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調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

アンケートをExcelで集計解析《回答の転記》

アンケートを集計解析する前には必ず「回答を転記」しなければなりません。しかも、データベースとして利用可能な状態にすることも意識しないと、せっかくの貴重なデータを有効活用できません。
という訳で、今回は回答の転記から集計、解析の手法を紹介します。

 

目次

 

アンケートの回答を転記

アンケートの回答をExcelに転記する方法はいくつかありますが、それぞれの簡単な手順を紹介しますね。

 Excelのフォーム機能を利用

 Excel2007の頃までは標準機能だったと思うのですが、最近はオプションから設定が必要になっています。

「ファイル」タブの「オプション」から、「リボンのユーザー設定」を選択します。

次に「フォーム」アイコンをリボンのどこに配置するかを決めますが、ここでは「データ」タブの「データツール」と「予測」の間に新しいグループを作ってみます。
 ・右側の「データ」の+をクリックし、「データツール」を選択します
 ・「新しいグループ」をクリックし、
 ・次に「名前の変更」をクリックして「フォーム」として登録します

配置する場所ができたら、フォーム機能を追加します
 ・真ん中の「リボンにないコマンド」を選択し
 ・一覧から「フォーム」を選択します(五十音順になっています)
 ・右側で配置すべき場所として「フォーム」を選択していることを確認し
 ・「追加」します
 ・最後に右下の「OK」を押すのを忘れずに!

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これでフォーム機能を利用できるようになりました

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Excelのシートに、アンケートの設問を横に入力していき、項目行とします。

 1-1)勤務施設  勤務施設 その他  1-2)経験年数  2-1)居宅療養管理指導について  2-2)ケアプラン作成数  3-1)面識

データをテーブル化する

項目行~数行分 を選択して、リボンの「挿入」タブの「テーブル」をクリックします。すると、選択した範囲がデータテーブルとして、Excel に認識されます。(適宜テーブルツールの「デザイン」タブで好きなデザインにしてください)

テーブルの中のセルを一つ選択しておき、先ほど機能を追加した「フォーム」をクリックします。

 

データ入力用の「フォーム」ウインドウが表示されるので、設問ごとに回答を入力し「Tab」キーで次に移動し、1件のアンケート全て転記したら「Enter」を押せば、1件分が登録されていきます。

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この方法で転記していく場合は、回答選択肢に番号(数字)をつけておいて、転記はその番号(数字)だけを半角で入力していくといいでしょう。

※上図では既に入力済みのテーブルを例示したので、番号だけになっておりません。ごめんなさい


そうすると右手をテンキーに置きテンキーと「Enter」を押し、左手で「Tab」キーを押すスタイルで行けますので、転記作業の効率がぐんと上がります。

ただし、回答数にもよりますが作業者が確実に番号だけで正確に転記できることが重要です。
(間違っても気づくことができるレベルの人が作業することを推奨します)

 

データの入力規則を利用

 データの入力規則を設定する前に、設問と選択肢をリスト化します。

先ほどと同じように設問を横に入力して項目行とします。
そして各設問の2行下から、選択肢を入力していきます。
項目行の次の行に計算式を入れます(選択肢が最大で6つだったとします)
例 A2セルの場合)=COUNTA(A3:A8)
この式を項目行の下の行全てにコピーします。

ここまでできたら、ようやく入力規則を設定します。

9行目から回答数の分の行数を選択して、「データの入力規則」を押します。
プルダウンから「リスト」を選択し、「元の値」欄にカーソルを合わせたら次の計算式を入力します。

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 =OFFSET($A$3,0,COLUMN()-1,A$2,1)

これで各設問の転記欄がプルダウンリストから選択できるようになりました。

ただし、マウスでいちいちクリックするのは作業効率がガクンと落ちるので、入力する際は「Alt」+「↓」を押すとプルダウンが表示されます。さらに矢印キーで選択し「Enter」で確定し、Tabキーで次の列に移動するようにしましょう。

※慣れないうちは面倒に思いますが、できるだけマウスを使わないで操作できた方がスピードは速くできます。

 

集計解析のために選択肢を入力した2~8行目全体を選択し、枠線(緑色)にマウスカーソルを合わせて、矢印の✛マークになったらドラッグし、1行目の上に移動させておきます。

 

オートコンプリートを利用

 数あるExcelの標準機能の一つで、表入力の際同じ列に既に入力した文字列を再度入力したい場合に、入力し易くするための機能がオートコンプリートです。(オプションから利用するしないの設定可)

 

入力したい文字列の頭から数文字が他と重複しない所まで、入力したタイミングで変換候補として表示されます。

この機能を上手に使うには、いくつかある選択肢の一字めをユニークにしておくことが大事です。

 

 

Excel VBAを利用

 VBAでフォームを作成して、プログラムを記述してあたかも専用のアプリケーションのようにすることも出来ます。

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ただし、技術的にも時間的にもハードルは高くなりますので、私なら、アンケート集計を今後も繰り返し使う予定で、回答数のボリュームも1回1000件くらい、とかならVBAでやってみようと思います。

 

今回は単発のアンケートで、ボリュームも600〜700を想定しているので、データの入力規則のリスト機能を利用しつつ、Excelが標準で備えているオートコンプリートを最大限利用する方式とします。

 

 

 次回は転記したデータを考察するためのExcelの処理方法を紹介しますね。

 

 

患者宅で小噺のようなホントの話

月に2回ペースで在宅訪問している患家で、先日ちょっと面白い話があったので気分転換に書いてみます。

 

患者さんは寝たきりの女性(容体はここ数ヶ月とても安定している)で、ご主人が介護されているお宅に、月曜日に医師の訪問診療に同行し、火曜日の午後に2週間分の薬を携えて訪問しました。

すると、奥様(患者さん)はその日から2泊3日のショートステイに出かけた後でした。

 

ご主人とお話をすると、「久しぶりに昼寝したよ」とのこと。

私も「いつも寝たきりの奥様を看ているので、たまにはいいですよね」などと返していました。

 

するとすぐにお酒の話になり、「介護しながらでも適度にお酒を飲むとぐっすり眠れるんだよね」とか「毎日飲むから1日の疲れが癒される」みたいな話になって、ご主人が「毎日飲んでもいいんだよね?」と聞いてこられました。

 

私はご主人の話から、飲酒量、表情、生活への影響、服用薬、奥様の容体、などを考えながら「大丈夫です。酒は百薬の長ですから。薬剤師が言うんだから間違いないです。」と言ってハハハと笑いが起こりました。

 

その後もお酒の話は続き、結局その日は薬の話はほとんどしないままでした。

私は帰り際に「薬屋なのに薬の話もせずに、すみません」とお互い笑いながら玄関を出ようとしたとき、ご主人が最後に言われました。

「いやいや、俺にはとってもいい薬だったよ」

 

ご主人、上手い。

調剤薬の消費税 払いっぱなしにしてませんか?

来年の薬価改定に向けて、先発品の薬価をどうするか?などの議論が始まっていますね。

薬局としては、在庫管理に直結する話なので今後の議論が気になるところです。

 

さて、皆さんの薬局では調剤薬の仕入れの際、「消費税」の支払いはどうしていますか?

どうもこうもない、卸の請求通り8%分きっちり卸に支払っているに決まっている!という薬局がほとんどでしょうか。

 

実はこの消費税、減らすことができるんです!

 

消費税は誰が負担するのか

そもそも消費税とは、最終消費者が負担することとなっているのですが、保険医療に関しては患者さんの窓口負担は非課税、という決まりがあるため保険医療での最終消費者は、医療機関や薬局ということになってしまっています。

 

つまり、通常小売業で売買差益というと

 =   売価 - 原価(仕入れ値) ですが、

保険調剤では

 =   売価(薬剤料) - 原価(仕入れ値)× 1.08    となります。

ちょっと待って!通常の仕入れでも消費税払っているよ!と思った人のために、消費税の納付ルールを簡単に説明してみましょう。

 

例として、9,000円で仕入れた商品を10,000円で販売することにします。

卸への支払いは消費税を含めると、

 9,000円 x 1.08 =9,720円 です。

この商品を10,000円(税抜き)で販売するとお客さんからいただく代金は

 10,000円 x 1.08 =10,800円 となります。

この取引で消費税として納める金額はいくらでしょうか?

答えは「80円」なのです。

お客さんから消費税として預かったのは「800円」ですが、お客さんとの取引の前に卸への支払いの際に「720円」を消費税として納めているので、差額の「800-720=80円」を納めることになります。ということで、通常の取引では消費税を抜きにして差益額を計算します。(10,000-9,000 = 1,000円

 

一方、保険医療の場合は薬価10,000円の医薬品を9,000円で仕入れた場合の売買差益(薬価差益)は、「10,000 - 9,000x1.08 = 280円 」となります。

なんか損しているなぁと思っちゃいますよね。

 

調剤薬の消費税は還付(仕入控除)請求できる

あまり知られていないのですが、ある条件さえ満たしていれば仕入の際に支払った消費税については、当該店舗の課税取引と非課税取引の割合に応じて還付(仕入控除)請求ができるんです。

調剤売上げ(非課税) 1,000万円
調剤薬仕入      600万円+48万円(消費税)
物販等課税売上    100万円
物販仕入       70万円

というケースでは 

  還付額(控除額)= 48万円 x 100万円 ÷ (1,000万円+100万円)=4.3万円

つまり、課税取引売上げ+非課税取引売上げ に対する、課税取引売上げの割合だけ支払った消費税が戻ってくる、ということです。

 

ある条件とは…

この還付(仕入控除)請求をするためには条件が二つあります。

一つ目は調剤薬を仕入れてその一部でも課税取引に供すること、つまり他の薬局への医薬品の分譲、零売、あるいは自費調剤(保険適応外)などが毎月あること

二つ目は、これもあまり知られていませんが、自費調剤に関わる消費税を徴収し納付すること

 

 処方せん調剤には課税取引と、非課税取引がある!

一般的に、処方せん調剤は保険医療の枠組みの中で実施されますが、これ以外にも「労災」「自賠責」「自由診療」があります。このうち「自由診療」にかかる処方せん調剤は課税取引となります。知っていました?

したがっていわゆる自費処方せんの場合は、内税でも外税でもいいので患者さんから消費税を預かり、税務署に納めなければなりません。

メディコムのレセコンは2014年の消費増税に合わせて、自費の場合は1.08倍の金額を徴収できるように会計・領収書の機能を付加されました。(ベンダーの担当者もよくわかっていないことが多いのですが、大手ドラッグストアの要望で追加されたんです)

 

ドラッグストアは絶対お得

課税取引の割合が大きければ大きいほど還付(控除)額は大きくなるので、ドラッグストアのように調剤の売上が相対的に小さい薬局はお得になります。

最近の一般的な郊外型のドラッグストア(売り場面積 200~300坪)で調剤併設の場合、調剤の売上比率はせいぜい10%くらいでしょうか。とすると、調剤仕入で支払った消費税のうち9割は還付(控除)されるんです!

ただ、最近のドラッグストアは長時間営業をするため、薬局と店舗販売業を併設するいわゆる「分離許可」という形態のところが多いので、税務署が気付いて「別の二つの店舗」として扱われてしまうと、万事休す、というところですね。

 

皆さんの薬局でも、非課税売上げと課税売上げの割合を計算してみてはいかがでしょうか。

アンケートの作り方とExcel集計

秋の薬剤師会学術大会にむけて、最近よく話題になる残薬解消についてアンケートを集計し、考察を発表しようと考えているのですが、当然 Excel を上手に利用したいところです。
アンケート集計に関する手順は大きく分けて4つありますので、それぞれ見ていきましょう。

 

目次

 

アンケートを設計する

アンケートを作るには、まず「どのような考察を得たいか」をはっきりさせることが重要です。やみくもに質問をぶつけても全く意味がありません。研究室の実験・研究と同じように「仮説」を立てることが大事です。

 今回は残薬の解消について、「在宅療養の現場でケアマネージャーが感じる課題と薬剤師の介入による対策の方向性を見出す」ことをテーマにしたいので、

  1. 日常の薬剤師とケアマネージャーのかかわりの度合い
  2. 薬剤師の現場介入の度合い
  3. 薬剤師の介入による残薬解消の度合い
  4. 方向性の考察

という感じでアンケート結果をまとめます。

アンケートを作る

アンケート対象者にアンケートを記入するしてもらう際にアンケート作成者がその場に居合わせることは稀でしょう。ということは、アンケートの設問は明確に意味が分かるように文言を工夫する必要があります。回答欄についても同様です。

そのために一般的に回答欄は、「選択肢」から回答を選んでもらうようにします。

 

まず初めの設問では、回答者の属性を聞きます。
今回の回答者は全員がケアマネージャーである前提なので、
現在勤務する施設≫ と
≪業務経験年数≫ を聞くことにします。
※ここで注意したいのは「現在勤務する」といつの時点の話かを明確にすることです

 

次に、直近1年間での薬剤師との連携度合いを聞いていきます。
(ここでも、「直近1年間」と期間を明確にしておきます)
回答欄は選択肢を用意します。
例)薬剤師にサービス担当者会議への参加を依頼した回数は?
   ・0回 ・3回未満 ・3~6回未満 ・6~9回未満 ・9回以上

これらの設問を重ねることで、回答してくれるケアマネージャーと薬剤師の関係性が明確になり、関係性ごとに結果を考察するという方向性が見えてきます。

 

次に本題に入ります。
利用者(患者)の残薬に関して、どのように対処しているか?その対処の結果問題が改善されたか?という設問をいくつか用意します。またここでも回答は選択肢とします。

 

最後に、「今後薬剤師に期待すること」について選択肢+自由記述にて回答してもらいます。回答は複数選択可とします。

 

Excel で集計する

 さて、アンケートができたら実際に対象者に配布し、回答してもらい回収しますが、これらがスムーズに進むようにしっかり打ち合わせなどをしましょう。

 

アンケートを回収したら、集計業務に入りますが、回収までの間に集計用のフォームを作っておきましょう。
回答者数(n)によりますが、nが多ければ多いほど効率的に回答内容をデータテーブルに転記するためにはこのフォームづくりがアンケート集計の「肝」となります。

 

基本的なデータテーブルの構成は
・先頭行を項目行としてアンケートの設問内容を簡潔に記す
・各列(フィールド)に、設問への回答を記す
・複数回答可の設問は項目行に「選択肢1」「選択肢2」…と選択肢の数だけ追記して、フィールドへ記すのは選択の有無を表す「1」「0」を入力する
・自由記述欄のフィールドへは、そのまま記述内容を転記する
という感じにします。

 

回答内容の転記のためのテクニックとしては、

  1. Excel の《フォーム》機能を利用する
  2. Excel の《データの入力規則》の中の《リスト》機能を利用する
  3. VBA で転記用のフォームを作成する

などがありますが、
1はExcelのリボンの設定を変更する必要がある
2は予め各列に対して入力規則の設定をする必要がある
3はVBAのプログラム記述やフォームへのコントロール配置など相当ハードルが高い

 といったハードルがありますが、アンケートの回答数、転記作業を誰が行うか、アンケート回収までの日程と転記作業の日程、などを考慮します。
一番重要なのは、言うまでもなく(言っちゃいますが)「回答内容を正確に転記する」ことですので、今回のアンケートは500以上の回答数を見込んでいて、PCスキルは初心者レベルのパートさんに転記作業をお願いする予定で、転記作業まで半月くらい、という状況にあるので、回答の転記は「2」のリスト機能を利用することにします。

 

リスト機能を最大限活用する簡単な方法について、次回ご紹介したいと思います。

 

アンケート結果を考察する(詳細は次回)

 回答内容を正確に転記出来たら、考察=データ分析にかかります。

データ分析には、大道の「ピボットテーブル」を利用しますが、詳細についてはアンケートの回答転記ができるころに紹介しますね。

調剤薬局のロス率と過剰在庫率

前回は適正な在庫日数はどれくらいかを考えましたが、肝心なポイントとして廃棄リスク(デッドストック)を抑えていることがあります。また、在庫日数を抑えるためには「過剰在庫率」を抑えることが不可欠です。

ロス率は 0.1% を目標に!

まずは、廃棄ロスについて考えます。

医薬品の期限切れ、調剤時の破損や汚損、そして最近は少なくなりましたが薬価収載から除外されるための廃棄(いわゆる経過措置切れ)などで、ロスが生じてしまいます。
皆さんの薬局ではロス率を把握されていますか?ロス率は、

 ロス率 = 期間廃棄金額(薬価) ÷ 期間売上額(調剤報酬額) × 100(%)

で表します。廃棄金額は本来であれば原価で評価するべきなのでしょうが、正確な原価を反映させることはシステム上困難であることがほとんどなので、薬価ベースで統一する企業が多いと思います。

算出方法が分かったら、次は「いくらくらいならOKなの?」ということになりますよね。
これには、売り上げ規模、廃棄処理が適切に実行されているか、などの前提が必要です。私の経験上、月売り上げ500万円以上、チェーン薬局の場合、

ロス率は「0.1%」 を目標とすべきと考えています。

毎月廃棄処理すること!

 

普段少人数で運営している店舗に応援に行ったりすると、あちこちから期限切れの薬品が出てきたりすることがあります。在庫システム上はあることになっていますが、実際には調剤には使用できないデッドストックの極み(=キルストックと呼んでいます)です。

これでは正しい評価ができないばかりか、何より調剤過誤のリスクがありとても危険です。毎月きっちり期限切れの処理を実行しましょう。

普通の在庫管理システムなら、すでに期限が切れてしまっている薬品を抽出することができますので、確実に処理したいものですが、一部のメーカーのシステムでは「期限が切れそう」なものの抽出機能はあっても「期限が切れた」ものの抽出ができない、ということがあります(システム開発者の発想力が極めて乏しいことが原因)。その場合は、期限が切れる前にきっちり「今月切れるもの」を把握しておく必要があります。

在庫の流動化

 

売り上げ規模の小さな店舗は、小包装で仕入れる、商品が動かなくなったら適切に移動処理をする、など日々の在庫管理を頑張りましょう。

在庫管理システムで在庫の流動化を支援するものもありますが、細かい部分で現場運用に合わないなど仕様の問題があるようです。その場合は、ExcelVBA を操れば自前で在庫流動化をすることもできます。

在庫の流動化については、いずれ別の機会で紹介しようと思います。

過剰在庫率って何?

 

廃棄ロスを抑えるためには、いわゆるデッドストックを減らすことが不可欠です。なぜならデッドストックは「廃棄予備軍」だからです。

ところでこの「デッドストック」という言葉ですが、私は好きではありません。
薬局には dead ではなく active であっても、在庫過多という状態の品目が生じます。つまり、動きがあるかないか、ではなく、動きに対して在庫は適正か、ということを評価しなければいけないはずです。

そこで私は一般的ではありませんが、不動在庫ではなく「過剰在庫」「過剰在庫率」という言葉を使っています。

過剰在庫の定義は「直近〇か月間の使用実績を超える在庫」としています。〇ヶ月分のところは通常は3か月分、でいいでしょう。

過剰在庫(単品) =( 在庫数 - 〇ヶ月使用実績 )× 薬価

過剰在庫(全体) = 過剰在庫(単品) の合計

そして、

過剰在庫率 = 過剰在庫金額(薬価) ÷ 全在庫金額(薬価) × 100(%)

となります。つまり、在庫のうち〇か月で使い切れない品目(金額)の割合を評価します。そして、過剰在庫率の適正値(目標値)は、

売上げ500万円以上の店舗で「15%」、面応需・500万円以下で「30%」くらいでしょうか。(いずれも私の経験上ですが)

在庫の適正化には、この「過剰在庫率を低減する」ことと、「最適な発注」を両輪とする必要があります。

 

 

適正在庫日数は何日?

調剤薬局の適正在庫について、ロス率や、過剰在庫を考える前に在庫日数の適正値について考えてみましょう。

 

前回の記事で、適正在庫を評価する指標について「在庫日数」が簡便で信頼度も高いとお話ししました。そしてその初期目標は「30日を下回ること」を説明しました。

pharmalabo.hatenablog.com

 

では、30日を下回ったとして何日分まで絞ればいいのでしょうか?

30日を切っていれば何日でも大して変わらない

 

結論からいうと、「30日を切っていれば何日でも大して変わらない」ということになります。
ただし、期首在庫を大きく上回らないことが前提です。

同じ売り上げ規模の2店舗を考えてみましょう。A店は日常から在庫を絞っていて在庫日数は15日、B店はなんとか30日の目標をクリアしているとします。

(単位:万円) 期首在庫 当月仕入 当月使用 期末在庫 在庫日数(日)
A店 500 1,000 1,000 500 15
B店 980 1,000 1,000 980 29.4

資金繰りの面では売り上げに対しての仕入れ額で考えるとA店もB店もそれほど変わりません。
もちろん、在庫資産を早く現金化するためには在庫は少ないに越したことはありませんが、問題はB店の980万円分の在庫が常に現金化されているかどうか、つまり期限切れ廃棄などのリスク(いわゆるデッドストック)を抑えて流動化できているか、という点です。

逆に、在庫日数を15日にするために発注にどれだけの労力を費やしているか、欠品が発生して患者さんに迷惑をかけていないか、欠品対応のための労力は、などに目を向けているでしょうか。

 

世の中は「バランス」が重要だと思いますので、資金繰りのために在庫を絞ることとそのために要する労力のバランスが取れているかが、重要でしょう。

ということで、期首在庫を大きく上回らず、廃棄リスクを低減したうえなら、在庫日数は「30日を切っていれば何日でも大して変わらない」と言えるでしょう。

 

決算期は在庫を絞ろう

 

ただし、決算期だけは別、と考えておいた方がいいでしょう。
決算期には資産を極力現金化しておくことが、企業の信用度に大きく影響するからです。私の経験上、決算期は在庫日数15日を目標とし、通常期は20~30日を保つことができていれば、適切に在庫管理できているといっていいと思います。

面薬局は45日を目標にしよう

 

ドラッグストアなどで医療機関の門前薬局ではない店舗も増えてきましたが、これらのチェーン薬局では経営体力もあるので在庫日数30日にこだわる必要はないでしょう。最近では、土日祝日に営業していたり、深夜まで営業していたりすると、問屋への急配依頼もできないケースもあるでしょう。
しかし、だからと言って青天井でも困りますよね。
チェーン店の強みを活かせば、過剰在庫の流動化、小包装での小分けなども十分に行えば全店で在庫日数45日を目標とすることができるでしょう。

調剤薬局の適正在庫って?

先発品、後発品、OD錠、普通錠、一包化用バラ錠、5gチューブ、10gチューブ、経管栄養剤の複数フレーバー、などなど調剤薬局の在庫管理に悩みは尽きないですよね。。。

 

薬局も小売業ですから、最も重要な業務の一つが「発注」だと思います。
この発注業務を効率よくするために、各メーカーから在庫管理システムとか、本部システムとか言われるさまざまなシステムが販売されていますが、金額に見合うほど効率のいいものはなかなかないのではないでしょうか。

調剤薬局の在庫管理の中で、「発注」はテーマとしては避けられないのですが中身がかなり複雑なので、今回は「適正在庫」について考えてみます。

適正在庫を検討する際の指標として、皆さんの薬局ではどのようなものを用いているでしょうか。

最も簡便で信頼度が高いのは在庫日数(在庫月数)でしょう。
算出式は

在庫日数 =  月末在庫金額(薬価)  × 30(日)
 当月調剤報酬薬剤料

で表されます。(シンプルでしょ)

経営的には分子も分母も原価をベースにした方が、より正しく在庫評価をすることができそうですが、そのためにはどの問屋からいくらで仕入れた商品を何錠使ったか(何錠残っているか)などを考えないといけないため、売価(₌薬価)をベースにしておき、経営的に必要な部分では売価還元法で評価するといいと思います。
ということで、ここでは薬価ベースで在庫評価を考えます。

 

在庫日数の意味

 

この計算式で表わされるのは、月末の在庫(金額)はその薬局では何日分の売り上げに相当するか?という指標です。
薬剤料の代わりに調剤報酬全額を充てる方法もあるかと思いますが、これでは処方せん単価の低い薬局が在庫日数も低く、処方せん単価が大きければ在庫日数もより大きくなってしまうため、チェーン薬局の店舗間比較には不向きです。

 

さて、この在庫日数、いくらくらいなら適正と言えるでしょうか?
一言でいえば「経営者が決めた値」ということになりますが、普通は「まずは30日を下回ること」が目標となるでしょう。
なぜか?
それは、在庫日数が30日以上 ということは、1か月で使いきれない(売れない)商品を抱えているが、その商品に仕入れに対する支払いの期限はどんどん迫ってくる!からです。

  

 

新店オープンを想像してみて下さい。

4月1日のオープンを前に需要予測を立てて3月に商品を仕入れます。
薬価ベースで500万円分仕入れたとしましょう。
独立間もないため卸への支払いサイトは1か月だったとします。
4月の売り上げ(薬剤料分)は400万円でした。
5月頭にレセプト請求して口座への振り込みがあるのは6月20日頃の予定です。
つまり、4月末には卸から500万円の請求が届くが、その分のお金が手元に入るのは6月下旬です。しかも入金できるのは500万円のうち400万円で、その店舗は100万円の負債を抱えていることになります。(実際は薬価差益がありますので卸からの請求は8~10数%低くなることと思います)

 

卸から信用のある株式会社の薬局でも支払いサイトは3か月が一般的ですが、サイトが3か月あれば6月20日頃に入金があり請求は6月末なので、資金繰りに余裕ができます。
しかし、それでも400万円の入金に対し500万円の請求はきついですよね。。。

これが、在庫日数の目標は「まず30日を下回ること」になる理由です。

 

次回は、ロス率や過剰率などについても考えてみましょう。