調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo

調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

第1回 薬局業務日誌のデータ化〜其の五〜

それでは③祝日リストを作成しましょう。

 

カレンダーを見て祝日を一つ一つExcelの表に入力してもいいですが、ズボラな私はできるだけ楽をしたいのでネットの情報を利用します。

 

検索エンジンで「〇〇年 祝日 一覧」みたいに検索して、良さそうなサイトを選びます。

選ぶ基準としては、日付と祝日名が表になっているといいでしょう。あとは一応著作権について確認しておきましょう。(祝日一覧などはだれが作っても内容は変わらないので、内容自体に著作権はありませんが表の体裁・デザインなどは著作権意匠権)の対象です)

 

参考にするサイトが決まれば、そのサイトの祝日の表の頭からお尻までマウスでドラッグして選択した状態で、右クリック→コピーを選択(または、CTRL + C)します。

そしてExcelの新しいシートの適当なセル(A1セルでOK)を選択して、貼り付けます。このとき「貼り付け先の書式に合わせる」ようにして、列幅を適宜調整しましょう。

貼り付けたら、日付になっているセルを選択し、Excelで「日付」扱いとなっているかを確認します。f:id:ashomopapa:20170404015240p:plain

※リボン「ホーム」タブ>「数値」の中にある「セルの書式」の▼をクリックして、数値/通貨/会計などのところに数字が表示されていればOK。(数値 のところに「2017年1月1日」みたいになっていれば、次の手順が必要)

見た目は日付なのに、Excelで「日付」扱いとなっていなければ次の手順で「日付」に変換します。

  • 見た目が日付のセルを列単位で選択する
  • 「データ」タブの「データツール」の項の「区切り位置」を選択し、区切り位置指定ウィザードで、「次へ」>「次へ」>列のデータ形式を「日付 YMD」を選択して「完了」 とすれば日付に変換されます。

  f:id:ashomopapa:20170404015345p:plain f:id:ashomopapa:20170404015448p:plain f:id:ashomopapa:20170404015450p:plain

 

このようにして、日誌を作成したい期間の祝日リストを作成します。

この時も必ず表の左側列に日付が来るようにします。また、次の年の祝日リストを追加したいときは、既存の祝日リストの下に追加します。(どんどん下に表が伸びるようにします)

 

次回は④処方せん枚数のデータ化です。

 

 

第1回 薬局業務日誌のデータ化〜其の四〜

次に②薬剤師のシフトをデータ化していきます。

 

各薬局では何らかのシフト表が必ずあると思いますので、それを上手く利用します。

ただ、シフト表は千差万別ですので、今回は私の薬局のシフト表を例にして、データ化のために押さえるべきポイントを解説していきます。

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実物のスクリーンショットです。(1行目とS列の塗りつぶしの箇所は薬剤師の名前です)

私の薬局で毎月作成している勤務シフト表の薬剤師の部分だけをひと月分コピーして、この業務日誌用のファイルに貼り付けるだけでいいようにしてあるだけなので、この通りでなくても全然かまいません。ポイントは3つです。

  • 左側に「日付」の列があること
  • 管理薬剤師が休みだった時に、管理を委任するための序列を決める
  • 序列に従い、管理薬剤師不在時の被委任薬剤師を数式で表す

ここで注意したいのが、A列の日付がExcelで「日付」として扱われているかどうかです。日付のセルを選択したときにリボンの「ホーム」タブの「数値」のところが、「日付」となっていればだいたい大丈夫です。

序列については、私の薬局では、管理薬剤師(私)→社員薬剤師→嘱託社員薬剤師→パート薬剤師(経験年数順)としていて、シフト表も左からその順にしています。そして、「出社」のところが空欄ならその日は休み、というルールです。(同じ休みでも冬休みとか有休とかの場合は「退社」のところに入れるようにしています)

被委任薬剤師の数式ですが、IF 関数と行の絶対参照を利用します。例えばS565セルに、

=IF(G565<>"","",IF(I565<>"",I$1,IF(K565<>"",K$1,IF(M565<>"",M$1,IF(O565<>"",O$1,Q$1)))))

と入力します。そうすると上のシフト表で左から3番目の人の名前が表示されます。あとはこのセルを、S列全体にコピペすればOKです。(コピペする際、K$1 という行の絶対参照にしていないと、とってもおかしなことになりますのでご注意ください)

また勤務実態とシフト表に大きな違いがないことが前提です。

万が一、シフト表通りに勤務していないということがあれば、シフト表ではなく勤務実績表をを参照しなければなりませんが、考え方は上述のとおりです。

 

次回は③祝日リストの作成 です。

 

 

 

第1回 薬局業務日誌のデータ化〜其の三〜

①営業時間をデータ化して行きます。

考慮しておく点としては、「今後営業時間が変更するかもしれない」ということです。また、「曜日によって、週によって、一定ではないかもしれない」ということも外せないです。

日から土、第1週から第5週までの営業時間を表にします。(私の薬局の16年3月までの営業時間を例にしてみます)

祝日
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~15:30 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 9:00~13:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~15:30 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 休業 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 9:00~13:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~15:30 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~15:30 休業

 

 

16年3月までと言いましたが、そうです、16年4月の調剤報酬改定に伴って、基準調剤加算を算定するために営業時間を変更しました。それが下表です。

祝日
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~13:00 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~16:30 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~13:00 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~13:00 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~16:30 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~13:00 休業
休業 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~16:30 8:30~18:00 8:30~18:00 8:30~13:00 休業

基準調剤加算を算定するためには、平日は8時間以上、土日はどちらかを一定時間営業することとなったので、営業時間時間を変更しました。

 

営業時間をリスト化できましたが、これだけではデータ活用には程遠い状態です。ここからが、Excel活用の本番です。

上記の表の左に2列を挿入し、下表のように値を入力します。

2015/6/1  
第1 42156-第1 休業
第2 42156-第2 休業
第3 42156-第3 休業
第4 42156-第4 休業
第5 42156-第5 休業

一番左上のセルにはこの営業時間の適用開始日を「日付」として入力します。いつからか分からない場合は、適当に古めの日付を入れればOKです。(通常Excelでは、日付形式で入力されたものは日付とみなされるので、普通に日付を入力してください)

その下には第1週~第5週を表す文字を入力します。(単純に1~5の数字だけでもいいですし、第1週、第2週、としてもいいです)ここでは上表のように第1~第5と入力します。

肝心なのは2列目です。

ここは、日誌に営業時間を反映させる際に当該日(例えば15年10月9日)がどの営業時間の表が適用され、第何週目の何曜日かを判定し、だから営業時間は○○~○○だ!と見つけるために不可欠な要素です。(ちなみに、15/10/9は上の表で、第2金曜の営業時間となります)

便宜上、日付を入力したセルを「A1」セルとします。「B2」に次の数式を入力します。

 =$A$1&"-"&A2

Enter を押すと、「42156‐第1」となっているはずです。

そしてB2セルを選択(クリック)し、枠の右下の■をB6セルまでドラッグ(フィルダウンと言います)すると、上表のように「42156‐第1」~「42156‐第5」となります。

 

同じように16年4月1日~の営業時間に対しても日付を入力し、数式を入れると

2016/4/1  
第1 42461-第1 休業 8:30~18:00
第2 42461-第2 休業 8:30~18:00
第3 42461-第3 休業 8:30~18:00
第4 42461-第4 休業 8:30~18:00
第5 42461-第5 休業 8:30~18:00

 のようになります。

今後、営業時間の変更があれば、表を追加していけばOKです。

ただし、新しい方の表が必ず下になるようにしてください!

 

次回は②シフト管理のデータ化です。

 

解説

日付は数値:Excelでは内部で日付は1900年1月1日を「1」として1日(24時間)ごとに1ずつ増えた値として処理されます。

関数「&」:文字列を結合するための関数。私は複数の要素を識別しながらデータを参照する必要がある場合によく利用しています。

引用符「" "」:数式の中で文字列として利用したい記号などを ” で囲むと文字列扱いとなります。私の場合は〇と△の間に「&"-"&」を入れることで「〇‐△」と文字列結合させる場合によく利用します。

絶対参照「$」:Excelでは相対参照が標準ですが、セルの行や列が移動しても同じところを参照していたい場合に、数式入力時にセルを指定した際F4キーを押すたびに、絶対参照→行の絶対参照→列の絶対参照→相対参照と切り替わります。

 

第1回 薬局業務日誌のデータ化〜其の二〜

それでは、薬局業務日誌のExcel化に取り掛かりましょう。

まず、業務日誌に記載すべき事項ですが、これは各地方(各保健所または各保健所職員)で求められることが違うことはよくあることですが、概ね次の項目を押さえておけば立ち入り検査の際に嫌みのように指摘されることは避けられるでしょう。

  • 応需した処方せん枚数
  • 疑義照会の件数及び概要
  • 営業時間と薬剤師の勤務状況
  • 研修に関する事項
  • 不良医薬品の処理など管理に関する事項
  • 薬剤師の押印

 

各薬剤師会で200円くらいで頒布される業務日誌でもこれらをざっくり記入するための欄が設けられていることでしょう。手書きで頑張るなら、それを利用してもいいでしょうが、そんな面倒くさいことしたくはないのです!

 

業務日誌をExcel化するために、基になるデータとか、リストなどが必要です。(もちろんExcelで作成します)

①営業時間

ドラッグストアなら土日も含めて一定だったりしますが、町の門前薬局は医療機関のお休みに合わせて週ごとに違ったりややこしいですよね。さらに、基準調剤加算を算定するかしないかで営業時間が変更したり、期間の管理も必要になってきます。まずはリスト化をします。

②勤務シフト

管理薬剤師の休日に他の薬剤師に管理を委任している状況を記すために、委任順を加味した勤務シフト表を用意します

③祝日一覧

祝日を休日としている場合は必要です。インターネット上でゲットします。

④処方せん枚数

レセコンで日別の処方せん数が分かる帳票をCSV出力して利用します。私はMedicomユーザーなのでMedicomのPharnesを例に案内します

⑤疑義照会件数

手書きのチェック表などを利用するか、レセコンである加算の算定回数を出力したり、電子薬歴から「疑義照会」の入力件数を出力したりします

⑥医薬品小分け(分譲)データ

管理に関する事項の一部として、グループ内薬局や他薬局との医薬品のやり取りを記載すると、保健所受けがいいようです。在庫管理システムから出力します。

⑦研修、管理に関する一覧

冬季休業、当番医対応、棚卸実施、麻薬廃棄、勉強会開催、医療安全研修会、学生実習、などを日誌に反映させるために一覧表を作成します。

 

これらの基礎データを準備したうえで、日誌印刷用のページを作成して完成です。

 

次回は、①営業時間 データを作成しましょう。

第1回 薬局業務日誌のデータ化

調剤薬局には業務日誌という日誌があります。

これは薬事法施行規則第13条で作成と保管について定められたものです。

 

またこの法令を補完するためにいくつかの通知が厚労省(当時は厚生省)から出されており、日誌に記載すべき事項について大まかに述べられています。

 

が、今時こんなことを紙媒体に手書きして残してどうするの?世の中はどんどん電子化してるっていうのにね。

さらにこの日誌、なくなってしまうと薬局業務に支障を来すかと言うと、全くノープロブレムでしょう。

ではなぜなくならないか?それは法的義務があることに加え、数年に一度保健所が立入検査をした際に提示しろと言われたり、開局1年過ぎに厚生局の「個別指導」を受ける際にも提出が求められ、その時に怒られないために日誌を作成している、というのが本音でしょう。

実はこの業務日誌、e-文書法なるもので電子的保管が認められているんです‼︎

ただし、「真正性」「見読性」「保存性」を担保しなければなりません。つまり電子薬歴のようなキチッとしたものでないと認められないということです。なので結局紙媒体にするしかないのですね〜。

 

そこで発想を転換しましょう!

紙媒体だからと言って「手書きじゃなきゃダメ」ではないのです‼︎

日誌に記載すべき事項はExcelで管理して毎日印刷して、管理薬剤師が内容確認の上押印すれば、書類としてノープロブレムなんです。

そこでこんな感じのExcelファイルを作りました。

f:id:ashomopapa:20170403003636p:plain

 基になるデータを揃えれば、日付を入れて矢印ボタンで1週間単位(または指定日のみ)で業務日誌を表示・印刷できるようになります。

 

次回から業務日誌のデータ化の具体的な作業を紹介します。

調剤薬局のデータをExcelで活用しよう

今時の調剤薬局でのお仕事は、意外にもパソコンやプリンタや調剤機器など機器類に囲まれてその機器類がないと全くと言っていいほど仕事になりません。


なので、機器類に期待するのは「いつでも、いつも通りに動いてくれること」であって、それ以外で「もっと便利に」とか「もっと楽に」とかを期待することは少ないのではないでしょうか。


このブログでは、薬局業務をより楽に、より効率的にするために、私が今まで培ってきたExcelのテクニックを紹介していこうと思います。

Excelを上手に使えば、様々な業務を効率化することが可能です。

①在庫管理

発注、返品、薬価改定の対応、グループ内での過剰在庫(不動在庫)の移動など

②売上管理

レセコンからCSV出力したデータを加工して、知りたい使えるデータベースを作る

③調剤履歴管理と活用

②と同様にレセコンからのCSVを元にデータベースを作れば、患者さんの来局・処方の動向を簡単に把握できる

④諸々の書類作成

保健所、厚生局などへの申請書類、業務日誌や社内で利活用するための書類など


これから、少しずつですが紹介していきますが、全国の同業の皆様の役に立てると嬉しいです。

第1回は業務日誌のデータ化です。お楽しみに!