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新型コロナウイルス対策でオンライン服薬指導が前倒しに!!(特例ですが…)

 

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R2年2月28日に厚生労働省の医政局医事課/医薬・生活衛生局総務課の連名による事務連絡が関係機関に通知されました。

 

この事務連絡のタイトルは新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や 処方箋の取扱いについてとなってます。

 

この事務連絡は2月29日時点では厚労省のホームページにはアップされておらず、「根回し段階」にあるようですが、週明けには三師会(医師会・歯科医師会・薬剤師会)を通じて通達されるのではないでしょうか。

 

実は2月27日に同タイトルの事務連絡が通知された翌日28日に内容を一部修正して再度通知されているようです。

29日現在、一般社団法人日本保険薬局協会のホームページで27日発出版が確認できます。https://secure.nippon-pa.org/mail/img/20200228.pdf

 

これに対し、全日本病院協会のホームページ新型コロナウイルスに関する情報:お知らせ - 全日本病院協会 には28日発出版が掲載されています。

28日版は他に、岩手県のホームページや、高知県薬剤師会のホームページにも掲載されていました。

高知県薬剤師会のホームページに掲載されている通知のあて名は「日本薬剤師会」となっていることから、すでに日薬から各都道府県薬剤師会には28日中に伝達されているのでしょう。皆さんの都道府県ではいつ現場に連絡が来ますかね??

 

事務連絡の内容=オンライン服薬指導の前倒し

で、肝心の内容です。(以下では28日発出版について述べています)

新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて

今般、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(令和2年2月 25 日新型コロナウ イルス感染症対策本部決定。以下「基本方針」という。)がとりまとめられたところです。 基本方針を踏まえ、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、電話や情報通信機器を用いた診療によりファクシミリ等による処方箋情報の送付等の対応が必要なケースがあることから、あらかじめ、その取扱いに関する留意点を別添にまとめましたので、貴管下の医療機関、薬局等に周知していただくようお願いいたします。

との前置きに続き、別添とした文書(タイトルは「慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話や情報通信機器を用いた診療、処方箋の送付及びその調剤等に関する留意点について」)で、

1.電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合
 
 ・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、電話や情報通信機器を用いて診察した医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、薬局はその処方箋情報に基づき調剤する。
 
 注)処方箋情報のファクシミリ等による送付は、医療機関から薬局に行うことを原則とするが、患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクシミリ等により送付することも差し支えない。
 
・ ただし、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者の診療は、「視診」や「問診」だけでは診断や重症度の評価が困難であり、初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合、重症化のおそれもあることから、初診で電話や情報通信機器を用いた診療を行うことが許容される場合には該当せず、直接の対面による診療を行うこと。

・ なお、新型コロナウイルスへの感染者との濃厚接触が疑われる患者や疑似症を有し新型コロナウイルスへの感染を疑う患者について、電話や情報通信機器を用いて、対面を要しない健康医療相談や受診勧奨を行うことは差し支えない。その場合、新型コロナウイルスを疑った場合の症例の定義などを参考に、必要に応じて、帰国者・接触者相談センターに相談することを勧奨することとする。 

順を追って箇条書きにすると、
  1. 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から
  2. 慢性疾患等を有する定期受診患者等について、
  3. 当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、
  4. 感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、
  5. 既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、
  6. 電話や情報通信機器を用いて診察した
  7. 医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、(=慢性疾患の定期処方のこと)
  8. 処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、
  9. 薬局はその処方箋情報に基づき調剤する

 つまり、次の要点で電話等診療&調剤を認めます、となっています。

処方箋のFAXは医療機関→薬局を原則とするが、患者の希望があれば医療機関→患者→薬局としてもかまいません。となっていますが、いろいろなトラブルを回避するためにも医療機関→薬局が望ましいと思います。

また、感染を疑う患者の診療はきちんと対面で通常の然るべき診療を行うこととなっています。

 

続いて、医療機関に対する内容として、

2.医療機関における対応
 
・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該患者が複数回以上受診しているかかりつけ医等が、その利便性や有効性が危険性等を上回ると判断した場合において、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を電話や情報通信機器を用いた診療で処方することは、事前に診療計画が作成されていない場合であっても差し支えないこととする。 

・ 電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報を送付することとして差し 支えない。 

・ 医療機関は、処方箋を保管し、後日、薬局に当該処方箋を送付するか、当該患者が医療機関を受診した際に当該処方箋を手渡し、薬局に持参させる。

・ 医師は、ファクシミリ等により処方箋情報を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録すること。

・ 医師は、3.により、薬局から、患者から処方箋情報のファクシミリ等による送付があった旨の連絡があった場合にも、診療録に当該薬局を記録すること。この場合に、同一の処方箋情報が複数の薬局に送付されていないことを確認すること。

  • 今まで複数回(2回以上)診療している、
  • 慢性疾患を有する定期受診患者等について
  • 今まで処方されている慢性疾患治療薬であれば、
  • 事前の電話診療計画がなくても電話診療で処方してもいい

となっていて、さらに処方にあたっては

  • 患者の同意を得て
  • 医療機関から直に薬局にFAXしていい
  • FAXした場合はカルテにFAX先の薬局名を記録しておく
  • 処方箋の原本は後日薬局に送付(郵送とか)するか、(面倒くさいなら)患者経由で薬局に届けさせてもいい
  • 患者が薬局にFAXした場合に薬局から確認の電話があった場合にも、カルテにその薬局名を記録するとともに、患者が複数の薬局で重複して調剤を受けていないことを確認する(不正防止)

となっています。

 

そして、薬局に対する内容として、

3.薬局における対応  

・ 患者からファクシミリ等による処方箋情報の送付を受け付けた薬局は、その真偽を確認するため、処方箋を発行した医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認する(この行為は、薬剤師法第24条に基づく疑義照会とは別途に、必ず行うこととする)。なお、患者を介さずに医療機関からファクシミリ等による処方箋情報の送付を直接受けた場合には、この確認行為は行わなくてもよい。

・ 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条~第 27 条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等を行う

・ 調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持や、確実な授与等がなされる方法で患者へ渡し、服薬指導は電話や情報通信機器を用いて行うこととしても差し支えない。また、長期処方に伴う患者の服薬アドヒアランスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、調剤後も、必要に応じ電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を実施する。

・ 可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された処方箋情報とともに保管すること。

まず、処方せんの取り扱いについて、

  •  処方箋が患家からFAXされた場合は、真偽を確認するため、毎回必ず医療機関に連絡する
  • 医療機関から薬局に処方箋がFAXされた場合はこの確認は不要
  • 処方箋原本入手まではFAXされた処方箋を法定の処方箋とみなしてよい

となっています。調剤した薬剤に関して、

  • 患者と相談のうえ、
  • 品質を保持しつつ確実に交付できる方法で渡す(手段は限定しない)
  • 服薬指導は電話等で行ってもいい
  • アドヒアランス低下や薬剤の紛失などを回避するため、必要に応じ調剤後も電話フォローする(長期処方が前提の話)

処方箋の保管については

  • 医療機関から処方箋原本を入手してFAXされた処方箋と一緒に保管

 となっています。

 

おさらい

一番シンプルなケースを整理すると以下のようになりそうです。

医療機関 患者     電話等で診療し慢性疾患薬をDo処方 「薬局にFAXしておくから、後で薬局にTelしてね」
医療機関   薬局 処方箋をFAX カルテに薬局名を記録
        薬局 FAX処方箋に基づいて調剤
    患者 薬局 薬できてますか?と電話 そのまま電話で服薬指導
    患者 薬局

調剤した薬剤を交付

・配達・宅配便・来局など

    患者 薬局

長期処方の場合必要に応じて電話フォロー

※更に必要に応じて服薬情報をフィードバック

医療機関   薬局 処方箋原本を送付
        薬局 処方箋原本とFAX処方箋を一緒に保管

後は、代金の支払いをどうするかですね。さてどうしましょ。

細かいことを言えば、診療報酬上の扱いには言及されていないので、私は再診料や薬歴管理指導料は普通に算定してもいいんだろうなぁと勝手に解釈しておきます。

 

来週から、皆さんの地域でも電話診療による処方箋が届くかもしれません。

薬局内で段取りを確認しておきたいですね!

 

※ちなみに、お隣の医療機関には電話診療の処方箋には、備考欄に「新型コロナウイルス対策電話等診療による処方」などとコメントを入れてもらうようにお願いしておくとその後がスムーズですよ。(私も週明けにお隣のDr.に説明してお願いする予定です)