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新型コロナウイルス対策でオンライン服薬指導が前倒しに!!(特例ですが…)

R2年2月28日に厚生労働省の医政局医事課/医薬・生活衛生局総務課の連名による事務連絡が関係機関に通知されました。

 

この事務連絡のタイトルは新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や 処方箋の取扱いについてとなってます。

 

この事務連絡は2月29日時点では厚労省のホームページにはアップされておらず、「根回し段階」にあるようですが、週明けには三師会(医師会・歯科医師会・薬剤師会)を通じて通達されるのではないでしょうか。

 

実は2月27日に同タイトルの事務連絡が通知された翌日28日に内容を一部修正して再度通知されているようです。

29日現在、一般社団法人日本保険薬局協会のホームページで27日発出版が確認できます。https://secure.nippon-pa.org/mail/img/20200228.pdf

 

これに対し、全日本病院協会のホームページ新型コロナウイルスに関する情報:お知らせ - 全日本病院協会 には28日発出版が掲載されています。

28日版は他に、岩手県のホームページや、高知県薬剤師会のホームページにも掲載されていました。

高知県薬剤師会のホームページに掲載されている通知のあて名は「日本薬剤師会」となっていることから、すでに日薬から各都道府県薬剤師会には28日中に伝達されているのでしょう。皆さんの都道府県ではいつ現場に連絡が来ますかね??

 

事務連絡の内容=オンライン服薬指導の前倒し

で、肝心の内容です。(以下では28日発出版について述べています)

新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて

今般、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(令和2年2月 25 日新型コロナウ イルス感染症対策本部決定。以下「基本方針」という。)がとりまとめられたところです。 基本方針を踏まえ、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、電話や情報通信機器を用いた診療によりファクシミリ等による処方箋情報の送付等の対応が必要なケースがあることから、あらかじめ、その取扱いに関する留意点を別添にまとめましたので、貴管下の医療機関、薬局等に周知していただくようお願いいたします。

との前置きに続き、別添とした文書(タイトルは「慢性疾患等を有する定期受診患者等に係る電話や情報通信機器を用いた診療、処方箋の送付及びその調剤等に関する留意点について」)で、

1.電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合
 
 ・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、電話や情報通信機器を用いて診察した医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、薬局はその処方箋情報に基づき調剤する。
 
 注)処方箋情報のファクシミリ等による送付は、医療機関から薬局に行うことを原則とするが、患者が希望する場合には、患者自身が処方箋情報を薬局にファクシミリ等により送付することも差し支えない。
 
・ ただし、新型コロナウイルスへの感染を疑う患者の診療は、「視診」や「問診」だけでは診断や重症度の評価が困難であり、初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行った場合、重症化のおそれもあることから、初診で電話や情報通信機器を用いた診療を行うことが許容される場合には該当せず、直接の対面による診療を行うこと。

・ なお、新型コロナウイルスへの感染者との濃厚接触が疑われる患者や疑似症を有し新型コロナウイルスへの感染を疑う患者について、電話や情報通信機器を用いて、対面を要しない健康医療相談や受診勧奨を行うことは差し支えない。その場合、新型コロナウイルスを疑った場合の症例の定義などを参考に、必要に応じて、帰国者・接触者相談センターに相談することを勧奨することとする。 

順を追って箇条書きにすると、
  1. 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から
  2. 慢性疾患等を有する定期受診患者等について、
  3. 当該慢性疾患等に対する医薬品が必要な場合、
  4. 感染源と接する機会を少なくするため、一般的に、長期投与によって、なるべく受診間隔を空けるように努めることが原則であるが、
  5. 既に診断されている慢性疾患等に対して医薬品が必要になった場合には、
  6. 電話や情報通信機器を用いて診察した
  7. 医師は、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を処方の上、(=慢性疾患の定期処方のこと)
  8. 処方箋情報を、ファクシミリ等により、患者が希望する薬局に送付し、
  9. 薬局はその処方箋情報に基づき調剤する

 つまり、次の要点で電話等診療&調剤を認めます、となっています。

処方箋のFAXは医療機関→薬局を原則とするが、患者の希望があれば医療機関→患者→薬局としてもかまいません。となっていますが、いろいろなトラブルを回避するためにも医療機関→薬局が望ましいと思います。

また、感染を疑う患者の診療はきちんと対面で通常の然るべき診療を行うこととなっています。

 

続いて、医療機関に対する内容として、

2.医療機関における対応
 
・ 新型コロナウイルスの感染拡大を防止する観点から、電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、慢性疾患等を有する定期受診患者等について、当該患者が複数回以上受診しているかかりつけ医等が、その利便性や有効性が危険性等を上回ると判断した場合において、これまでも当該患者に対して処方されていた慢性疾患治療薬を電話や情報通信機器を用いた診療で処方することは、事前に診療計画が作成されていない場合であっても差し支えないこととする。 

・ 電話や情報通信機器を用いた診療で処方する場合、患者の同意を得て、医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報を送付することとして差し 支えない。 

・ 医療機関は、処方箋を保管し、後日、薬局に当該処方箋を送付するか、当該患者が医療機関を受診した際に当該処方箋を手渡し、薬局に持参させる。

・ 医師は、ファクシミリ等により処方箋情報を薬局に送付した場合は、診療録に送付先の薬局を記録すること。

・ 医師は、3.により、薬局から、患者から処方箋情報のファクシミリ等による送付があった旨の連絡があった場合にも、診療録に当該薬局を記録すること。この場合に、同一の処方箋情報が複数の薬局に送付されていないことを確認すること。

  • 今まで複数回(2回以上)診療している、
  • 慢性疾患を有する定期受診患者等について
  • 今まで処方されている慢性疾患治療薬であれば、
  • 事前の電話診療計画がなくても電話診療で処方してもいい

となっていて、さらに処方にあたっては

  • 患者の同意を得て
  • 医療機関から直に薬局にFAXしていい
  • FAXした場合はカルテにFAX先の薬局名を記録しておく
  • 処方箋の原本は後日薬局に送付(郵送とか)するか、(面倒くさいなら)患者経由で薬局に届けさせてもいい
  • 患者が薬局にFAXした場合に薬局から確認の電話があった場合にも、カルテにその薬局名を記録するとともに、患者が複数の薬局で重複して調剤を受けていないことを確認する(不正防止)

となっています。

 

そして、薬局に対する内容として、

3.薬局における対応  

・ 患者からファクシミリ等による処方箋情報の送付を受け付けた薬局は、その真偽を確認するため、処方箋を発行した医師が所属する医療機関に、処方箋の内容を確認する(この行為は、薬剤師法第24条に基づく疑義照会とは別途に、必ず行うこととする)。なお、患者を介さずに医療機関からファクシミリ等による処方箋情報の送付を直接受けた場合には、この確認行為は行わなくてもよい。

・ 医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ等により送付された処方箋を薬剤師法(昭和 35 年法律第 146 号)第 23 条~第 27 条、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号)第 49 条における処方箋とみなして調剤等を行う

・ 調剤した薬剤は、患者と相談の上、当該薬剤の品質の保持や、確実な授与等がなされる方法で患者へ渡し、服薬指導は電話や情報通信機器を用いて行うこととしても差し支えない。また、長期処方に伴う患者の服薬アドヒアランスの低下や薬剤の紛失等を回避するため、調剤後も、必要に応じ電話や情報通信機器を用いて服薬指導等を実施する。

・ 可能な時期に医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ等で送付された処方箋情報とともに保管すること。

まず、処方せんの取り扱いについて、

  •  処方箋が患家からFAXされた場合は、真偽を確認するため、毎回必ず医療機関に連絡する
  • 医療機関から薬局に処方箋がFAXされた場合はこの確認は不要
  • 処方箋原本入手まではFAXされた処方箋を法定の処方箋とみなしてよい

となっています。調剤した薬剤に関して、

  • 患者と相談のうえ、
  • 品質を保持しつつ確実に交付できる方法で渡す(手段は限定しない)
  • 服薬指導は電話等で行ってもいい
  • アドヒアランス低下や薬剤の紛失などを回避するため、必要に応じ調剤後も電話フォローする(長期処方が前提の話)

処方箋の保管については

  • 医療機関から処方箋原本を入手してFAXされた処方箋と一緒に保管

 となっています。

 

おさらい

一番シンプルなケースを整理すると以下のようになりそうです。

医療機関 患者     電話等で診療し慢性疾患薬をDo処方 「薬局にFAXしておくから、後で薬局にTelしてね」
医療機関   薬局 処方箋をFAX カルテに薬局名を記録
        薬局 FAX処方箋に基づいて調剤
    患者 薬局 薬できてますか?と電話 そのまま電話で服薬指導
    患者 薬局

調剤した薬剤を交付

・配達・宅配便・来局など

    患者 薬局

長期処方の場合必要に応じて電話フォロー

※更に必要に応じて服薬情報をフィードバック

医療機関   薬局 処方箋原本を送付
        薬局 処方箋原本とFAX処方箋を一緒に保管

後は、代金の支払いをどうするかですね。さてどうしましょ。

細かいことを言えば、診療報酬上の扱いには言及されていないので、私は再診料や薬歴管理指導料は普通に算定してもいいんだろうなぁと勝手に解釈しておきます。

 

来週から、皆さんの地域でも電話診療による処方箋が届くかもしれません。

薬局内で段取りを確認しておきたいですね!

 

※ちなみに、お隣の医療機関には電話診療の処方箋には、備考欄に「新型コロナウイルス対策電話等診療による処方」などとコメントを入れてもらうようにお願いしておくとその後がスムーズですよ。(私も週明けにお隣のDr.に説明してお願いする予定です)

 

 

 

薬局長目線でポイント解説①:令和2年度(2020年)診療報酬改定

2月7日(金)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

1月29日に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

令和2年度診療報酬改定について

 

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋し、3回に分けて解説します。

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その①の内容…

 

 

【Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進 】

②情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進

概要:情報通信機器を用いたカンファレンス等について、やむを得ない事情により対面で参加できない場合でなくても実施可能となるよう、要件を見直す。また、情報通信機器を用いた退院時共同指導について、医療資源の少ない地域でなくても実施可能となるよう、要件を見直す。

点数: 退院時共同指導料 600点

要件など:

  • 退院時共同指導料1の「注1」及び退院時共同指導料2の「注1」の共同指導は対面で行うことが原則であるが、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下この区分において「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

解説:<薬局薬剤師が退院時カンファレンスに参加するチャンスが増える!>

今回は医科における退院時共同指導料に関する内容ですが、退院時共同指導を行うにあたって、へき地等でなくてもビデオ通話などでの参加が認められることになりました。現状は退院時共同指導には在宅診療を担当する医療機関からは保険医ではなく看護師が参加していることが多いですが、これによって短時間でも在宅担当医が参加することも可能になりそうです。(スマホ好きなドクターほど参加率が上がりそう…)

今のところ調剤報酬の退院時共同指導料についての言及がないのですが、医師が良くて薬剤師はダメ、ということもないでしょう、、、ということでQ&Aなどで薬局薬剤師もビデオ通話での参加OKとなる準備をしておいた方がいいでしょう。

ビデオ通話でOKとなると、外来時間中に1~2時間店を抜けなくても、スマホかタブレットをスタンバイしておいて、共同指導(カンファ)が始まる頃に休憩室とかで対応すれば30分ほどで済みますね。(指導書は後日患家へ郵送などでいいでしょう)

病院の地域連携室とかと予め打ち合わせておくとスムーズにいきそうです。

 

【Ⅱ-1 かかりつけ機能の評価 】

③ 外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

概要:服用薬剤調整支援料について、6種類以上の内服薬が処方されている患者からの求めに基づき、患者が服用中の薬剤について、重複投薬等の状況を含めた一元的把握を行い、処方医に重複投薬の解消に係る提案を行った場合の評価を新設する

点数:(新) 服用薬剤調整支援料2 100点(3月に1回まで)

要件など:

  • 複数の保険医療機関より6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて

  • 患者若しくはその家族等の求めに応じて

  • 当該患者の服用中の薬剤について一元的把握を行った結果、重複投薬が確認された場合であって

  • 処方医に対して、当該重複投薬の状況が記載された文書を用いてその解消等に係る提案を行ったとき

  • 3月に1回に限り所定点数を算定

解説:<ポリファーマシー解消に向けて薬局薬剤師の頑張りに期待>

「服用薬剤調整支援料 125点」が前回の改定で新設されましたが、要件がそこそこ厳しく、提案はするもののなかなか減薬に至らず、、といったケースがありました。(私も数件、”肩透かし”がありました)

今回の改定では、いきなり結果だけを求めるのではなく、その過程を評価してあげることで、ポリファーマシー解消のモチベーションを持たせたいということでしょう。

しかも、薬剤の重複投与に限らないことが重複投薬というところから読み取れますね。どんなケースがあるのか、3月の厚労省の説明会が待たれますね。

また、「複数の医療機関より」「6種類以上の内服薬」が処方されていることが要件となっています。これを、ハードルが高いと見るか、割と行けそうと見るか、、、

しかし、現行でも「重複・相互作用等防止加算1」において重複投薬等に係る疑義照会などの評価がされています。今回の新設の支援料とのすみわけについては3月以降にわかるでしょう。

 

④ かかりつけ薬剤師指導料等の評価

概要:かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料について、以下の見直しを行う。
  1. 患者のプライバシーに配慮することを要件として追加する。
  2. 対物業務から対人業務への転換を進める観点から評価を見直す。
  3. 医療機関と薬局の連携による残薬への対応を推進する観点から、お薬手帳による医療機関への情報提供を推進する規定を要件に追加する。※ かかりつけ薬剤師指導料が要件を引用する薬剤服用歴管理指導料の要件として追加。

点数:

【かかりつけ薬剤師指導料】 73点 ⇒ 76

【かかりつけ薬剤師包括管理料】 281点 ⇒ 291

要件など:

  • 【かかりつけ薬剤師指導料の要件追加】患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。

  • 【薬剤服用歴管理指導料の要件追加】患者に残薬が一定程度認められると判断される場合には、患者の意向を確認した上で、患者の残薬の状況及びその理由を患者の手帳に簡潔に記載し、処方医に対して情報提供するよう努めること

解説:<要件を増やして点数アップ>

患者のプライバシーへの配慮についてはおよそ10年ほど前からよく言われるようになりましたね。まだ、投薬台にパーテーションがないような薬局はダメですよということなのでしょう。

【薬剤服用歴管理指導料への要件追加】=全ての薬局に係ります
お薬手帳への残薬の記入については、今まで患者自身に残薬数を記入して次回医師に見せるようなフォーマットを採用している薬局も増えてきましたが、私は患者自身で残薬数を記入しているお薬手帳を見たことはほとんどありません。薬剤師が大して説明していないんだろうなと推測しています。大手のドラッグストアなどは本部で帳票類のフォーマットを管理しているので、現場の薬剤師が「残薬数を記入するようなフォーマットにしたんだからちゃんと患者さんに説明しなきゃ」と思うことはほとんどないのでしょう。(勝手な推測ですが…)

今後は薬剤師が患者のお薬手帳に、残薬状況(数、理由)を簡潔に記入して処方医に情報提供することが努力義務となります。当然、記入しただけで患者が処方医に見せなければ伝わりませんから、「次回先生に見てもらってくださいね」という指導が必須ですよね。

 

⑤ 同一薬局の利用推進

概要:患者が同一の薬局を繰り返し利用することを推進する観点から、以下の見直しを行う。

  1. 薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる規定について、再度の来局の期間を「原則6月以内」から「原則3月以内」に短縮するとともに、対象を調剤基本料1以外にも拡大する。
  2. 調剤基本料について、同一患者から異なる医療機関の処方箋を同時にまとめて複数枚受け付けた場合、2回目以上の受付分については所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。
  3. 薬剤服用歴管理指導料について、医療機関等から薬局への連絡を円滑に行うため、患者が普段利用する薬局の名称をお薬手帳に記載するよう患者に促す規定を追加する。

点数:

【薬剤服用歴管理指導料】

1 原則月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 41点⇒43
2 1の患者以外の患者に対して行った場合 53点⇒57
3 特別養護老人ホームに入所している患者に訪問して行った場合 41点⇒43

 ※1及び2については、手帳を持参していない患者に対しては、本文の規定にかかわらず、処方箋受付1回につき、57点を算定する。

 ※6月以内にお薬手帳持参で再来局した場合 調剤基本料1のみ薬剤服用歴管理指導料1を算定⇒3月以内にお薬手帳持参で再来局した場合 全ての薬局で薬剤服用歴管理指導料1を算定

【調剤基本料】

複数医療機関(例:2か所)の処方せんを同時に受け付けた場合:現行所定点数2回分⇒所定点数1回分+100分の80の点数1回

要件など:

  • 【薬剤服用歴管理指導料の要件として】保険薬局や保険医療機関等の間で円滑に連携が行えるよう、患者が日常的に利用する薬局があれば、その名称を手帳に記載するよう患者に促すこと。

解説:<患者へのインセンティブにより薬局選択が進む!>

今まで複数の医療機関を受診して、複数の薬局で調剤を受けていた患者にとって「かかりつけ薬局を決めて薬局をまとめると負担金が減りますよ」ということです。

薬局にとっては、すでにかかりつけとして複数医療機関を受診している患者から全ての処方せんを応需している場合はやや減収となるかもしれません。しかし、私の感覚では複数薬局を利用している患者の方が断然多いように思います。

つまり、薬剤師、事務スタッフ全員で患者さんのお薬手帳を確認して他薬局での調剤を見かけたら、「薬局をまとめて同時に処方箋持ってくると負担金が減りますよ」「次回分の薬を備蓄しておきますよ」などと声かけを徹底して、持ち込まれる処方箋が1枚でも2枚でも増えたら必ず増収となりますよ

気になるのはどこまでが「同時」っていうの?てことですよね。例えば内科を受診して処方せんを薬局に持ってきて、「整形に行って来るから薬用意しといて」と1時間後くらいに整形の処方せんを持って薬局に来られた場合はどうするの?とか生々しい問題です。3月の説明会でちゃんと説明してくれるのかな???

 

 

【Ⅱ-7-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価】

④ 質の高い外来がん化学療法の評価<医科>

概要:外来での抗がん剤治療の質を向上させる観点から、患者にレジメン(治療内容)を提供し、患者の状態を踏まえた必要な指導を行うとともに、地域の薬局に勤務する薬剤師等を対象とした研修会の実施等の連携体制を整備している場合について、新たな評価を行う。

点数:(新設) 連携充実加算  150点(月1回)

要件など(主なもの):

  • 外来化学療法加算1のAを算定する患者に対して、当該保険医療機関の医師の指示に基づき薬剤師が、治療の目的及び治療の進捗等を文書により提供した上で、患者の状態を踏まえて必要な指導を行った場合

  •  治療の状況等を共有することを目的に、提供した治療の目的及び治療の進捗に関する文書を他の保険医療機関又は保険薬局に提示するよう患者に指導を行うこと。

  • 他の保険医療機関又は保険薬局から服薬状況、抗悪性腫瘍剤の副作用等に関する情報が報告された場合には、必要な分析・評価等を行うこと。

    [施設基準](抜粋)

    地域の保険医療機関及び保険薬局との連携体制として、以下に掲げる体制が整備されていること。

    ア 当該保険医療機関で実施される化学療法のレジメン(治療内容)を当該保険医療機関のホームページ等で閲覧できるようにしておくこと。

    イ 当該保険医療機関において外来化学療法に関わる職員及び地域の薬局に勤務する薬剤師等を対象とした研修会等を少なくとも年1回実施すること。※経過措置期間あり

    ウ 他の保険医療機関及び保険薬局からの患者のレジメン(治療内容)や患者の状況に関する相談及び情報提供等に応じる体制を整備すること。また、当該体制について、ホームページや研修会等で周知すること。

解説:<病薬連携が自分の薬局にもやってくる!>

総合病院などの外来で抗がん剤治療を行っている患者さんは少なくありません。この加算はいわゆる病薬連携を促進させるための病院側のインセンティブです。毎月150点ですから病院にとっては大きな収入源となるでしょう。病院側も一生懸命取り組むことが予想されますね。

加算の算定には化学療法のレジメンをホームページに公開し、少なくとも年1回の研修会を実施し、相談及び情報提供の体制を整備することとされています。(経過措置期間は半年となりましたので、9月までに必ず1回は研修会が開催されそうです)

つまり薬局としては、各病院のホームページにレジメンを確認し、レジメン研修会に薬剤師を参加させる準備を始めておくといいでしょう。また、次の薬剤服用歴管理指導料 特定薬剤管理指導加算2とも密接に連携していることも理解しておきましょう。

 

⑥ がん患者に対する薬局での薬学的管理等の評価

概要:患者のレジメン(治療内容)の情報を活用し、患者への副作用対策の説明や支持療法に係る薬剤の服薬指導等を実施するとともに、調剤後に電話等により服薬状況、抗悪性腫瘍剤の副作用の有無を確認し、その内容を文書等により医療機関に情報提供した場合の評価を新設する

点数:(新) 薬剤服用歴管理指導料 特定薬剤管理指導加算2 100点(月1回まで)

要件など:

  1. 保険医療機関で、抗悪性腫瘍剤を注射された患者について、当該患者の治療内容等を文書により確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合であって、当該患者の同意を得た上で、調剤後の抗悪性腫瘍剤の服用に関し、電話等により服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、当該保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、特定薬剤管理指導加算2として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。

  2.  当該加算における薬学的管理及び指導を行おうとする保険薬剤師は、原則として、保険医療機関のホームページ等でレジメン(治療内容)を閲覧し、あらかじめ薬学的管理等に必要な情報を把握すること。

施設基準:

(1)保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること。

(2)患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること。

(3)麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されていること。

(4)保険医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に当該保険薬局に勤務する薬剤師の少なくとも1名が年1回以上参加していること。※[経過措置]

 

解説:<病薬連携が始まるとともに、がん化学療法に強くならないといけない!>

薬機法改定で新たに定義される専門医療機関連携薬局の前段階としての薬局の機能・役割整備だろうという見方もあるようですね。

施設要件としては、 キャリア5年以上の薬剤師が在籍、パーテーションがある、麻薬小売業の免許があるなど(1)~(3)は地域支援体制加算を算定している薬局の要件でもあるので概ね問題ないでしょう。(4)は在籍する薬剤師の誰かが(普通は薬局長でしょうけど)最低1年に1回、化学療法に関する研修会に参加すればOKです。ただし、患者を担当する薬剤師は別途、当該医療機関のホームページでレジメンを確認し薬学的管理等に必要な情報を把握しておく必要があります。

複数の医療機関の患者の処方せんを応需するためには、それぞれの医療機関が実施する研修会に参加しなければならないのか?は3月の説明会で説明されるのでしょう。

算定要件としては、まず「抗悪性腫瘍剤を注射」された患者が対象になるということに注意ですね。これは病院薬剤師から患者経由で届く当該患者に係る治療内容と進捗に関する書類で確認することになりそうです、(あるいはお薬手帳に病院薬剤師が記入)さらに、後日電話などで薬局から連絡することを説明し同意をもらい、聴取した内容をまとめて医療機関に報告するという、なかなかの煩雑さです。しかし、「面倒だからウチはやらなくていいよ」という薬局は そのうち淘汰されるでしょう。

この加算の算定実績がその薬局(会社)の生き残ろうとする本気度そのものになるかもしれませんね。

 

その②、その③に続く…

 

薬局長目線でポイント解説②

その②の内容・・・・

【Ⅱ-10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価 】

① 地域医療に貢献する薬局の評価 

② 薬局における対人業務の評価の充実(目玉!)

③ 調剤基本料の見直し

 

薬局長目線でポイント解説③

その③の内容・・・・

【Ⅱ-11 医療におけるICTの利活用】

⑤情報通信機器を用いた服薬指導の評価

【Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 】

⑯ 患者の状態に応じた在宅薬学管理業務の評価

【Ⅳ-1後発医薬品やバイオ後続品の使用促進】

①薬局における後発医薬品の使用促進

【Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進】

② 入院時のポリファーマシー解消の推進<医科>

薬局長目線でポイント解説③:令和2年度(2020年)診療報酬改定

2月7日(金)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

1月29日に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

令和2年度診療報酬改定について

 

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋し、3回に分けて解説します。

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その③の内容・・・

 

【Ⅱ-11 医療におけるICTの利活用

⑤情報通信機器を用いた服薬指導の評価

概要:

  1. 外来患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、薬剤服用歴管理指導料として評価を新設する。
  2. 在宅患者に対するオンライン服薬指導の評価を新設する。

 

点数

  1. (新) 薬剤服用歴管理指導料 4 オンライン服薬指導を行った場合43点(月1回まで)
  2. (新) 在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者オンライン服薬指導料57点(月1回まで)

要件など:

1.薬剤服用歴管理指導料4(外来患者に対して)

[対象患者]

次のいずれにも該当する患者であること。

(1)医科点数表の区分番号A003オンライン診療料に規定する情報通信機器を用いた診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者

(2)原則3月以内に薬剤服用歴管理指導料1又は2を算定した患者

[算定要件]

(1)別に厚生労働大臣が定めるものに対して、オンライン服薬指導を行った場合に、月に1回に限り所定点数を算定する。この場合において、注4から注10までに規定する加算は算定できない

(2)オンライン服薬指導により、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(3)医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(4)オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(5)患者の同意を得た上で、対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(6)オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、やむを得ない事由により、同一の保険薬剤師が対応できない場合には、同一保険薬局内の他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。以下同じ。)の氏名を服薬指導計画に記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ている場合に限り、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

(7)患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、原則として、服薬指導等の内容を手帳に記載すること。

(8) 当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる

(9)医薬品を患者に配送する場合は、医薬品受領の確認を行うこと。

(10)厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成26年厚生労働省令第33号)第31条第1号に該当する場合(以下「特区における離島・へき地の場合」という。)は、次のとおりとする。

ア (3)については、厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行

規則及び関連通知に沿って実施すること。

イ (5)については、服薬指導計画を作成することを要しない。

ウ (6)については、他の保険薬剤師が対応しようとする場合には、服薬指導計画以外の文書に当該他の保険薬剤師の氏名を記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ること。

[施設基準]

(1)情報通信機器を用いた服薬指導を行うにつき十分な体制が整備されていること。

(2)当該保険薬局において、1月当たりの次に掲げるものの算定回数の合計に占める薬剤服用歴管理指導料の4及び在宅患者オンライン服薬指導料の算定回数の割合が1割以下であること。

① 区分番号10に掲げる薬剤服用歴管理指導料

② 区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン服薬指導料を含む。)

2.在宅患者オンライン服薬指導料

[対象患者]

次のいずれにも該当する患者であること。

(1)医科点数表の区分番号C002に掲げる在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された患者

(2)保険薬局において区分番号15に掲げる在宅患者訪問薬剤管理指導料を月1回のみ算定している患者

[算定要件]

(1)別に厚生労働大臣が定めるものに対して、オンライン服薬指導(訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除く。)を行った場合に、注1の規定にかかわらず、在宅患者オンライン服薬指導料として57点を算定する。この場合において、保険薬剤師1人につき、週10回に限り算定できる。

(2)在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者オンライン服薬指導料を合わせて保険薬剤師1人につき週40回に限り算定できる

(3)オンライン服薬指導により、「区分番号10」の薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施すること。

(4)医薬品医療機器等法施行規則及び関連通知に沿って実施すること。

(5)オンライン服薬指導は、当該保険薬局内において行うこと。

(6)患者の同意を得た上で、対面による服薬指導とオンライン服薬指導を組み合わせた服薬指導計画を作成し、当該計画に基づきオンライン服薬指導を実施すること。

(7)オンライン服薬指導を行う保険薬剤師は、原則として同一の者であること。ただし、やむを得ない事由により、同一の保険薬剤師が対応できない場合には、同一保険薬局内の他の保険薬剤師(あらかじめ対面による服薬指導を実施したことがある2名までの保険薬剤師に限る。以下同じ。)の氏名を服薬指導計画に記載し、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行うことについてあらかじめ患者の同意を得ている場合に限り、当該他の保険薬剤師がオンライン服薬指導を行っても差し支えない。

(8)訪問診療を行った医師に対して、在宅患者オンライン服薬指導の結果について必要な情報提供を文書で行うこと。

(9)患者の薬剤服用歴を経時的に把握するため、原則として、手帳により薬剤服用歴及び服用中の医薬品等について確認すること。また、患者が服用中の医薬品等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、原則として、服薬指導等の内容が手帳に記載されるようにすること。

(10)当該服薬指導を行う際の情報通信機器の運用に要する費用及び医薬品等を患者に配送する際に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として、社会通念上妥当な額の実費を別途徴収できる

(11)医薬品を患者に配送する場合は、医薬品受領の確認を行うこと。

[施設基準]

(1)薬剤服用歴管理指導料の4に係る届出を行った保険薬局であること。

 

解説:<薬機法改定にあわせたオンライン服薬指導の解禁!

 今回驚いたのは、在宅患者に対してもオンライン服薬指導!?ってことですね。日薬委員の反対意見は空しく散りました…

【外来】それはさておきまず外来においては、医科のオンライン診療に基づく処方せんのみ対象で、3月以内に対面での指導を行っていること、対面&オンラインの服薬指導計画を作成することが必要です。また、オンライン指導は当該薬局内で行う=薬剤師の自宅や会社の本部とかでやっちゃだめですよということです。

さらにオンライン服薬指導を担当する薬剤師を決めて、一応予備薬剤師2名までなら対応してもいいですよ、となってます。手帳云々に関する要件は次回対面服薬指導時に実施すればいいのか、3月の説明会を待ちましょう。

個別改定項目の方には記載されていませんが、薬剤服用歴管理指導料4を算定するにあたっては予め施設基準の届出が必要になるようです。また、外来+在宅のオンライン服薬指導の回数が全部の薬歴管理指導料+訪問薬剤管理指導料の1割以下であることも要件です。1月400回受付の薬局でも1月40人に対してオンライン指導ができることになりますので、現時点では特別大きな制約とはならないようです。

近隣医療機関の医師がオンライン診療を行っていれば、段取りを整理して実施すれば算定しやすそうですね。ただ、服薬指導計画を作成とかは、なかなか手間がかかりそうです。その指導計画の内容について細かな規定が設けられるのかなども、3月の説明会待ちですね。

【在宅】次に在宅においてですが、これはあまり現実味がないのではないかと思いますがどうでしょう。高齢だったり一人で薬局に来られないような患者が多いので、その人たちにスマホでビデオ通話というのはなじまない気がしますね。ただ今後は老人施設での薬剤管理指導を2回のうち1回はオンラインで実施するということもありそうですね。

要件についても、医科で「在医総管」を算定しているかどうかをどうやって知るのか?とか、在宅患者訪問薬剤管理指導料を月1回のみ算定とは当月の話なのか、とかいろいろ細かな点で確認したいことがありますね。

※今回の改定は「診療報酬=医療保険」なので、介護保険の居宅療養管理指導に反映されるとしても2021年の介護報酬改定まで待つことになります。

まずは、オンライン指導のためのツールの選定・導入はしっかり進めておきたいところです。薬の発送や代金の徴収をどうするのかも考えないとですね。。

※PayPayやLINE Payとかなら、店舗のQRコードをあらかじめ患者に渡しておけば、オンライン指導でもその場で会計することができるかもしれませんが、ビデオ通話中に同じスマホでPayPayを使ったら画面の確認をどうしたらいいのやら…

流れは、処方箋は医療機関から薬局に送付、薬局からオンライン指導を実施後、薬を患家へ送付、ということです(中医協資料より)

 

【Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 】

⑯ 患者の状態に応じた在宅薬学管理業務の評価

概要:

  1. 緊急時の訪問薬剤管理指導について、医師の求めにより、計画的な訪問薬剤管理指導の対象とはなっていない疾患等に対応するために緊急に患家に訪問し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合について新たな評価を行う。
  2. 経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する場合について、医師の求めなどに応じて薬局が必要な支援等を行った場合について新たな評価を行う。(「Ⅱ-10-②」を参照)

点数:【在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料】

1 計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患の急変に伴うものの場合 500点(変更なし) 

2 (新)1以外の場合 200点 (従来は薬剤服用歴管理指導料を算定)

要件など:

  • 1及び2については、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師が、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの状態の急変等に伴い、当該患者の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の求めにより、当該患者に係る計画的な訪問薬剤管理指導とは別に、緊急に患家を訪問して必要な薬学的管理及び指導を行った場合に、1と2を合わせて月4回に限り算定する。

解説:<今までの苦労がやっと報われる!!>

老人施設の患者さんで、定期訪問の翌日に熱発して抗生剤などが処方されお届に行くことなんてざらにありました。その時に算定できるのは薬剤服用歴管理指導料の41点。往復の時間を含めて、薬剤師の人件費と全く合わないななんて思っていました。それが今回、計画的な訪問薬剤管理指導に係る疾患でなくても月4回まで1回200点を算定できるようになります!なんと5倍の評価です!!良かったですね。

しかも介護保険適用の患者さんに対しても、現行でも在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料は算定が可能なので、特に施設系の在宅を担当している薬局は増収が見込めそうですね。

ただし算定強化に取り組む薬局は、本社側でしっかり薬剤師の訪問に係る時間と帰店後の報告書作成の時間の確保(=代替要員の確保など)をしっかりやってもらいたいものです。薬機法の改定もありますので、管理薬剤師は積極的に開設者に対し人員補充などの意見具申を文書で行うようにしましょう。

 

【Ⅳ-1後発医薬品やバイオ後続品の使用促進

①薬局における後発医薬品の使用促進

概要:

  1. 後発医薬品調剤体制加算について、調剤数量割合の高い加算に重点を置いた評価とする。
  2. 後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局(現行基準では後発医薬品の調剤数量割合が20%以下)に対する調剤基本料の減算規定について、当該割合の基準を拡大する。

点数:

イ 後発医薬品調剤体制加算1(75%以上)18点 ⇒  15

ロ 後発医薬品調剤体制加算2(80%以上) 22点 (変更なし)

ハ 後発医薬品調剤体制加算3(85%以上) 26点 ⇒  28

後発医薬品非促進減算 20%以下▲2点 ⇒ 40%以下▲2点 ※除外規定・経過措置期間あり

解説:<GE調剤率要件は変わらず点数が変更に>

後発医薬品の普及をなんとしても80%を達成するために、75%以上の加算1が残りましたが、85%以上に配分が大きくなりましたね。

変更不可処方せんに係る調剤数量を分母から除外する、とか、変更不可処方せんの処方箋料を減算するべき、とかいろいろ議論はありましたが、結局今回はそこまでは踏み込まず点数配分を変えることで薬局の底力に期待するということで落ち着いたようですね。結局は後発品の普及は薬局頼みということなのでしょう。

区分1(75%以上)の薬局はマイナス改定ですので、何とか2,3月で80%を目指したいところですね。ただ今から始めてもどうしようもない薬局も多いでしょう。2年後の改定ではそうならないように準備しておきたいものですね。

後発医薬品調剤体制加算も、調剤基本料と同様に薬局の収支を左右する大きな収入源ですので、経営者にはしっかり先手を打ってほしいものです。薬局長としては2年後に向けてそれぞれ+5%を目標にしていくといいでしょう。

 

【Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進】

② 入院時のポリファーマシー解消の推進<医科>

概要:入院前の処方薬の内容に変更、中止等の見直しがあった場合について、退院時に見直しの理由や見直し後の患者の状態等を記載した文書を薬局に対して情報提供を行った場合について、退院時薬剤情報管理指導料の加算を新設する。

 

点数:(新) 退院時薬剤情報連携加算 60

要件など:

  • 入院前の内服薬を変更又は中止した患者について、
  • 患者又はその家族等の同意を得て、
  • 保険医療機関が、保険薬局に対して、その理由や変更後の患者の状況等を文書により提供

解説:<病薬連携の促進>

ここでも病薬連携に関して医科にインセンティブを与えて、連携促進を図りたいということでしょう。点数がついてますので病院から薬局にじゃんじゃんFAXが届くかもしれませんね。突然のFAXに慌てふためかないように薬局側はしっかり心の準備をしておきましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?皆さんの薬局では4月以降増益になりそう(できそう)ですか?

個人的には、国から提示された「患者のための薬局ビジョン」のいいなりになったり振り回されるのは「それでいいのか?」と思っちゃうのですが(東京の役所にいる人に言われたからやるんじゃなくって患者さんと日々接している我々が自ら進化すべく行動したいと思ってます)、厚労省のお役人達がこのビジョンに沿って調剤報酬を組み立てるという構図なので、保険収入を当てにした仕事をしている以上は上手に従わないといけないなと思っています。

今回の改定の全体像は

  • 対物業務に対する評価減
  • チェーン薬局&門前型薬局の評価減
  • 対人業務の評価新設とかかりつけ薬局機能強化・オンライン指導解禁
  • ポリファーマシー解消とGE推進
  • 病薬連携の促進

今までやってきたことが評価された点と、新たな業務が創設された点がありますが、これからこっちの方向に向かいますよということだと思います。

特に前回改定で創設された「服用薬剤調整支援料」など2ndシーズンの加算にはしっかり取り組んで実績を上げていくことが、2年後に向けとても大事なんじゃないかと思いますが皆さんはいかがでしょうか。

 その③おわり。

 

今回の改定で変更となる「点数」についてはこちらのブログでとてもスッキリまとめられていますので、こちらも参考にしていただけたらと思います。

pharmacist.hatenablog.com

 

薬局長目線でポイント解説①

その①の内容・・・

【Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進 】

②情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進

【Ⅱ-1 かかりつけ機能の評価 】

③ 外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

④ かかりつけ薬剤師指導料等の評価

⑤ 同一薬局の利用推進

【Ⅱ-7-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価】

④ 質の高い外来がん化学療法の評価<医科>

⑥ がん患者に対する薬局での薬学的管理等の評価

 

 

薬局長目線でポイント解説②

その②の内容・・・・

【Ⅱ-10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価 】

① 地域医療に貢献する薬局の評価 

② 薬局における対人業務の評価の充実(目玉!)

③ 調剤基本料の見直し

 

 

薬局長目線でポイント解説②:令和2年度(2020年)診療報酬改定

2月7日(金)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

1月29日に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

令和2年度診療報酬改定について

 

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋し、3回に分けて解説します。

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その②の内容・・・

 

【Ⅱ-10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価 】

① 地域医療に貢献する薬局の評価 

概要:地域支援体制加算の実績要件について、以下のとおり見直す

点数:地域支援体制加算 35点 ⇒ 38

要件など(変更点):

調剤基本料1を算定する薬局

  • ②在宅患者に対する薬学的管理及び指導の回数 1回以上 ⇒ 12回以上

  • ④ 患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績 12回以上(服薬情報等提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)(新設)

  • ⑤ 薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席(新設)

  • ④と⑤のどちらかを満たすこと※経過措置期間あり

調剤基本料1以外を算定する薬局

  • ⑨ 薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に回以上出席(新設)

  • 9つの要件のうち8つを満たすこと

解説:<ハードルを少し上げて、点数アップ>

調剤基本料1の薬局について、在宅患者に対する指導実績要件が上がりました。

服薬情報等提供に関しても、算定の有無にかかわらず年12回以上の実績が求められることになりました。ただし、認定研修薬剤師が地域の多職種連携会議に回以上参加するか、のどちらかを満たせばいいとなります。

ハードルは上がったというか増えただけでこれくらいなら点数アップの恩恵の方が上回りそうですね。

調剤基本料1以外の薬局では、多職種連携会議参加要件が追加されましたが、これまでの①~⑧と合わせて9つの要件のうち8つがクリアできればいいですよ、ということになりました。つまり、今までの①~⑧のうちどうしてもきついものがあれば、今回新設の⑨がクリアできればOKとしてあげます、ということです。

経過措置期間についてですが、調剤基本料1を算定する薬局は1年間の経過措置がありますが、調剤基本料1以外の薬局ついては記載がありませんので、次の4月から適用されることになります。

 

② 薬局における対人業務の評価の充実(目玉!)

概要:

1.服用薬剤調整支援料について、6種類以上の内服薬が処方されている患者からの求めに基づき、患者が服用中の薬剤について、重複投薬等の状況を含めた一元的把握を行い、処方医に重複投薬の解消に係る提案を行った場合の評価を新設する。(「Ⅱ-1-③」を参照) 
2.患者のレジメン(治療内容)の情報を活用し、患者への副作用対策の説明や支持療法に係る薬剤の服薬指導等を実施するとともに、調剤後に電話等により服薬状況、抗悪性腫瘍剤の副作用の有無を確認し、その内容を文書等により医療機関に情報提供した場合の評価を新設する。(「Ⅱ-7-1-⑥」を参照) 
3.服薬情報等提供料について、医師の指示による分割調剤を実施する際に処方医に情報提供を行う場合、分割回数で除した点数ではなく、通常の点数(30 点)を算定できることとする。 
4.喘息等の患者について、医師の求めなどに応じて、吸入薬の使用方法について、文書での説明に加え、練習用吸入器を用いた実技指導を行い、その指導内容を医療機関に提供した場合の評価を新設する。 (新) 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算 30
5.経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する場合について、医師の求めなどに応じて薬局が必要な支援を行った場合について新たな評価を行う。 (新) 経管投薬支援料 100
6.地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、医師の求めなどに応じて、地域支援体制加算を届け出ている薬局が調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導等を行い、その結果を医師に情報提供した場合について新たな評価を行う。 (新) 薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算 30
7.薬剤服用歴管理指導料について、同一薬局の利用推進及び対物業務から対人業務への構造的な転換の観点から、以下の見直しを行う。(「Ⅱ-1-⑤」を参照) 
(1)薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる規定について、再度の来局の期間を「原則6月以内」から「原則3月以内」に短縮するとともに、対象を調剤基本料1以外にも拡大する。 
(2)医療機関と薬局が連携による残薬への対応を推進する観点から、お薬手帳による医療機関への情報提供を推進する規定を要件に追加する。
(3)医療機関等から薬局への連絡を円滑に行うため、患者が普段利用する薬局の名称をお薬手帳に記載するよう患者に促す規定を追加する。
(4)同一薬局の利用推進及び対物業務から対人業務への構造転換の観点から、評価を見直す。
 8.対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料について評価を見直す。
 

点数:

3.(分割調剤)服薬情報等提供料1枚の処方せんにつき30点 ⇒ 1回の提供ごとに30点

4.(新) 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算 30

5.(新) 経管投薬支援料 100

6.(新) 薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算 30

8.調剤料 内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。)(1剤につき)

イ 14日分以下の場合

  1.  7日目以下の部分(1日分につき) 5点 ⇒ 7日分以下28
  2.  8日目以上の部分(1日分につき) 4点 ⇒ 8日分以上14日分以下55

ロ 15日分以上21日分以下の場合67点 ⇒ 64

ハ 22日分以上30日分以下の場合78点 ⇒ 77

ニ 31日分以上の場合86点  ⇒ 86

要件など:

4.喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって吸入薬の投薬が行われているものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理及び指導を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合に、吸入薬指導加算として、3月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

5.胃瘻若しくは腸瘻による経管投薬又は経鼻経管投薬を行っている患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、簡易懸濁法による薬剤の服用に関して必要な支援を行った場合に初回に限り算定する。

6.地域支援体制加算を届け出ている保険薬局において、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤(以下「糖尿病治療薬」という。)を使用している糖尿病患者であって、新たに糖尿病治療薬が処方されたもの又は糖尿病治療薬に係る投薬内容の変更が行われたものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得て、調剤後も当該薬剤の服用に関し、電話等によりその服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導(当該調剤と同日に行う場合を除く。)を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、調剤後薬剤管理指導加算として、1月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

 

解説:<調剤料を減らして、対人業務への評価へシフト>

 4. 「吸入薬指導加算」はまず喘息とCOPDに限られました。イナビルの吸入指導では算定できないようです。また処方医の指示又は了解が必要なため、主な処方せん発行元医療機関の医師に予め「吸入薬指導をお願いします」などのコメント記載をお願いしておくといいでしょう。また、吸入指導後の医師への報告に関してはフォーマットを作成しておいた方がいいでしょう。

また「練習用吸入器」は現在使っている「説明用見本」でいいのか、患者さんが直に口をつけて吸入力を試すことができるようなものでないといけないのか、3月の説明会待ちです。※直に口をつけるものでないといけないとなると、メーカーがそれ用のキットを作成しないといけないし、患者の数だけキットが必要となりますので難しいところですね。

5.「経管投薬支援料」は胃瘻・腸瘻・経鼻経管投薬を行っている患者さんに、初回のみ簡易懸濁法の指導を評価しますよ、という内容です。在宅をやっていてもそんなに頻繁に胃瘻・腸瘻・経鼻経管投薬を行う患者さんにはあたらないのではないでしょうか。100点という点数は魅力ですが、今回の改定で「増収」につながるというよりは、今後の対人業務の評価増につながるような点数だと思います。

6.「調剤後薬剤指導加算」は糖尿病患者における低血糖症状の発現を防止するために薬局薬剤師の活躍を期待するといった内容のようです。低血糖防止のためなので薬剤はインスリンと、SU剤に限定されています。処方医の指示又は了解の下、後日電話などで服薬状況や副作用発現有無などを確認し必要な指導を行い、医療機関に文書でフィードバックすることで、1月に1回算定できます。60日処方だとすると、調剤当日に薬歴管理指導料(+特定薬剤管理指導加算1)を算定し、3w後くらいに電話し状況確認し指導、さらに3w後くらいにも電話確認指導をすれば次回来局時に2回分算定できるということになるのでしょうか、、、実施日と算定日のタイムラグが生じるのでこれも3月の厚労省の説明会待ちですね。

8.「調剤料」はこれまでも色々話が出ていた通りになりました。例の『0402通知』以降、薬剤師でなくてもできる対物業務には点数はつけない、と言われ、一方で保険薬局の利益の半分以上を占めている調剤料を減らすのは慎重に、という声もあり、今回はこの点数で落ち着いたということでしょう。私の予測では次回改定ではさらに減点されていくと思います。(もしくは一包化加算などを減点していくとか、「1剤につき」というところにメスを入れるか?)

ただ、今回の改定では6,7日分、13,14日分の処方のみ減点となりますが、1~5日分、8~11日分までだと調剤料が増えることになります。自店のレセコンで調剤料集計のような帳票を出してみて増減をシュミレーションしてみると面白そうですね。(当番医などではやや増収が見込めますね。)

近いうちにこのブログでもメディコムレセコンでの調剤料シュミレーションについて取り上げたいと思っています。メディコムのレセコンでは7日分以下、14日分以下、・・・というような区分でしか集計できないので、14日分以下の内服調剤料の日数別の増減シュミレーションはできなそうです。ほかのレセコンなら日数別の集計ができるのかなぁ…

 

③ 調剤基本料の見直し

概要:

1.特定の医療機関からの処方箋受付割合が95%を超える薬局について、処方箋の1月あたりの受付回数が1,800回を超える場合を調剤基本料2とし、また、同一グループ内全体で3.5万回を超える場合を調剤基本料3イとする。

2.調剤基本料について、同一患者から異なる医療機関の処方箋をまとめて複数枚受け付けた場合、2回目以上の受付分については所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。(Ⅱ-1-⑤参照)

3.特別調剤基本料について、特定の診療所との不動産取引等その他の特別な関係がある診療所の敷地内薬局(同一建物内に診療所がある場合を除く。)を対象に追加する。さらに、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げ、点数も引き下げる。

4.いわゆる同一敷地内薬局の調剤基本料について、かかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない場合の要件を見直す。

点数:

調剤基本料1 42点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料2 26点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料3イ 21点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料3ロ 16点 ⇒ (変更なし)

特別調剤基本料 11点 ⇒ 

未妥結・非かかりつけ減算 100分の50 ⇒ (変更なし)

(新)複数医療機関同時受付 100分の80(2回目以降の受付)を算定

後発医薬品減算(20%以下) ▲2点 ⇒ 40%以下) ▲2点

要件など:

【調剤基本料1】

調剤基本料2、3ーイ、3ーロ、特別調剤基本料以外 (医療資源の少ない地域にある薬局は、処方せん集中率の状況等によらず、調剤基本料1)

【調剤基本料2】 次のいずれかに該当

①処方せん受付回数が月4,000回超+処方せん集中率70%超 ⇒ (変更なし)

②処方せん受付回数が月2,000回超+処方せん集中率85%超 ⇒ (変更なし)

③いわゆる医療モール内の医療機関からの処方せん受付回数の合計が月4,000回超 ⇒ (変更なし)

(新設)処方せん受付回数が月1,800回超+処方せん集中率95%超
【調剤基本料3】
※ 特別調剤基本料に該当する場合は、特別調剤基本料を優先

<イ>(21点)

(現行)同一グループ薬局による処方せん受付回数が月4万回超40万回以下で、次のいずれかに該当 ①処方せん集中率85%超 ②医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有

⇒次のいずれかに該当

  1. (新設)同一グループ薬局による処方せん受付回数が月3.5万回超4万回以下 & 集中率95%超
  2. 同一グループ薬局による処方せん受付回数が月4万回超40万回以下 & {集中率85%超 or 医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有}(変更なし)
<ロ> (16点) ⇒ (変更なし)
同一グループ薬局による処方せん受付回数が月40万回超で、次のいずれかに該当 ①処方せん集中率85%超 ②医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有
【特別調剤基本料】 11点 ⇒ 
(現行)病院と不動産取引等その他の特別な関係:有+集中率95%超 
保険医療機関不動産取引等その他の特別な関係:有+集中率70%超
非かかりつけ減算回避要件】
(現行)4に掲げる業務(かかりつけに関する業務)を合計10回算定した場合には、算定回数を満たした翌月より薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない保険薬局とはみなさない。
4に掲げる業務(かかりつけに関する業務)を合計10回(特別調剤基本料を算定する薬局においては合計100回算定した場合には、算定回数を満たした翌月より薬剤師 のかかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない保険薬局とはみなさない。
 

解説:<ますますチェーン薬局&門前薬局に厳しく!>

今回の改定では調剤基本料の点数にはあまり手を付けず、集中率の高い門前薬局やかかりつけ機能を果たさない薬局により厳しい改定となりました。

在宅患者訪問や地域医療の基幹薬局としての取り組みを行わない薬局は、じわじわと利益を削られていきます。

調剤基本料1以外をまとめると次のようになるかと思います。

f:id:ashomopapa:20200208230659p:plain

調剤基本料まとめイメージ

 

★大事なこと★

集中率については、95%、85%、70%というのがポイントですが、さらなる線引きを予測していた方がいいかもしれませんね。経営のことを考えれば次回改定で低い点数にならないようにということを考えておかなければいけません。

たとえば、4,000回超70%超 ⇒ 3500回超70%超 となるかもしれませんし、4000回超60%超となるかもしれません。また、5000回超65%超などが新設されるかもしれません。

現在調剤基本料1を算定できている薬局は、要件が厳しくなっても調剤基本料1を算定できるように次の2年間で準備しておかないとですね。

 

その③に続きます…

 

薬局長目線でポイント解説③

その③の内容・・・・

【Ⅱ-11 医療におけるICTの利活用】

⑤情報通信機器を用いた服薬指導の評価

【Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 】

⑯ 患者の状態に応じた在宅薬学管理業務の評価

【Ⅳ-1後発医薬品やバイオ後続品の使用促進】

①薬局における後発医薬品の使用促進

【Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進】

② 入院時のポリファーマシー解消の推進<医科>

 

薬局長目線でポイント解説①

その①の内容・・・

【Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進 】

②情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進

【Ⅱ-1 かかりつけ機能の評価 】

③ 外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

④ かかりつけ薬剤師指導料等の評価

⑤ 同一薬局の利用推進

【Ⅱ-7-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価】

④ 質の高い外来がん化学療法の評価<医科>

⑥ がん患者に対する薬局での薬学的管理等の評価

 

 

【ダウンロード】薬価引下げ率リスト

前回は薬価改定に伴い、「在庫絞るリスト」の作成について考えました。

 

このサイトに辿り着いたみなさんの中には、「そんなことより、手っ取り早く薬価がどうなるのかの一覧が欲しい!」という人も多いでしょう。

 

ということで、次のリンク先からExcelファイルをダウンロードしてください。

  

2019年10月薬価改定率リスト

※Microsoft の onedrive を利用しています。ブラウザでExcel様式のファイルが開きますので、ツールバーにある「ダウンロード」ボタンでお使いのPCにダウンロードしてください。(Windowsの場合ダウンロードフォルダに保存されていると思います)

ダウンロードしたファイルは「編集を有効」にすれば加工ができます。

 

みなさんの薬局で採用している採用品リストから医薬品コード(9桁数字)をSheet2のA列に貼り付ければ一覧の医薬品コード列に色が付きます(条件付き書式設定をしています)。

医薬品コード列の▼マークで「セルの色で並べ替え」を選択すれば、あなたの薬局の採用品のみの薬価改定リストができあがります」

 

更に改定率のフィールドには1.8%以下(買い溜め推奨)の品目のフォントに色をつけています(条件付き書式)ので、ここでも「セルの色で並べ替え」または「昇順に並べ替え」「降順に並べ替え」などで利用しやすいように加工してみて下さい。

 

元記事はこちら

pharmalabo.hatenablog.com

 

新薬価告示!!在庫絞るべきリスト

2019年10月から適用される新薬価が、8月19日に告示されました。予想していた9月5日前後より半月以上も早かったのでびっくりしています。

 

今回の薬価改定は19年10月1日の消費増税に対応するものなのですが、普通に考えれば1.85%(=1.10÷1.08)の増額にすればいいのですが、長期収載品や後発医薬品の薬価をまず引き下げてから増税対応するなどの措置があり、結果的に薬価が上がるもの、変わらないもの、下がるもの、大幅に下がるものなどがあります。

 

薬価改定以外にも10月に診療報酬も一部改定されるのですが、こちらのブログが大変参考になります。

pharmacist.hatenablog.com

 

ここでは、皆さんが日常業務で知りたい「結局、どの品目の在庫を絞んなきゃいけないの?」にお応えするべく、在庫絞るべきリストを紹介します。

 

まずは新薬価一覧の入手から

私が薬価データを得るために利用しているサイトはこちらです。

ここにある「医薬品マスター」をクリックしてZIPファイルをダウンロードすると、「y」というシンプルなファイル名のCSVファイルがあります。

CSVファイルなので、すぐにExcelで活用できるので重宝しています。

(8月19日に告示された薬価ですが、このサイトにデータが掲載されたのが23日でした)

 

通常の薬価告示は、例えば亜鉛華軟膏とか酸化マグネシウムなどは「10g」でいくら、となっているのですが、 このデータの素晴らしいところは全て「1g」単位となっていることなんです。

 

利用するのは、

C列:医薬品コード(私はレセ電コードと呼んでいます)

E列:医薬品名・規格名(告示名よりも丁寧)

  • 告示名称:ベイスン錠0.2
  • 医薬品名・規格名:ベイスン錠0.2 0.2mg

L列:新薬価

Y列:旧薬価

AF列:薬価基準コード(厚労省コードともいう)※YJコードではないので注意!

また、AC列がすべて空欄のため、うっかりリストを並べ替えすると医薬品名と薬価基準コードがバラバラになる事にも注意が必要ですね。

 

リストから必要箇所をコピーし、加工する

次に、データ活用していきます。

上述の5項目を利用したいので、各列を選択(「Ctrl」を押しながら列タイトルを順にクリック)し、新しいブックにコピペします。

1行目にタイトル行を挿入し、項目名を入力して、列幅を整えておきましょう。

 

F列に「薬価引下げ率」というフィールドをつくります。

F1セルに「薬価引下げ率」と入力します。

F2セルに以下の数式を入力します。

 =(D2-C2)/D2 …(薬価が上がる場合はマイナス表示)

書式設定で「%」、「小数点以下桁数増」で整えます。

f:id:ashomopapa:20190825215254p:plain

F2セルのフィルハンドルをダブルクリックすれば、最下行まで数式がドラッグされます。 これで「薬価引下げ率リスト」の出来上がりです。

 

採用品目と10月以降の使用量見込みを確認

各薬局で採用している在庫システムから「採用品在庫一覧」のようなリストをExcel又はCSVファイルで抽出します。

上の「薬価引下げ率リスト」のG列などにさらにフィールドを追加していきます。

G列:採用品

H列:使用量

 

G列にはVLOOKUP関数またはCOUNTIF関数で、医薬品コードまたは医薬品名を基準にして、「採用品在庫一覧」ファイルから当該薬品が採用されているかを検査します。

※薬価基準コードはユニークではない(一つのコードが複数の医薬品に割り当てられていることがある)ので、検査の基準にしてはいけません

 

VLOOKUP関数を使う場合

 =IFERROR(VLOOKUP(医薬品コード,検査対象のセル範囲,1,0),"")

 ⇒ 採用されていれば医薬品コードが表示、採用されていなければ空白

 

COUNTIF関数を使う場合

 =COUNTIF(検査対象のセル範囲,医薬品コード)

 ⇒ 採用されていれば「1」、採用されていなければ「0」

 ただし、採用品在庫一覧がJANコード単位など、同じ医薬品に対して複数行記載されている場合はその行数を表示します。

 

  • 医薬品コード:医薬品コードのセルを選択します、医薬品コードが「採用品在庫一覧」に項目がなければ、医薬品名でも構いません(告示名ならNG)
  • 検査対象のセル範囲:「採用品在庫一覧」の中の医薬品コードの列全体を指定、または上の関数で医薬品コードではなく医薬品名を使った場合は「医薬品名」の列を選択

 

H列にも同様に、使用量を検査します。

まず「採用品在庫一覧」のリストの中に「使用量」や「処方量」などの列があることを確認してください。さらに、それは何か月分か?も確認しましょう。

 

VLOOKUP関数を使う場合

 =IFERROR(VLOOKUP(医薬品コード,検査対象のセル範囲,列数,0),"")

  • 検査対象範囲:「採用品在庫一覧」の中の医薬品コード~使用量までの列を選択
  • 列数:医薬品コード列を1列目として、使用量列までの列数

※検査対象範囲は必ず検査の基準である「医薬品コード」列から指定するのが掟です

※JANコード単位など一つの医薬品につき複数行がある場合は使えません

 

SUMIF関数を使う場合

 =SUMIF(在庫一覧の医薬品コード列,医薬品コード,在庫一覧の使用量列)

※JANコード単位など複数行あっても該当する医薬品の使用量を合算して表示できます

 

使用量見込みで在庫絞るかを判断

9月末まで在庫を絞るか、買い溜めしておくかについては以前の記事でも書きました。 

pharmalabo.hatenablog.com

結論としては、10月の薬価引下げ率 が、

  • 「1.8%以上」なら在庫を絞る
  • 「1.8%以下」または「薬価引上げ」ならなるべく多く在庫する

ということでした 。

 

今回は絞る目安と買い溜めする目安を考えます。

 

既に厚労省から「買い占めなどをしないように」とお達しが出ていますので、あくまでも良識の範囲でということでお付き合いください。

 

在庫を絞るのは、患者の来局を見込んで欠品しないようにできるだけ発注を「我慢」することに尽きます。

 

対して、在庫を多く持つことに関しては、単純に〇ヶ月分を9月に発注するかを本部指示かなんかで示せばいいでしょう。

ただ、低薬価品をチマチマ買い溜めしても、増税対策の効果は限定的です。逆に、棚卸前に在庫を増やすことで管理コスト(手間)をむやみに増やすことにもなりかねません。

なので、どの品目をどの程度備蓄するか、が重要です。

 

(0.018 - 薬価引下げ率)x 現薬価 x 買い溜め数量 = 増税対策効果 …①

 

となります。「増税対策効果」と表記しましたが、10月以降に仕入れた場合はその分だけ仕入れ値が高くなるということでもあります。

一方、薬価引下げで在庫価値の目減りについては、

 

(薬価引下げ率 - 0.018 )x 現薬価 x 9月末在庫数量 = 在庫価値目減り …②

 

となります。実際は未来の在庫を把握するのは難しいので、現時点での在庫数量を9月末の在庫数量に置き換えて試算してみるといいでしょう。 

 

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201910薬価改定影響

 私の薬局の在庫データで試算してみたのが上図です。

採用していれば在庫が生じているでしょ、ということで採用品のところを「在庫数」としました。「使用量」は直近3か月間の値を入れて、「影響額」は上の①式をベースにして買い溜め数量を使用量以上の包装単位数量としてみました。

って、意味わからないですよね。(日本語って難しい…)

上図で1行目にある「サーティカン錠0.25mg」で説明すると、まず3か月使用量は140となっています。一方この薬品の包装容量は60錠包装です。つまり60錠包装で140錠以上となるのは180錠ですよね。Excel関数でこの数値を求めています。使うのはCEILING関数です。

 CEILING関数とは、「指定された基準値の倍数のうち、最も近い値に数値を切り上げる」もので、CEILING(数値、基準値)と引数を入れます。

上図の「サーティカン錠0.25mg」の場合は、

=CEILING(140 , 60 )= 180 を買い溜め数量としました。

 

この試算で薬価引下げによる在庫金額の目減りと、買い溜めによる在庫金額のアップを合計すると約3万円のプラスとなりました。

 

このように関数を利用すると、買い溜めするといくら増税対策に貢献するのかがきりわかります。

ただ、薬価差の小さいものまで買い溜めしても大した効果はないので、プラスの影響額が上位30品目のうち、薬価が100円以上のもので、フィルタをかけると18品に絞り込まれました。そして、影響額はなんと117千円もあります。(上図 赤〇) 

 

約3万円のプラスを享受するために買い溜めする金額を見ると、この18品目に絞っても約437万円(現薬価ベース)ありました。

 

薬価引下げになる品目である程度在庫金額は押さえられるとは言え、400万円の在庫を抱える勇気があるかどうか。という問題になりそうですね。

数字の上では、使用見込みがあるのであれば、引き上げ対象品については在庫を抱えるべきなのですが…

 

私の薬局では、今回のような年度途中に、消費増税があり、引下げを含む薬価改定なんかはそう経験できないイベントと位置付けて、約400万円の備蓄にトライしてみようかと思っています。

 

みなさんの薬局ではどうしますか?

 

 薬価引下げ率リストを上記の手順に則って作成しました。

※元データは厚労省が管理する「診療報酬情報提供サービス」からなのでご安心ください

pharmalabo.hatenablog.com

 

 

地域支援体制加算を算定している薬局は、お盆休みをとっていいか?

天下の日経DI ONLINE に目を疑う記事が掲載されていたので、びっくりしてこの記事を書いています。

 

medical.nikkeibp.co.jp

 

この記事の中では、地域支援体制加算の算定に係る開局時間に関する要件として、

国民の祝日に関する法律」第3条に規定する休日を含む週は、「週45時間以上開局」の“カウント外”ですので、今年に関して言えば、8月11日(日・祝)を含む週に、同加算を算定している薬局がお盆休みを取っても何ら問題ないことになります。

 と記されています。

 

「何ら問題ない」という言葉にビックリしました。

 

地域支援体制加算の前身である基準調剤加算についての2016年3月の疑義解釈資料では、

(問18)基準調剤加算の算定要件に「当該保険薬局の開局時間は、平日は1日8時間 以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週 45時間以上開局していること」とあるが、祝日を含む週(日曜始まり)につい ては、「週45時間以上開局」の規定はどのように取り扱うのか。
(答)国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第3条に規定する休日並びに 1月2日、3日、12月29日、12月30日及び31日が含まれる週以外の週の開局時間で 要件を満たすか否か判断すること。

とあります。

 

つまり、日~土の間で祝日がある週については、週45時間の規定は適用しないということです。それでも平日は8時間以上の開局が要件であることに変わりはありません。

それなのに「何ら問題ない」とは、、、

 

さらに言えば、仮に、「何ら問題ない」として、次のような記述も気になります

地域支援体制加算に話を戻すと、今年は要件に該当しませんでしたが、社会全体が働き方改革を進めている中で、お盆休みすら取ることができない、そもそもの算定要件がおかしいと個人的には感じています。

 「今年は要件に該当しませんでした」とあるのは、週の始まりが月曜日と認識しているからなのでしょうか。だとすると、それも算定要件の考え方とは相違しています。

 

働き方改革を持ち出して、薬局にはお盆休みがあってもいいじゃないか!といいたいようですが、勿論休みたければ休めばいいでしょう。

ただ、そんな薬局は地域支援体制加算の算定をしなければいいだけの話です。

 

珍しく何を言いたいのかさっぱり分からないコラムだったので、慌てて記事を書いてみました。

薬局の不正は大手調剤薬局・ドラッグストアだけの問題か??①

今年も保険薬局が関係する「不正」問題がネットを賑わせてしまってますね。

 

以前、【医療用医薬品の不正販売】として記事を掲載しましたが、今回はより本質的な部分を考えてみたいと思います。

 

 

1)薬歴管理料の不正請求と虚偽報告について

まずはこちら、

アポロメディカルHD 薬歴改ざんで調剤報酬不正請求 アルフレッサHD子会社 | ニュース | ミクスOnline

 

このアイランド薬局ほくしん店の薬局機能情報を見ると、昨年の処方せん応需数は27,458人となっています。また、薬剤師数は4人とのことです。

主な処方せん応需元は隣接する内科胃腸科クリニックで、診療日は月~土で、木土は午前のみの診療です。

年間の診療日が約280日として、単純に1日約100枚の処方せん応需となります。

薬剤師が処理すべき薬歴は1日25件ということになりますが、記事では介護施設の管理も行っているという記載もあり、外来7割、施設3割くらいだとすると、1日100枚のうち外来70枚、施設30枚、月間にすると外来1750枚、施設750枚程度と考えられます。割と忙しい薬局と窺えます。

 

さてこの薬局が、18年6月に個別指導を受けて、①薬歴未記載にもかかわらず薬歴管理指導料を算定していた、として自主返還(約5年分)を求められ、さらに返還対象となる未記載の薬歴に、②電子薬歴の日付を操作するなどして薬歴を書き足すなどの改ざんをして、③厚生局へ虚偽の報告を行っていた、ことが問題とされています。

 

一連の不正の中で一番の問題は何なのでしょうか?

【未記載になる原因】

そもそも、なぜ薬歴未記載が発生したのかを考えてみます。

記事では、約5年間で660万円の返還が必要と管理薬剤師が試算したとあります。

返還額はレセプト請求額となりますので、1件410円のうち、自己負担割合の平均が1.5割程度と仮定した場合、6,600,000÷(410x0.85)=17,000件、1年あたり3,400件、1か月あたり283件、薬剤師1人1か月あたり70件の未記載があった計算になります。

 

面展開の1人薬剤師のドラッグストアならともかく、月間2000枚の処方せんを応需する薬局で毎月毎月300件近い薬歴未記載が外来患者であったとは思えません。薬歴がないと次の服薬指導がままならないからです。

おそらく、介護施設のうち介護保険の居宅療養管理指導の対象としていない、いわゆる「外来扱い」の施設に対して、未記載を続けてきたと考えるのが普通でしょう。

 

薬歴未記載の原因は、恐らく本部が営業成果として”獲ってきた”介護施設の調剤に、外来処方せん枚数以上の労力を要する上、外来応需もそこそこの忙しさがあり、

往診同行⇒処方せんチェック⇒調剤(一包化・粉砕)⇒配薬準備(薬局内)⇒お届け・配薬(施設)⇒担当者への伝達・持参薬チェック・他科受診確認⇒薬局に戻るとすぐに外来対応、、、

の無限ループだったのではないでしょうか??

 

多くの場合、施設ごとに担当薬剤師が決まっているので、薬歴を書かなくても次回処方の際に前回までの流れを把握できているので、それほど調剤に支障が出ないということも、施設薬歴を後回しにしてしまい、他の薬剤師も状況は同様だったりするので、他人の未記載薬歴を指摘することができない状況だったのでしょう。

 

つまり今回の問題発生の本質は、施設調剤についての調剤~薬歴記載までのオペレーションの不備であり、それを確認せずに”施設を獲得”してくる本部の無能が問題の本質、と見ることができます。

(以下の記述は、このことを前提にした記述ですのご了承ください)

 

【自主返還にあたり電子薬歴を改ざん】

660万円の自主返還、との報告を受けた会社幹部は社長(故人)に報告し「何とかしろ」という旨の指示を受けたことで改ざんが始まったようです。

前述リンク先の記事によると、15,304件に改ざんが判明したとのことです。

つまり返還対象と管理薬剤師が確認した17,000件のうち90%超に手を加えたということです。その改ざんの内容については

  • 未記載となっていた薬歴データに過去の服薬指導時のメモなどを見ながら薬歴データを作成し、日付を過去のデータに改ざんした
  • レセプトの提出期限を越えて記載していた薬歴データを、請求期限内の日付に改ざんした
  • 薬歴の日付や新たな情報を追加し、薬歴の内容も改ざんした

等が確認されているという。

 

ある薬剤師会幹部の方は、「電子薬歴の日付操作」に対してなんてことをしてくれたんだ!と大変憤っていました。

 

自主返還金額を過少報告することは別に珍しくも何ともありません。

ただそのやり方として、薬歴の改ざんを指示したのはいただけないですね。有印私文書偽造・改ざんなどにも該当するリスクもあります。

ここでも、会社幹部のの危機管理のセンスが悪かったようです。

 

 

厚生局へ虚偽の報告

薬歴を改ざんした結果、自主返還は244件、約10万円となったそうです。

厚生局も本質は審査(捜査)機関ではないので、そのまま受理したことでしょう。

この件の関係者の誰かが、良心の呵責に耐えられず報道機関にリークしたようです。

親会社のアルフレッサHDは、「(内部通報制度はあったが)通報されないまま、こうなったことは一番課題にしなければならない」と語ったそうです。また、管理薬剤師から何らかの意見具申が行われた形跡もなかったという。

 

さてみなさんは何が一番問題だと思いますか?

 

私は、最初の段階で会社が店舗のオペレーションに対して責任を持った上で、施設調剤を獲得してくるべきと考えます。そこさえちゃんとしていれば、あとは制度への対処の方法を会社として学べば済むことです。

それを親会社のアルフレッサHD(医薬品卸国内最大手)の社長は、「内部通報制度が活用されなかったこと」が一番の課題と捉えているそうです。現場を知らないおバカな発想ですが、超大企業のトップなら仕方がないところでしょうか。

 

あなたの薬局は大丈夫?

さて、今回の件では電子薬歴の改ざんという禁じ手の中の禁じ手を使ったことも企業ガバナンス上の大きな問題ですが、問題の本質は、現場を回すための努力と、営業さえすればいいという本部の意識との乖離にあります。(各メディアで大きく取り上げられたのは超大企業の傘下の薬局での出来事だからです)

あなたは、あなたの薬局やグループ店舗では施設調剤の薬歴未記載が絶対ないと断言できますか?

あなたの会社の幹部たちは、各店舗がどのようなタイムスケジュールでどのようなオペレーションで動いているかをしっかり把握していますか?

あなたの会社の幹部たちは、薬局長(管理薬剤師)に責任をただ押し付けてはいませんか?

ほら、他人事ではないような気になってきましたね。。。

 

よその会社に「襟を正せ」とかいう前に、「人の振り見て我が振り直せ」ですよ。。

 

 

 

登録販売者試験 最強対策サイト コンテンツ完成!!

今年も間もなく登録販売者試験が各地で始まる季節になりました。

約2年がかりで最強対策サイトのコンテンツを執筆してきましたが、ようやく全範囲のコンテンツが仕上がりました。(H21~29年の過去問を網羅しています)

このサイトでは、過去問を完全分析して過去に出題されている箇所のうち概ね3回(3年)以上出題された項目のみを解説しています。

また実際の出題文も掲載し、「どのように出題されるか」も合わせて確認できます。

このサイトを上手に活用して、合格を目指してください!!

 

試験日によってはもうすでに追い込みの時期に入っている人もいると思います。

ここからは試験日までの日数と現時点での自分の実力に応じて、勉強方法を変えていく必要があります。

追い込みにはこちらのページも参考にしてください。

pharmalabo-touhan.hatenablog.com

居宅療養管理指導における「単一建物居住者」 処方元が複数の医療機関の場合…

グループ店舗の薬局長の間で話題になったことを、書いてみますね。

 

在宅業務に積極的な当社は各店舗がそれぞれ個人在宅はもちろん、介護施設居住者の調剤を担当させてもらっています。

 

会社から売上げを上げろ、単価を上げろ、GEの率は下げるな、と言われたある薬局長がGE率を下げずに単価を上げる方法として目を付けたのが、単一建物居住者の解釈の見直しでした。

 

介護報酬では、同じ建物に居住する患者に対して居宅療養管理指導を実施した場合の報酬については、その人数に応じて減算する規定となっていました。

平成30年の改定から居宅療養管理指導の算定要件が変更となり、「同一建物居住者」という概念から「単一建物居住者」という概念に基づいて当該指導費を算定することとなりました。

つまり、同じ日に指導を行った同じ建物に居住する患者の人数、から、同じ月に指導を行った同じ建物に居住する患者の人数で算定する点数を判定することになっています。

現在は、
単一建物居住者が1人⇒507単位
単一建物居住者が2~9人⇒376単位
単一建物居住者が10人以上⇒344単位 となっています。

 

その薬局長は知り合いなどから、とある県では単一建物居住者を「処方元医療機関ごとに数える」ことになっているという情報を得たようです。

 

例えば、同じ施設に居住する12人の患者に対して、月2回居宅療養管理指導を実施していて、処方元の医療機関は3つあるとします。

A医療機関の患者は1人、B医療機関の患者は6人、C医療機関の患者は5人とすると、この数え方を変更することでどれだけ算定点数に差が出るでしょうか。

 

現行 12人 x 344単位 x 各2回 = 8,256単位

解釈を変更すると、

 ( 1人 x 507単位(A) + 6人 x 376単位(B) + 5人 x 376単位(C) )x 各2回

 =  1,014単位+4,512単位+3,760単位 = 9,286単位

差は1,030単位(=10,300円)です。解釈の変更だけで毎月1万の増収となります。

 

もしこの解釈が問題ないとしたら、いいところに目を付けた!となりますが、果たして本当にいいのでしょうか。

 

厚生局に聞いてみる?

薬局長は自分の役割を果たそうと、知り得た情報を会社にぶつけて可否の判断を仰ぎました。それに対して会社は、確かにそういう県があるようだ、という回答を薬局長会議で披露しただけでした。

ご存知の通り、算定要件の解釈・運用については都道府県ごとに違いがあり、他の県ではそれでいいらしいので本県でもOK、は通用しないことも多々あります。

会社の担当者に、本県での解釈・運用はどうなっているのかを確認すべきと進言したところ、オフィシャルには確認できず、市薬剤師会理事、国保審査担当者の私的な見解としての回答を得たということでした。

 

【回答要旨】

とある県での事例は、指導担当者の解釈の違いによるグレーゾーンではないか

 

他県の指導担当者を安易に否定するわけにはいかない、という内情がビンビン伝わる内容ですね。

さらに、市薬剤師会理事においては、現時点では行政(厚生局や市役所介護課など)への問い合わせは見合わせてほしい(するな)というおまけ付きでの回答だったようです。

 

どの部分の解釈が???

ここまで、解釈の変更だの、解釈の違い、などと続けてきましたが、いったいどの通知のどの部分をどのように解釈しているのか、気になりますよね。

厚生労働省の改定説明文書のうち下記の部分の話のようです。

f:id:ashomopapa:20190327182805p:plain

上図で「医師が行う場合」を引き合いに、医師(医療機関)ごとに単一建物居住者数をカウントする、という解釈する指導担当者がいるようなのです。

 

そんな、アホな⁉

そんなアホな…と思ったあなたはいたって常識人です。

介護報酬改定のQ&Aその1の問4②で

② 同じマンションに、同一月に同じ居宅療養管理指導事業所の別の医師がそれぞれ別の利用者に居宅療養管理指導を行った場合

(答)いずれの利用者に対しても「単一建物居住」複数人に対して行う場合の宅療養管理指導を算定する。

となっています。

医師が行う場合に、同じ居宅療養管理事業所(=同一医療機関)の別の医師がそれぞれ別の患者に対して実施したとしても人数のカウントは合算することになっています。

薬局薬剤師が居宅療養管理指導を実施する場合ににおいて、医師の所属によってカウントを分けていいとするには無理があり過ぎます。

 

算定したもん勝ち(やったもん勝ち)の現実

今回の件に関わらず、調剤報酬や介護報酬に関しては、ある一定のルールはあるものの、そこから逸脱した場合に矯正する手段は、レセプト審査と個別指導しかないのが現実です。

レセプト審査で対応できるのは、レセプト(診療報酬請求明細書)に記載された情報だけで判定できる内容に限定されますし、個別指導は開局1年経過時の新規個別指導が終われば、二度と指導に当たらないことだってあります。

つまり、明らかに不可とされていない解釈に基づいて算定していたとしても、咎められたり、矯正してもらったりする機会はなく、不適正な算定を続けているということは十分にあり得ることです。

 

行政当局は十分認識しているでしょうが、手が足りないというのが正直なところ。本来なら薬剤師会などがその代替として機能すべきなのでしょうが、体たらく。

 

「これはちょっとやりすぎかも」ということでも、だいたいはやったもん勝ちになってしまうのが現在の制度なのです。

 

だからこそ、私たち医療者は自ら襟を正すことを常に肝に銘じておきたいものですね。