仕方ないですね。

 

 

以上、ざっとまとめてみました。

今後、それぞれの項目についてExcel的な記事を上げたいと思っています。

例)後発医薬品調剤率を上がるためには?