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2019年10月の消費増税と薬価改定

 

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随分久しぶりに記事を書いてます(;^_^A

 

第4次安倍内閣が発足して、10月の閣議で2019年10月の消費増税に向けての準備宣言がなされました。

 

これを受けてか中医協での議論に拍車がかかっているようです。

 

ずばり、消費増税に伴う「薬価改定」と「診療報酬改定」です。

 

消費税が導入された1989年4月(3%)、初の税率引き上げとなった1997年4月(3%→5%)、2段階増税の第1弾2014年4月(5%→8%)に続き、4度目の増税となりますが、その時期が10月というのがいろいろと議論を呼んでいますね。

 

なぜ、消費税が上がると薬価改定が必要なのか???

 

なかなかぴんと来ないですよね。。。

 

それでは一緒に考えてみましょう。

 

私たち薬局を含めて保険医療に携わる業界は仕入れに対しては消費税を支払うものの、最終消費者である患者さんからは消費税を頂かないことになっています。

 

仮に薬価1,000円のものを1,000円で仕入れた場合、現在なら消費税が8%乗っかるので卸への支払いは1,080円となります。

これでは、いわゆる「損税」となってしまいます。

 

そこで、

 薬価=「実勢価格」x 1.08(消費税8%) +調整幅

として薬価を算定するというルールがあります。

(詳しくは日本医薬品卸売業連合会のサイト http://www.jpwa.or.jp/ が参考になります)

また普段は聞きなれない「薬価本体価格」という言葉もあります。

 薬価 ÷ 1.08(消費税8%) = 薬価本体価格

として、卸はこの「薬価本体価格」に対していくらで納入するかを医療機関・薬局と交渉するということになっています。

 

そして、今までは2年に1回(薬価改定の前年9月)に、「薬価調査」という実勢価格の調査を実施して、翌年4月の薬価改定に反映される仕組みです。

 

今後この2年に1回の改定作業が毎年実施される、という流れになるのです。

 

 

どんな薬価改定になるの?

 

消費税8%で薬価1,000円の薬剤の「薬価本体価格」は、

 1,000 ÷ 1.08 = 926円 です。

単純に、消費増税に対応するだけなら消費税分を上乗せするだけなので、

 926円 x 1.10 = 1018.5円 が新薬価となります。

 

支払い側が黙っていない

 

消費増税に伴って、1,000円のものが1018.5円に値上がりすることになります。

消費税とは、最終消費者が負担するもので、中間事業者は負担しないでいいのですが、保険診療では最終消費者=支払い者とは言い切れないところが難しいのです。

3割の窓口負担をするのは患者(医療の消費者)ですが、残り7割の支払いは保険者となります。支払いに充てるお金は、国民がそれぞれ給料から天引きされたりする「保険料」と行政からの「補助金」で賄われます。

 

さらに、「保険料」は私たち一人ひとりが払う分、会社が払う分があり、「補助金」とはすなわち税金であるということで、増税の負担が消費者(=患者)だけではなく、国全体で負担することになるという構図になってしまうのです。

 

こうなると支払い側が黙っていない、ということになります。

つまり、

薬価本体価格 x 1.10 ではなく、実勢価格に基づく引下げ x 1.10 という薬価算定を行う、というのが来年の薬価改定なんです。

 

今回の議論において、支払い側の中には、

2018年9月 薬価(実勢価格)調査・・・①

2019年4月 ①の実勢価格に応じた薬価引下げ改定実施・・・②

2019年9月 ②の改定後の実勢価格を調査・・・③

2019年10月 ②の薬価に対し、消費増税分だけ薬価引き上げ改定・・・④

2020年4月 ③を踏まえて薬価引下げの通常改定実施

を主張する中医協議員もいるようです。

 

さすがにこれでは、現場はたまったものじゃありません。

 

支払い側にも良識がある人も多く、「さすがに1年に2回の改定はよくない、19年10月の1回だけ実施する」ということで概ね決まっていくものと思われます。

但し、「薬価調査を通年通り9月に実施しても、10月改定後の実勢価格が分からない→20年4月の薬価改定で適切に薬価を引き下げることが困難になるのではないか?それでは困る。」ということで、落としどころを探っている、という状況のようです。

 

 

薬局はどうしたらいい?

 

19年10月の薬価改定では、単純に消費増税分の引き上げ(1.8%程度)となる薬剤から、実勢価格による引下げがめいっぱいされる薬剤まで、改定率のふり幅が例年よりも大きいかもしれません。

 

通常4月の改定では、新薬価は前月である3月5日前後に公示されますので、19年10月(とすると)薬価改定では、9月の初旬に公示されると思われます。

 

単純に言うと、薬価が上がるものは9月に買いだめ、下がるものは買い控えをするべし、となりますが、在庫管理コストなども含めて考えると、低薬価のもの、高薬価のもの、使用量の多少などで対応を変えるべきでしょう。

 

まずは、19年10月の薬価改定の意味と内容を把握しておきましょう。