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〔備忘録〕CADDレガシーポンプ カセット交換

 

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ブログのテーマ(Excel)とは離れるのですが、しばらく前に自分が苦労した時の事を整理しておこうと思います。

  

持続皮下注ポンプ用の薬剤を交付する場合、大きく二通りがあると思います。

それは、、、

薬剤師が交換するか、訪問看護師が交換するか

 

ちょっと待って、、、持続皮下注?、ポンプ??、交換???

って何のこと~そんなん薬学部でも今までの職場でも教えてもらったことも、何にもないよ!!!

 更に、最近は訪看さんも忙しく、「薬のことは薬局で」という流れが多いみたいで、この時は薬剤師(私!)がカセットの交換を担当することになりました。

というか、医師の訪問診療に同行している最中の出来事で何が何だかよく分からないまま、医師と訪看さんの言うようにするしかなかった、というのがほんとのとこでした。(トホホ…)

 

で、実際の薬剤カセットの交換をざっと4ステップで考えてみます。

 

  1. 処方設計
  2. カセット・エクステンションチューブなどの準備
  3. 薬剤調製・カセットへの充填
  4. カセットの交換

 

1.処方設計

 

まず、医師と1時間当たりの薬剤投与量を確認します。

例)オキファスト注(オキシコドン10mg/mL)を1時間2mL

  フラッシュ(レスキュー)として1時間相当量

この場合、50mL、100mL、250mLと3種あるメディケーションカセットのどれを選択すべきでしょうか?

 

薬剤の投与量を検討するときは1日に必要な量を考えるのが普通だと思いますが、持続皮下注かつフラッシュ(レスキュー)の場合は、カセットの用量を「時間数」として考えると分かりやすくなります。

 

つまり2mL/hの流速で投与する場合、

50mLカセット:50÷2=25(時間分)

100mLカセット:50(時間分)

250mLカセット:125(時間分) となります。

 

この「時間数」を24(時間)で割ると、

50mL:1日+1(時間)

100mL:2日+2(時間)

250mL:5日+5(時間) となります。

1時間分というのはフラッシュ(レスキュー)1回分に相当しますから、50mLカセットではフラッシュ回数が1日1回あるかないかでも毎日の交換が必要で、100mLカセットも同様で2日おきに交換が必要となります。

※実際には後述する「プライミング」のために用量が消費されるため、さらに1時間程度早くなります

 

フラッシュの回数が増えたらその分だけ、交換のタイミングを早めないといけなくなります。(1回増えるごとに1時間前倒しが必要)

 

ガン末期の患者に対しては、週2回かつ月8回までの訪問薬剤管理指導が実施できるので通常薬剤師による訪問は週2回をベースに計画を立てるでしょう。

しかし、50mL、100mLのカセットでは週2回の訪問では間に合いそうにありません。

また、処方箋交付の頻度≒医師の訪問診療回数も頻繁に、とはいかないでしょう。

という訳で、1時間2mLの流速の場合に週2回のカセット交換で間に合わせるためには「250mLカセット」を選択すべき。というのが答えになります。

 

それでは、250mLカセットを選択した場合の、フラッシュ回数と交換タイミングはどうなるでしょうか。

1日レスキュー(フラッシュ)回数

250mLカセットでの持続日数

      1回/日

     約5日分

     2〜7回/日

     約4日分

      8〜17回/日

     約3日分

ざっとこの表のようになります。フラッシュが1日5回以上となりそうなら余裕を見て3日おきに交換の計画を立てておくといいでしょう。

 

2.カセット・エクステンションチューブなどの準備

 

選択すべきカセットのサイズが分かったら、処方せんが交付される前にカセットなど必要な医療材料の手配をします。

 

たいていの場合ポンプレンタル業者(高度管理医療機器賃貸業者)から既にポンプが貸し出されていて、病院退院前に導入された状態で退院・在宅療養開始となっています。

カセット交換の際にはカセットとエクステンションチューブが必要になるのですが、これら消耗品をポンプレンタル業者に依頼して薬局に届けてもらいます。

 

※レンタル業者には在宅悪性腫瘍患者指導管理料・注入ポンプ加算を算定する医療機関(主に在宅医)とレンタル契約してもらい、レンタル業者からの費用請求先はその医療機関になります。

医療機関は、在宅悪性腫瘍患者指導管理料1500点/月、注入ポンプ加算1250点/月を算定できるが、ポンプレンタル料23000円前後/月、カセット&チューブ3000~5000円/交換の支出があります。

 

 

この他に皮下注用の留置針、ドレッシングテープなどが必要です。今までは医療機関訪問看護師(処置する側)が用意することがほとんどでしたが、健康サポート薬局などの流れの中では保険薬局が提供することも増えていくでしょう。

 

3.薬剤調製・カセットへの充填

 私の薬局は無菌室があるので、無菌下でカセットへの充填を行います。

麻薬を希釈して一つのカセットに充填する場合は、無菌製剤処理加算(1日分のみ)が算定できますが、今回の例では原液をそのまま詰め替えるだけなので同加算は算定できません。

 

250mLカセットに充填し、3日おきに交換、フラッシュ(レスキュー)は2時間に1回ペースとして、(24時間+12時間分(フラッシュ))×3=108時間分⇒216mLが必要です。

 

処方:オキファスト注50mg/5mL 45筒

   1時間に2mLを持続皮下注

という内容で処方してもらうといいでしょう。

 これを無菌室でバイアルからカセットに詰め直す作業になりますが、バイアルから「抜く」作業が45回(45筒分)もあるんです!!

せめてカセットに「詰める」作業を減らしたいところなので、30~50mLの「ロックシリンジ」を用意しましょう。

※ロックシリンジなら作業を中断することができます。シリンジのサイズが大きいと「抜く」時に大きな力が必要になります。通常は左手でアンプルを持ち、右手でシリンジのピストンを抜いていくので片手で操作できるのが50mLまでが妥当でしょう。小さいと「詰める」回数がその分増えてしまいます。

 

 

4.カセットの交換

さて、いよいよカセットの交換です。薬剤を充填したメディケーションカセットを用意して患者さんのお宅に向かいます。

交換時にはなるべくカセット内の薬剤の残量が少ない方が、廃棄薬剤が少なくて済みますので、午前に行くのか、お昼過ぎがいいのか、夕方がいいのかを訪看さんと連絡して確認しておくといいでしょう。 

 

患者さんのお宅に持参するのは、薬剤を充填したメディケーションカセット、エクステンションチューブ、消毒用アルコールです。

 

患者さんとポンプまでは下図のように繋がれています。

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ⅰ)交換作業を始める際に手指を消毒します。

ⅱ)ポンプを止める

ⅲ)ロックレベルの設定を2⇒0に変更

ⅳ)エクステンションチューブ(青)、カセットチューブ(赤)のクランプを留める

ⅴ)[B]をはずす

ⅵ)カセット[C]をはずす(専用のカギが必要)

ⅶ)新しいカセット[C]に新しいエクステンションチューブを[B]で取り付ける

  この時、新しいエクステンションチューブの[A]側のキャップはつけたまま

ⅷ)新しいカセット[C]をポンプに取り付ける

※ポンプ中央の「スクロール」ボタンを押していき、ポンプ動作の設定と、現時点までのログを確認・リセットする

ⅸ)新しいカセット[C]側のクランプと、新しいエクステンションチューブのクランプをはずしプライミングを行う

※プライミングとは薬液が充填されたカセットから、カセットに接続されたエクステンションチューブの先まで薬液を満たすこと

ⅹ)新しいエクステンションチューブのクランプを[A}側付近で留める

《患者さん側》

ⅺ)ドレッシングを慎重にはがす

ⅻ)古いエクステンションチューブと留置針の接続[A]をはずして、新しいエクステンションチューブの[A]側コネクタを留置針に接続する

xⅲ)ポンプの動作を再開する

xⅳ)ポンプから留置針までの薬液の流れを確認して、ポンプのロックレベルの設定を0⇒2に変更

xⅴ)患者側 ドレッシングをする

という流れになります。

 

 実際には[A]の接続部が非常にしっかり接続されいて、片側(留置針)が患者に刺さったままで[A]をはずすことは、薬剤師には困難です。

私は冷や汗をかきながらトライしましたが、結局留置針が抜けてしまい、訪看さんに至急対応してもらうことになりました。訪看さんが到着するまで患者さんと2人っきりの居場所のなさは半端なかったですよ。。。

 

【結論】エクステンションチューブの交換が必要ならカセット交換時には、訪看さんの同席が必要。

 エクステンションチューブの交換が必要かは医師に確認するといいでしょう。