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調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

2019年10月の消費増税と薬価改定で9月の在庫は絞るべきか?

 

前回は消費増税と薬価改定について述べました。

¥pharmalabo.hatenablog.com

 

 

今回は薬局の在庫について考えてみましょう。

 

通常の4月1日実施の薬価引下げ改定なら、改定前になるべく在庫を使い切るようにすべきです。

 

また、薬価改定なしで消費増税だけを考えた場合は、一般消費者と同様増税前にまとめ買いが必要です。

 

それでは、薬価改定(引下げ)と消費増税が同時ならどうなるでしょう。

 

薬価=X、9月末の在庫数=Y、9月までの仕入れ率(原価率)=Ra、10月以降の仕入れ率(原価率)=Rb、薬価改定率=Aとします。

増税前の仕入れ価格:X × Y x Ra x 1.08

9月末の在庫を10月以降に調剤した場合の薬価差益:

 X x Y x A - X × Y x Ra x 1.08 …①

10月以降に数量Yを仕入れて調剤した場合の薬価差益:

 X xY x  A - X x A × Y x Rb x 1.10 …②

 と表されます。

 

式① ≦ 式② となるように整理すると、

  f:id:ashomopapa:20181104150104p:plain

 薬価引き下げ率でまとめると、

  f:id:ashomopapa:20181104150605p:plain

この式から、増税前後で仕入率(Ra,Rb)が同じなら改定率Aは、

  A ≦ 1.08÷1.1 = 0.9818

つまり、仕入率が変わらない場合、改定率が98.18%以下=1.82%以上の薬価引下げがあれば、増税後に仕入れる式②の方が薬価差益が大きい、ということが分かります。 

 

通常、仕入れ率は改定後に契約交渉が始まるので9月の段階では分かりません。

なので、増税前後で仕入率が変わらない、と仮定して行動するのが賢明でしょう。

 

結論:2019年9月末の薬価引下げが1.82%以上の薬品は、9月に在庫を絞るべき(逆に1.82%未満または薬価引上げの場合は9月に買い溜めすべき)

 

単品ごと正確に判定するには、薬価改定率A と改定前仕入率Ra 、改定後仕入率Rb を上式に代入し、式が成り立てば9月は在庫を控える、式が成り立たなければ9月に買い溜めするということになります。

 

 

今までは、ほとんどの医療機関、薬局で「加重平均」などと呼ばれる契約によって、個々の品目の価格(仕入れ値)は一応あるけれど、きちんと計算するのも面倒だから、最終的に仕入れ総薬価に対して仕入率を乗じて卸への支払額を決められるように、適宜値下げ伝票などを起伝して対処しましょう。となっていました。

 

しかし、2018年の診療報酬改定から「単品単価契約」について制度に組み込まれました。つまりこれからは、単品の価格交渉に基づく仕入れになってくるでしょう。

つまり、今までのようなざっくりとした仕入れ交渉しかできないと、知らない間に大損することになる可能性があります。(これが本来の価格交渉なんですよね~)

 

そして、交渉を有利に進めるには、データの分析が必須です。もちろんそのデータ分析もExcel テクニックがあれば余裕です。

 

まだ10か月先の話ですが、心の準備をしていた方がいいでしょう。

 

2019年10月の消費増税と薬価改定

随分久しぶりに記事を書いてます(;^_^A

 

第4次安倍内閣が発足して、10月の閣議で2019年10月の消費増税に向けての準備宣言がなされました。

 

これを受けてか中医協での議論に拍車がかかっているようです。

 

ずばり、消費増税に伴う「薬価改定」と「診療報酬改定」です。

 

消費税が導入された1989年4月(3%)、初の税率引き上げとなった1997年4月(3%→5%)、2段階増税の第1弾2014年4月(5%→8%)に続き、4度目の増税となりますが、その時期が10月というのがいろいろと議論を呼んでいますね。

 

なぜ、消費税が上がると薬価改定が必要なのか???

 

なかなかぴんと来ないですよね。。。

 

それでは一緒に考えてみましょう。

 

私たち薬局を含めて保険医療に携わる業界は仕入れに対しては消費税を支払うものの、最終消費者である患者さんからは消費税を頂かないことになっています。

 

仮に薬価1,000円のものを1,000円で仕入れた場合、現在なら消費税が8%乗っかるので卸への支払いは1,080円となります。

これでは、いわゆる「損税」となってしまいます。

 

そこで、

 薬価=「実勢価格」x 1.08(消費税8%) +調整幅

として薬価を算定するというルールがあります。

(詳しくは日本医薬品卸売業連合会のサイト http://www.jpwa.or.jp/ が参考になります)

また普段は聞きなれない「薬価本体価格」という言葉もあります。

 薬価 ÷ 1.08(消費税8%) = 薬価本体価格

として、卸はこの「薬価本体価格」に対していくらで納入するかを医療機関・薬局と交渉するということになっています。

 

そして、今までは2年に1回(薬価改定の前年9月)に、「薬価調査」という実勢価格の調査を実施して、翌年4月の薬価改定に反映される仕組みです。

 

今後この2年に1回の改定作業が毎年実施される、という流れになるのです。

 

 

どんな薬価改定になるの?

 

消費税8%で薬価1,000円の薬剤の「薬価本体価格」は、

 1,000 ÷ 1.08 = 926円 です。

単純に、消費増税に対応するだけなら消費税分を上乗せするだけなので、

 926円 x 1.10 = 1018.5円 が新薬価となります。

 

支払い側が黙っていない

 

消費増税に伴って、1,000円のものが1018.5円に値上がりすることになります。

消費税とは、最終消費者が負担するもので、中間事業者は負担しないでいいのですが、保険診療では最終消費者=支払い者とは言い切れないところが難しいのです。

3割の窓口負担をするのは患者(医療の消費者)ですが、残り7割の支払いは保険者となります。支払いに充てるお金は、国民がそれぞれ給料から天引きされたりする「保険料」と行政からの「補助金」で賄われます。

 

さらに、「保険料」は私たち一人ひとりが払う分、会社が払う分があり、「補助金」とはすなわち税金であるということで、増税の負担が消費者(=患者)だけではなく、国全体で負担することになるという構図になってしまうのです。

 

こうなると支払い側が黙っていない、ということになります。

つまり、

薬価本体価格 x 1.10 ではなく、実勢価格に基づく引下げ x 1.10 という薬価算定を行う、というのが来年の薬価改定なんです。

 

今回の議論において、支払い側の中には、

2018年9月 薬価(実勢価格)調査・・・①

2019年4月 ①の実勢価格に応じた薬価引下げ改定実施・・・②

2019年9月 ②の改定後の実勢価格を調査・・・③

2019年10月 ②の薬価に対し、消費増税分だけ薬価引き上げ改定・・・④

2020年4月 ③を踏まえて薬価引下げの通常改定実施

を主張する中医協議員もいるようです。

 

さすがにこれでは、現場はたまったものじゃありません。

 

支払い側にも良識がある人も多く、「さすがに1年に2回の改定はよくない、19年10月の1回だけ実施する」ということで概ね決まっていくものと思われます。

但し、「薬価調査を通年通り9月に実施しても、10月改定後の実勢価格が分からない→20年4月の薬価改定で適切に薬価を引き下げることが困難になるのではないか?それでは困る。」ということで、落としどころを探っている、という状況のようです。

 

 

薬局はどうしたらいい?

 

19年10月の薬価改定では、単純に消費増税分の引き上げ(1.8%程度)となる薬剤から、実勢価格による引下げがめいっぱいされる薬剤まで、改定率のふり幅が例年よりも大きいかもしれません。

 

通常4月の改定では、新薬価は前月である3月5日前後に公示されますので、19年10月(とすると)薬価改定では、9月の初旬に公示されると思われます。

 

単純に言うと、薬価が上がるものは9月に買いだめ、下がるものは買い控えをするべし、となりますが、在庫管理コストなども含めて考えると、低薬価のもの、高薬価のもの、使用量の多少などで対応を変えるべきでしょう。

 

まずは、19年10月の薬価改定の意味と内容を把握しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

〔備忘録〕CADDレガシーポンプ カセット交換

 

ブログのテーマ(Excel)とは離れるのですが、しばらく前に自分が苦労した時の事を整理しておこうと思います。

  

持続皮下注ポンプ用の薬剤を交付する場合、大きく二通りがあると思います。

それは、、、

薬剤師が交換するか、訪問看護師が交換するか

 

ちょっと待って、、、持続皮下注?、ポンプ??、交換???

って何のこと~そんなん薬学部でも今までの職場でも教えてもらったことも、何にもないよ!!!

 更に、最近は訪看さんも忙しく、「薬のことは薬局で」という流れが多いみたいで、この時は薬剤師(私!)がカセットの交換を担当することになりました。

というか、医師の訪問診療に同行している最中の出来事で何が何だかよく分からないまま、医師と訪看さんの言うようにするしかなかった、というのがほんとのとこでした。(トホホ…)

 

で、実際の薬剤カセットの交換をざっと4ステップで考えてみます。

 

  1. 処方設計
  2. カセット・エクステンションチューブなどの準備
  3. 薬剤調製・カセットへの充填
  4. カセットの交換

 

1.処方設計

 

まず、医師と1時間当たりの薬剤投与量を確認します。

例)オキファスト注(オキシコドン10mg/mL)を1時間2mL

  フラッシュ(レスキュー)として1時間相当量

この場合、50mL、100mL、250mLと3種あるメディケーションカセットのどれを選択すべきでしょうか?

 

薬剤の投与量を検討するときは1日に必要な量を考えるのが普通だと思いますが、持続皮下注かつフラッシュ(レスキュー)の場合は、カセットの用量を「時間数」として考えると分かりやすくなります。

 

つまり2mL/hの流速で投与する場合、

50mLカセット:50÷2=25(時間分)

100mLカセット:50(時間分)

250mLカセット:125(時間分) となります。

 

この「時間数」を24(時間)で割ると、

50mL:1日+1(時間)

100mL:2日+2(時間)

250mL:5日+5(時間) となります。

1時間分というのはフラッシュ(レスキュー)1回分に相当しますから、50mLカセットではフラッシュ回数が1日1回あるかないかでも毎日の交換が必要で、100mLカセットも同様で2日おきに交換が必要となります。

※実際には後述する「プライミング」のために用量が消費されるため、さらに1時間程度早くなります

 

フラッシュの回数が増えたらその分だけ、交換のタイミングを早めないといけなくなります。(1回増えるごとに1時間前倒しが必要)

 

ガン末期の患者に対しては、週2回かつ月8回までの訪問薬剤管理指導が実施できるので通常薬剤師による訪問は週2回をベースに計画を立てるでしょう。

しかし、50mL、100mLのカセットでは週2回の訪問では間に合いそうにありません。

また、処方箋交付の頻度≒医師の訪問診療回数も頻繁に、とはいかないでしょう。

という訳で、1時間2mLの流速の場合に週2回のカセット交換で間に合わせるためには「250mLカセット」を選択すべき。というのが答えになります。

 

それでは、250mLカセットを選択した場合の、フラッシュ回数と交換タイミングはどうなるでしょうか。

1日レスキュー(フラッシュ)回数

250mLカセットでの持続日数

      1回/日

     約5日分

     2〜7回/日

     約4日分

      8〜17回/日

     約3日分

ざっとこの表のようになります。フラッシュが1日5回以上となりそうなら余裕を見て3日おきに交換の計画を立てておくといいでしょう。

 

2.カセット・エクステンションチューブなどの準備

 

選択すべきカセットのサイズが分かったら、処方せんが交付される前にカセットなど必要な医療材料の手配をします。

 

たいていの場合ポンプレンタル業者(高度管理医療機器賃貸業者)から既にポンプが貸し出されていて、病院退院前に導入された状態で退院・在宅療養開始となっています。

カセット交換の際にはカセットとエクステンションチューブが必要になるのですが、これら消耗品をポンプレンタル業者に依頼して薬局に届けてもらいます。

 

※レンタル業者には在宅悪性腫瘍患者指導管理料・注入ポンプ加算を算定する医療機関(主に在宅医)とレンタル契約してもらい、レンタル業者からの費用請求先はその医療機関になります。

医療機関は、在宅悪性腫瘍患者指導管理料1500点/月、注入ポンプ加算1250点/月を算定できるが、ポンプレンタル料23000円前後/月、カセット&チューブ3000~5000円/交換の支出があります。

 

 

この他に皮下注用の留置針、ドレッシングテープなどが必要です。今までは医療機関訪問看護師(処置する側)が用意することがほとんどでしたが、健康サポート薬局などの流れの中では保険薬局が提供することも増えていくでしょう。

 

3.薬剤調製・カセットへの充填

 私の薬局は無菌室があるので、無菌下でカセットへの充填を行います。

麻薬を希釈して一つのカセットに充填する場合は、無菌製剤処理加算(1日分のみ)が算定できますが、今回の例では原液をそのまま詰め替えるだけなので同加算は算定できません。

 

250mLカセットに充填し、3日おきに交換、フラッシュ(レスキュー)は2時間に1回ペースとして、(24時間+12時間分(フラッシュ))×3=108時間分⇒216mLが必要です。

 

処方:オキファスト注50mg/5mL 45筒

   1時間に2mLを持続皮下注

という内容で処方してもらうといいでしょう。

 これを無菌室でバイアルからカセットに詰め直す作業になりますが、バイアルから「抜く」作業が45回(45筒分)もあるんです!!

せめてカセットに「詰める」作業を減らしたいところなので、30~50mLの「ロックシリンジ」を用意しましょう。

※ロックシリンジなら作業を中断することができます。シリンジのサイズが大きいと「抜く」時に大きな力が必要になります。通常は左手でアンプルを持ち、右手でシリンジのピストンを抜いていくので片手で操作できるのが50mLまでが妥当でしょう。小さいと「詰める」回数がその分増えてしまいます。

 

 

4.カセットの交換

さて、いよいよカセットの交換です。薬剤を充填したメディケーションカセットを用意して患者さんのお宅に向かいます。

交換時にはなるべくカセット内の薬剤の残量が少ない方が、廃棄薬剤が少なくて済みますので、午前に行くのか、お昼過ぎがいいのか、夕方がいいのかを訪看さんと連絡して確認しておくといいでしょう。 

 

患者さんのお宅に持参するのは、薬剤を充填したメディケーションカセット、エクステンションチューブ、消毒用アルコールです。

 

患者さんとポンプまでは下図のように繋がれています。

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ⅰ)交換作業を始める際に手指を消毒します。

ⅱ)ポンプを止める

ⅲ)ロックレベルの設定を2⇒0に変更

ⅳ)エクステンションチューブ(青)、カセットチューブ(赤)のクランプを留める

ⅴ)[B]をはずす

ⅵ)カセット[C]をはずす(専用のカギが必要)

ⅶ)新しいカセット[C]に新しいエクステンションチューブを[B]で取り付ける

  この時、新しいエクステンションチューブの[A]側のキャップはつけたまま

ⅷ)新しいカセット[C]をポンプに取り付ける

※ポンプ中央の「スクロール」ボタンを押していき、ポンプ動作の設定と、現時点までのログを確認・リセットする

ⅸ)新しいカセット[C]側のクランプと、新しいエクステンションチューブのクランプをはずしプライミングを行う

※プライミングとは薬液が充填されたカセットから、カセットに接続されたエクステンションチューブの先まで薬液を満たすこと

ⅹ)新しいエクステンションチューブのクランプを[A}側付近で留める

《患者さん側》

ⅺ)ドレッシングを慎重にはがす

ⅻ)古いエクステンションチューブと留置針の接続[A]をはずして、新しいエクステンションチューブの[A]側コネクタを留置針に接続する

xⅲ)ポンプの動作を再開する

xⅳ)ポンプから留置針までの薬液の流れを確認して、ポンプのロックレベルの設定を0⇒2に変更

xⅴ)患者側 ドレッシングをする

という流れになります。

 

 実際には[A]の接続部が非常にしっかり接続されいて、片側(留置針)が患者に刺さったままで[A]をはずすことは、薬剤師には困難です。

私は冷や汗をかきながらトライしましたが、結局留置針が抜けてしまい、訪看さんに至急対応してもらうことになりました。訪看さんが到着するまで患者さんと2人っきりの居場所のなさは半端なかったですよ。。。

 

【結論】エクステンションチューブの交換が必要ならカセット交換時には、訪看さんの同席が必要。

 エクステンションチューブの交換が必要かは医師に確認するといいでしょう。

 

薬局の棚卸 楽にしませんか⁉

 

こんにちは。皆さんの薬局では薬価改定に向けて、日々在庫管理に励んでいたことと思います。何が、「物から人へ」なのか頭の中が???だらけで必死に「物」の管理をしている自分が愛おしく感じる季節ですね。(笑)

 

私も自分の薬局のことで必死で、4月になったのでやっとこの記事を書いてます。

「きちんと準備をしておけばもっと楽にできたのに…」と毎度のことながら反省はするけれど、なんせ半年に1回のことに一生懸命準備するような余裕なんかないよ~という薬局長が多いことと思います。

その気持ち、よ~く分かります。

 

次の棚卸と、2020年以降の毎年薬価改定に備えて、棚卸の段取りを整理しておけば、きっと役に立つでしょう。

 

在庫管理の手順

棚卸の意義

 そもそも、どうして面倒くさいのに毎回毎回棚卸が必要なのか知っていますか?

その意味は、調剤薬局では主に二つ挙げられます。

1)財務会計

 どのような会社であれ、経済活動ですから会社として利益を正確に計上する必要があります。その利益に基づいて従業員の給与や賞与などが支払われています。

利益を計上するためには売上原価を把握しなければなりません。

利益=売上げー売上原価

  =売上げ-(期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高)

となるため、ボーナスをもらうためにはきちんと棚卸をしなければなりません。

 

2)調剤過誤の可能性の発見

 実地棚卸をすると、多少なりとも差異が生じることでしょう。

一般的には差異の主な原因は、在庫データの入力ミス、システムへのマスタ登録ミス、盗難、内部の不正などがありますが、調剤薬局においては調剤過誤も大きな要因となります。

定期的に実地棚卸をすることで、見過ごされた調剤過誤を発見し、再発防止を図るためにも重要と言えるでしょう。

 

棚番の整理

棚卸をスムーズに行うための絶対条件です。在庫管理システムによって棚番の設定方法は様々ですが、私の薬局で採用している「JustockEXⅢ」ではJANコードごとに棚番を設定できる仕様になっています。

このため、例えば散剤のバラ包装(瓶包装)と、分包品は別の棚で管理が可能になり、PTP包装の錠剤は棚で管理して、バラ錠は分包機に棚番を振ったりして管理する、ということができます。

 

実地棚卸の基本 

 実地棚卸という言葉でもわかるように、棚卸の際には帳簿はあくまで補助的なものとしておき、あくまでも「実際にそこにある商品」をカウントすることが最重要です。

なぜでしょうか?もし帳簿(棚卸リスト)を基にして棚卸を行うと、「リストにはないが引き出しに入っている」という商品のカウントを漏らしてしまう恐れが高いからです。

 

実際にそこにある商品Aをカウントしてリストに記入しようとしたときに、当該棚番にはその商品Aが記載されていないと、欄外に記入したりすることになりますが、これが後に実棚登録をする際に面倒なことになります。

商品Aがどの棚番に登録されてるかを探して、ひとまず棚番はそのままで、カウントした数量を登録しなければなりませんし、棚卸を確定させて後に、棚番を振り直さないといけません。

なので、実地棚卸をやるときに棚番がしっかり整理されていないと面倒なことになるのです。

 

ではどういう手順で整理するといいのでしょうか。

私の薬局では、予め全スタッフに担当棚番を割り振ってあるので、(棚卸の2週間ほど前に)仮の棚卸リストを印刷し各スタッフに自分の担当棚番を確認してもらいます。その時点で「棚にはあるのにリストにない」商品に正しい棚番を登録し直すことで、棚卸本番がとても楽になります。

 

返品の管理

実地棚卸を開始する前までに返品伝票が処理できるように、問屋に返品を依頼しましょう。(JustockEXの場合は、問屋から返品データを受信できることが必要です)

万が一、返品処理が間に合わない場合は「在庫が薬局にあるもの」として棚卸をしないといけませんので、予め返品したもののリストを用意しておくといいでしょう。

 

 

廃棄薬の管理

実地棚卸を開始するまでに、すでに紛失したものや調剤ミスによるロスなどがあれば廃棄処理をしておきましょう。

期限切れ品は予め廃棄処理するか、実地棚卸では「在庫があるもの」としてカウントしましょう。

 

棚卸開始前までの処方引き落とし

実棚当日分までの処方を引き落としてから、棚卸を開始します。

過去の処方入力の訂正などについても全て引き落とされているかもしっかり確認しましょう。

また、処方入力に誤りがないかいわゆる処方箋チェックも棚卸開始前までに終わらせておくのが望ましいですね。

JustockEXの場合は、前々月の1日からの処方分を引き落とすことができますので、念のため、前々月1日以降当日までのデータを引き落とすといいでしょう。

 

事前計数

 

本来棚卸は「用意スタート!」で一斉に開始しなければなりません。

ただ、これでは業務終了後に非常に時間がかかってしまいます。そこで監査法人にも認められた方法ですが、実地棚卸当日までにカウントを開始して、その時点で付箋に数量を記入した上で「封」をします。

「その封が破られるまではその数量のまま」であることが担保されます。

棚卸月に入って、もう動かなそうな薬品からどんどん事前計数をしておくと、当日はとっても楽ちんですね。

 

不足薬(マイナス在庫)の管理

調剤という業態は不思議なことに、薬が不足したまま売上を計上することができてしまうので、実地棚卸の際に「マイナス在庫」という現象が発生することがあります。

実棚後に薬が入荷して、不足分をお届けなりすることになりますので、「マイナス在庫」はマイナスのままカウントしましょう。

JustockEXの場合は、棚卸リスト上は「0」となっていて、実棚登録でもマイナスの数値は入力できませんので、マイナス在庫となっている品目を別途確認し、未渡しの不足薬の数量を確認する必要があります。

 

 

棚卸中の調剤分の管理

薬局には調剤応需の義務がありますので、棚卸中に患者さんが処方せんを持ってきたら応需しなければなりません。

棚卸リストを発行したタイミングと、当該処方箋の処方薬を実地棚卸カウントをしたタイミング、調剤して薬を棚から取り出したタイミングを正確に判断する必要があります。

一般的には、棚卸リスト印刷→棚卸開始→患者来局ということになりますので、

処方薬カウント後に調剤=当該調剤分は気にしない

処方薬カウント前に調剤=当該調剤分を「在庫がある」ものとしてカウントする

という対応が必要です。

 

その他予製剤・一包化予製・分包機内バラ薬品の管理

棚卸前までに予製剤や一包化予製、分包機内バラ錠はなるべく少なくしておきたいのですが、日々の調剤業務が止められるわけではないのでどうしても発生してしまいますよね。

そうであるなら、予めリストを作成しておきカウントしやすくしておくと断然楽になります。予製剤が単味であるなら話は簡単ですが、数種類の薬品を混合していたりするとちょっと面倒ですね。

そこはExcelで換算シートを作っておくと楽ちんです。

一包化予製についても、患者ごとにExcelリストを作り合計するなどのExcelシートを作成しておくといいでしょう。

 

分包機内バラ錠のカウントですが、ピンセットを使って1錠ずつ数えるなんて面倒なことはやってられません。ここは、「重量」で錠数をカウントしましょう。

Excelシートに分包機内の薬品リストを作成しておき、添付文書に記載されている1錠当たりの重量を登録しておきます。

リストを印刷し、分包機内バラ錠の重量を記入して、Excelに入力すれば簡単に錠数を計算できます。どうしても誤差が気になるところですが、1錠ずつカウントしても数100錠カウントしてたら1錠くらいずれることも十分にありうるとすれば、むしろ重量の方が精度は高いかもしれないと考えています。

 

Excelで計算した各薬品の数量を、棚卸リストに追加すれば完了です。

 

 

いかがでしたか?早めに準備をして、正確で楽に棚卸を終えたいですね!!

 

【Download】分割品購入適否シュミレーション(2018年4月新薬価対応)

分割品購入の適否をExcelでシュミレーションしてみましょう。

下のリンクからサンプルファイルにアクセスして、

  1. 薬品名をプルダウンリストから選択(→現薬価、新薬価が反映)
  2. あなたの薬局の通常包装品と分割品の仕入れ率(薬価に対しての原価率)を入力
  3. 通常包装容量と分割品単位容量を入力(100,10など)
  4. 現在庫数量と期末までの使用見込み数を入力

【Excel】分割品購入適否シュミレーション サンプルファイル

元記事はこちら

pharmalabo.hatenablog.com

薬価改定に向けて分割品購入にすべき?Excelで考えるとこうなる!

 

先日の記事で、薬価改定を控えて通常包装品を発注すべきか、分割品で発注すべきかを考えてみました。

 

pharmalabo.hatenablog.com

 

この記事の中では特定の医薬品の特定の状況(現在庫数、使用見込み)においての検証だけでしたが、様々なケースを検証するためにはExcelを利用するのが効果的です。

 

ここで押さえておくべきパラメータには、

  1. 各薬局で固定される項目
  2. 各薬品で固定される項目
  3. 各薬品の状況を示す変動項目

があります。

 

1には、卸ごとの通常包装品の仕入れ率(納入価率)があります。薬価に対し何%の価格で納入されるか、という値です。多くの薬局は総加重で妥結していることと思いますが、単品単価契約の場合は2に分類されることになります。

 

2には、各薬品の薬価、包装容量、及び今回の薬価引下げ率(=1‐新薬価/現薬価)があります。

 

3には、その薬品の現在庫数と3月末までの使用見込み数(使用量)があります。

 

これらのパラメータを入力できるようなExcelシートを作成します。

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※薄オレンジの網掛けセルにパラメータ入力

上図のようにA列のセルに項目名を入力し、通常包装品と分割品に対応したセルをそれぞれB列、C列に用意します。

C5セル「=B5」

B6セル「=B5*B3」、C6セル「=C5*C3」

C7セル「=B7」

B8セル「=B5*(1-B7)」、C8セル「=B8」…新薬価は恐らく3月5日に告示されます

C9セル「=B9」

C10セル「=B10」

B11セル「=IF(B10>B9,CEILING(B10-B9,B4),0)」

C11セル「=IF(C10>C9,CEILING(C10-C9,C4),0)」 ※B11セルを右にフィルドラッグ

B12セル「=B9+B11-B10」、C12セル「=C9+C11-C10」※B12セルを右にフィルドラッグ

 

 B11,C11セルの解説

使用見込み>在庫数の場合には、CEILING関数を使用してB4(またはC4)に入力した包装単位での仕入数を算出するため上記の式になります。

使用見込み<=在庫数の場合には発注する必要がないので、0、とします。

 

B12,C12セルの解説

期末在庫数を求めるため、「現在庫数+仕入数-使用数」という計算式にします。

 

 

 次に通常包装品と分割品で薬価差益の差を求めます。

f:id:ashomopapa:20180228185207p:plain

【薬価差益】

現在庫を使い切った分の薬価差益①と、期末までの使用のために仕入れた分から期末までに使用した分の薬価差益②の合計、とします。

今回の例では、現在庫数50錠、使用見込み70錠となっていますので、現在庫数の50錠を使い切った分の薬価差益①と、使用見込み70錠まであと20錠足りないので通常包装で100錠仕入れて20錠使用した時の薬価差益②または、分割品で20錠仕入れて20錠使用した場合の薬価差益②の合計①+②となります。

B15セル「=B10*B5*(1-B3)」

C15セル「=IF(C10>=C9,(1-B3)*C9+(C10-C9)*(1-C3),C10*(1-B3))*C5」

※C15セルの解説

  • 使用見込みが在庫数以上なら、通常包装の薬価差益率×在庫数と(在庫数~使用見込み数)×分割品の薬価差益率を合計して、
  • そうでない(使用見込みより在庫数が大きい)なら使用見込み×通常包装の薬価差益率 を求めて、最後に現薬価をかける。

 

【改定後薬価差益】

3月末に残った「期末在庫数」分が4月以降に新薬価で使用されて薬価差益が発生することを考えます。

今回の例では現在庫50錠から100錠仕入れて70錠使用したので、期末在庫は30錠となります。分割品の方ではたまたま期末在庫が残らないという状況です。

B16セル「=B12*(B8-B6)」

 ※期末在庫数×(新薬価-通常包装品の3月までの原価)

C16セル「=IF(C10>C9,C12*(C8-C6),B16)」

 ※使用数が現在庫数以上なら、期末在庫数×(新薬価-分割品の3月までの原価)

 ※使用数が現在庫より少なければ、B16セルと同じ値

 

【改定後仕入 薬価差益】

 3月中に通常包装品を仕入れた場合の期末在庫数に合わせるように、4月以降に分割品を仕入れ、それぞれが使用された場合の薬価差益を考えます。

今回の例では通常包装で仕入れた場合の期末在庫が80錠のため、3月に分割品を仕入れた場合の期末在庫との差である80錠を通常包装品で仕入れた場合の差を考えます。

B17セル「=0」通常包装品で仕入れた場合の期末在庫数の方が多い場合を考えるため

C17セル「=(B12-C12)*C8*(1-B3)」

 ※(通常包装品仕入れた場合の期末在庫数-分割品を仕入れた場合の期末在庫数)×新薬価×通常包装品の薬価差益率

 

【合計薬価差益額】

現在庫を使用した分と、3月末までに仕入れて3月末までに使用した分と、4月以降に使用した分の薬価差益の合計を算出します。

B18セル「=B15+B16+B17」

C18セル「=C15+C16+C17」

 

【差額】

合計薬価差益額の、通常包装品を仕入れた場合と分割品を仕入れた場合の差額を出します。

C19セル「=B18-C18」

※通常包装品を仕入れた場合が得なら+プラスに、分割品が得なら-マイナスになる。

 

 

これで各パラメータを入力した場合に、通常包装品で仕入れるべきか分割品で仕入れるべきかが、客観的に判断することが可能になります。

ただし、このままでは各薬品の状況に応じてパラメータ入力をしないといけません。これはとっても非現実的です。

そこで、Excel2010以降の標準機能である「データテーブル」機能を利用します。(リボンのデータ>予測>What-If分析>データテーブル を利用)

f:id:ashomopapa:20180228213756p:plain

 ワークシートに上図のような表の枠組みを作成します。

  1. 縦に現在庫数として0~100まで5ずつ増やして入力します。この時も楽するために、初めの2つだけ(0,5)を入力したら、そのF3~F4セルを選択してフィルドラッグします(フィルハンドルを下方向にドラッグ)
  2. 同様に横方向に期末まで使用見込み数として10~190くらいまで10ずつ増やして入力します(初めの2つを入力してフィルドラッグする)
  3. F2セル「=C19」と入力する

F2~Y23を選択して、リボンの「データ」タブ>「予測」グループ>「What-If分析」>「データテーブル」を選択し、開いた次のウインドウで、

f:id:ashomopapa:20180228215815p:plain

行の代入セル「=$B$10」

 ※期末までの使用見込みのB10セルに行方向のG2~Y2セルの値を代入する

列の代入セル「=$B$9」

 ※現在庫数のB9セルに、列方向のF3~F23セルの値を代入する

OKをクリックすると、G3~Y23のセルに一気に値が表示されます!

これで、在庫数と使用見込みに応じた判断が可能になりました。(下図)

f:id:ashomopapa:20180228221318p:plain

 上図で赤字で表示されるのは、分割品を購入した方が薬価差益が大きいということなので、この範囲になる現在庫:期末までの使用数の組合せでは「分割品」を仕入れた方がお得になります。

 

図では赤の範囲が規則正しく斜めに位置していることに気づきます。

期末までの使用数が現在庫より+40までは赤字、つまり分割品での仕入れがお得となっています。

ということは、通常包装で100錠仕入れておよそ半分(45錠)使えるなら、通常包装で発注すべきということになります。

 

薬価及び薬価引下げ率の影響

 

では、薬価の大小、薬価引下げ率の大小ではその違いはどうなるのでしょうか?

1)薬価の大小

上図ではセルセプトカプセル250mgの薬価269.4円の場合ですが、これを薬価100円にしてみると、次の図になります。

f:id:ashomopapa:20180302215335p:plain

 薬価が小さくなる分、数字(薬価差益の差)自体は小さくなりますが赤字の範囲には変化がありません。

つまり、薬価が低ければそれほど大きな差にはならないが、100錠包装の半分を使用するなら通常包装で仕入れた方が一応お得になる、ということですね。

 

2)薬価引下げ率の大小

それでは薬価を基に戻して、薬価引下げ率を大小変化させてみます。

・薬価引下げ率「3%」の場合

f:id:ashomopapa:20180302220353p:plain

・薬価引下げ率「10%」の場合f:id:ashomopapa:20180302220427p:plain

薬価引下げ率が大きくなれば、分割品を仕入れた方がいいという赤字の範囲が広くなることが分かります。

これを1~10%でまとめると、次のようになります。

薬価引下げ率 100錠包装中通常包装が適する使用見込み数
1% 15
2% 15
3% 25
4% 35
5% 35
6% 45
7% 45
8% 45
9% 55
10% 55

薬価引下げ率が小さければ、そもそも薬価差益の差は小さくなることも併せて考えると、例えば「薬価引下げ率が3%以下なら通常包装品で仕入れる」と薬局長が決断したり本部主導で決定してもいいかもしれません。 

 

仕入れ率の影響

 

通常包装の仕入れ率によってどのように変化するか見てみましょう。

分割品は、納入価×1.08(消費税分)=薬価、となるように納入価が決まることがほとんどですので、約92%で固定で考えます。

通常包装の仕入れ率 100錠包装中通常包装が適する使用見込み
70% 15
75% 25
80% 35
85% 45
90% 75

仕入れ率が大きくなれば分割品との差も小さくなります。ただ仕入れ率自体は薬局と卸の間で値は固定されるので、皆さんの薬局での値を確認しておくといいでしょう。

包装容量の影響

 

通常包装:分割包装が、100錠:10錠の場合が多いですが、140錠:14錠、56錠:14錠、などいくつかのパターンがありますので、その関係を確認します。

通常包装 分割品 通常包装が適する使用見込み数
100 10 45
50 10 25
140 14 60
56 14 15

3つ目のパターンまでは概ね通常包装の4~5割の使用見込みがあれば通常包装品が適しているという結果です。

4つ目のパターンでは14錠1シート(25%)以上使用するのであれば、通常包装品が適しているということになります。

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか?

いくつかのパラメータによって、通常包装品が適しているかどうかということが、薬価差益の差をベースにして考えることができる、というお話でした。

この考え方を発注システムに組み込めば、システムで最適な包装を割り出すことも可能です。(実際そんなシステムは見たことありませんが、、、笑)

最後に、今回のシュミレーションに使用したExcelファイルを、クラウドストレージを活用して、読者の皆様に利用いただけるようにしてみました。興味のある方はファイルを開いてみて下さい。

 

 サンプルファイルはこちらのページから(新薬価対応済み) H30.3.21修正しました

pharmalabo.hatenablog.com

 

 

 

やっぱり「医療用医薬品の不正販売」は対岸の火事ではなかった(T_T)

 

2017年11月に千葉県のウエルシア薬局で医療用医薬品の不正販売についての報道があり、こんな記事を書きました。

pharmalabo.hatenablog.com

 

 そして残念なことに先週こんな報道がありました。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201802/554877.html

埼玉県の薬局について、薬機法に対する違反で業務停止7日間の行政処分、ということです。(麻向法違反については処分なし?のようです)

 

また、先述のウエルシア薬局の店舗に対しては、薬機法及び麻向法に対する違反で、19日間の業務停止処分となりました。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201802/554926.html

 

 

違反内容及び処分内容の違いをまとめてみました。

薬局名 ウエルシア薬局ユーカリが丘 ファミリープラザ健康薬局
開設者 株式会社ウエルシア薬局 有限会社ドラッグストア光
所在地 千葉県佐倉市 埼玉県和光市
違反期間 2014年8月31日~17年7月10日(約3年間) 2015年9月18日~17年10月6日(約2年間)
違反内容

《千葉県発表》

(1)薬機法第49条第1項違反

薬局開設者は、2014年8月31日から17年7月10日までの間、26人に対し計63回(うち向精神薬3人、計8回を含む)、36種類(うち向精神薬3種類を含む)の処方箋医薬品を処方箋なく販売した。

(2)薬機法第8条第1項違反

管理薬剤師は、上記(1)の通り処方箋医薬品を処方箋なく販売するなど管理者の義務を怠った。

(3)薬機法第55条第1項違反

薬局開設者は、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を22人に対し計29回、薬機法第50条(直接の容器等の記載事項)および薬機法第52条(添付文書等の記載事項)に定める必要な記載事項を渡すことなく販売した。

(4)麻薬及び向精神薬取締法第50条の16第4項違反

薬局開設者は、2016年3月22日から17年3月3日までの間、3人に対し計8回、3種類の向精神薬を処方箋なく販売した。

《埼玉県発表》

同薬局が

(1)医師から処方箋の交付を受けていない人13人に対して、処方箋医薬品の抗菌薬や向精神薬を17品目販売、

(2)従業員2人に対して、薬機法施行規則第205条で定められた文書の交付を受けずに劇薬2品目を販売

 

それぞれ薬機法第49条第1項、同法第46条第1項に違反

発覚経緯 2017年8月21日 巡回中の管理職 2017年6月 匿名の通報
立入検査 2017年9月5日に通報、12月22日まで行政指導 2017年8月
不正販売品目 (1)の処方箋医薬品として、主にED治療薬や男性型脱毛症治療薬(AGA治療薬)が販売され、(3)については主にロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名ロキソニン他)やH2受容体拮抗薬が含まれていた

患者2人計9回 レペンタン坐剤

従業員11人計36回 抗菌薬など

処分発表 2018年2月7日 2018年2月9日
処分内容 業務停止19日間 2018年2月9日~同月27日 業務停止7日間 2018年2月10日~同月16日

 ※ウエルシア薬局の千葉県内の店舗110店舗についても点検を指示され、3店舗で不正販売が確認されたものの常習性はないと判断され今回はおとがめなしとなっているようです。

 

まあ、ウエルシアについては氷山の一角、あるいはトカゲのしっぽキリ的なこともあるんだろうな、というのが感想ですね。

大手以外でも全国でこのような法に抵触することが日々行われているのかもしれません。なんせ5万5千軒もの薬局がありますからね。。

 

内部通報や匿名の通報により行政の知るところとなった時、行政側はまず開設者を呼び出して事情を聴いてきます。その後、不正の有無を示す資料の提出などを経て、不正の疑いありとなったら現場立入検査となります。

 

多くの場合は、事情聴取で開設者代理の担当者が持ち帰り数日以内に保健所へ社内調査内容を報告する際に、大ごとにならないように折衝しています。

時には資料を改ざんすることもありますが、バレなければ不正ではないので、保健所に確信的なネタがなければそのまま終了することもあります。

(以前にも登録販売者の実務経験証明書発行で不正がありましたが、表ざたになったのは氷山の一角にすぎません)

 

違反内容について

 

今回の2例の違反内容を分かりやすく振り返ります。

  • 薬機法第49条第1項 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでない。

いわゆる、処方せん医薬品について、「処方せん医薬品を処方せんなしで販売等してはいけません」ということです。

  • 薬機法第46条第1項 薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者は、毒薬又は劇薬については、譲受人から、その品名、数量、使用の目的、譲渡の年月日並びに譲受人の氏名、住所及び職業が記載され、厚生労働省令で定めるところにより作成された文書の交付を受けなければ、これを販売し、又は授与してはならない。

「毒薬又は劇薬を販売等する際は、譲受人に「譲受け証」を書いてもらわないといけません」ということですね。ちなみに、調剤された医薬品は薬機法の対象外となるため、処方せん調剤で劇薬を患者に交付する際にはこの譲受け証は不要となります。

  • 薬機法第55条第1項 第50条から前条までの規定に触れる医薬品は、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。

医薬品を販売する際には、添付文書などが必要です。薬局間の譲渡の際は納品書などに必要事項を記載し、【調剤専用】と明記することで免除されます。

※ウエルシア薬局から小分け分譲してもらった伝票にはこの【調剤専用】の記載がないので、厳密には小分けの際(店舗間移動含む)に添付文書等を一緒に渡していなければ、全店舗がこの法律に違反していることになります。

  • 薬機法第8条第1項 薬局の管理者は、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき、必要な注意をしなければならない。

管理者の義務として規定されています。今回は医薬品の管理において義務を果たせていないとされたのでしょう。

処方箋医薬品の販売については、薬機法第49条第1項の但し書きで、薬剤師等に販売することは認められていますが、向精神薬についてはたとえ相手が医師でも、処方せんがなければ販売等はできません。(病院等の開設者に対しては販売等が認められる)

 

開設者の無責任

 

公表された違反内容の事実についてよく見てみると、「開設者は…」となっていることに気づきます。

多くの開設者(会社の幹部たち)は、ちゃんとやっていないのは管理者の責任だ、と思っていることでしょう。自分たちの責任を棚に上げて、ね。

バ~カと言ってやりましょう。

管理者が業務を遂行できているかを確認し、常に薬機法にのっとった運営ができるように配慮をするのが開設者の責務なのです。

開設者が調剤(=売上げ)のことしか考えてないと、こういった違反が起きてしまうということを肝に銘じておいてもらいたいものですね。