来年の薬価改定に向けて、先発品の薬価をどうするか?などの議論が始まっていますね。
薬局としては、在庫管理に直結する話なので今後の議論が気になるところです。
さて、皆さんの薬局では調剤薬の仕入れの際、「消費税」の支払いはどうしていますか?
どうもこうもない、卸の請求通り8%分きっちり卸に支払っているに決まっている!という薬局がほとんどでしょうか。
実はこの消費税、減らすことができるんです!
消費税は誰が負担するのか
そもそも消費税とは、最終消費者が負担することとなっているのですが、保険医療に関しては患者さんの窓口負担は非課税、という決まりがあるため保険医療での最終消費者は、医療機関や薬局ということになってしまっています。
つまり、通常小売業で売買差益というと
= 売価 - 原価(仕入れ値) ですが、
保険調剤では
= 売価(薬剤料) - 原価(仕入れ値)× 1.08 となります。
ちょっと待って!通常の仕入れでも消費税払っているよ!と思った人のために、消費税の納付ルールを簡単に説明してみましょう。
例として、9,000円で仕入れた商品を10,000円で販売することにします。
卸への支払いは消費税を含めると、
9,000円 x 1.08 =9,720円 です。
この商品を10,000円(税抜き)で販売するとお客さんからいただく代金は
10,000円 x 1.08 =10,800円 となります。
この取引で消費税として納める金額はいくらでしょうか?
答えは「80円」なのです。
お客さんから消費税として預かったのは「800円」ですが、お客さんとの取引の前に卸への支払いの際に「720円」を消費税として納めているので、差額の「800-720=80円」を納めることになります。ということで、通常の取引では消費税を抜きにして差益額を計算します。(10,000-9,000 = 1,000円)
一方、保険医療の場合は薬価10,000円の医薬品を9,000円で仕入れた場合の売買差益(薬価差益)は、「10,000 - 9,000x1.08 = 280円 」となります。
なんか損しているなぁと思っちゃいますよね。
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調剤薬の消費税は還付(仕入控除)請求できる
あまり知られていないのですが、ある条件さえ満たしていれば仕入の際に支払った消費税については、当該店舗の課税取引と非課税取引の割合に応じて還付(仕入控除)請求ができるんです。
調剤売上げ(非課税) 1,000万円
調剤薬仕入 600万円+48万円(消費税)
物販等課税売上 100万円
物販仕入 70万円
というケースでは
還付額(控除額)= 48万円 x 100万円 ÷ (1,000万円+100万円)=4.3万円
つまり、課税取引売上げ+非課税取引売上げ に対する、課税取引売上げの割合だけ支払った消費税が戻ってくる、ということです。
ある条件とは…
この還付(仕入控除)請求をするためには条件が二つあります。
一つ目は調剤薬を仕入れてその一部でも課税取引に供すること、つまり他の薬局への医薬品の分譲、零売、あるいは自費調剤(保険適応外)などが毎月あること
二つ目は、これもあまり知られていませんが、自費調剤に関わる消費税を徴収し納付すること
処方せん調剤には課税取引と、非課税取引がある!
一般的に、処方せん調剤は保険医療の枠組みの中で実施されますが、これ以外にも「労災」「自賠責」「自由診療」があります。このうち「自由診療」にかかる処方せん調剤は課税取引となります。知っていました?
したがっていわゆる自費処方せんの場合は、内税でも外税でもいいので患者さんから消費税を預かり、税務署に納めなければなりません。
メディコムのレセコンは2014年の消費増税に合わせて、自費の場合は1.08倍の金額を徴収できるように会計・領収書の機能を付加されました。(ベンダーの担当者もよくわかっていないことが多いのですが、大手ドラッグストアの要望で追加されたんです)
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ドラッグストアは絶対お得
課税取引の割合が大きければ大きいほど還付(控除)額は大きくなるので、ドラッグストアのように調剤の売上が相対的に小さい薬局はお得になります。
最近の一般的な郊外型のドラッグストア(売り場面積 200~300坪)で調剤併設の場合、調剤の売上比率はせいぜい10%くらいでしょうか。とすると、調剤仕入で支払った消費税のうち9割は還付(控除)されるんです!
ただ、最近のドラッグストアは長時間営業をするため、薬局と店舗販売業を併設するいわゆる「分離許可」という形態のところが多いので、税務署が気付いて「別の二つの店舗」として扱われてしまうと、万事休す、というところですね。
皆さんの薬局でも、非課税売上げと課税売上げの割合を計算してみてはいかがでしょうか。