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薬局長目線でポイント解説②:令和2年度(2020年)診療報酬改定

 

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2月7日(金)に、皆様お待ちかねの診療報酬改定の答申内容が公表されました。

 

1月29日に公表されていた個別改定項目に具体的な数字が加わった形で厚労省のホームページにアップされています。

令和2年度診療報酬改定について

 

その中から薬局に関連すると思われる部分を抜粋し、3回に分けて解説します。

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その②の内容・・・

 

【Ⅱ-10 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた評価、薬局の対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための所要の評価の重点化と適正化、院内薬剤師業務の評価 】

① 地域医療に貢献する薬局の評価 

概要:地域支援体制加算の実績要件について、以下のとおり見直す

点数:地域支援体制加算 35点 ⇒ 38

要件など(変更点):

調剤基本料1を算定する薬局

  • ②在宅患者に対する薬学的管理及び指導の回数 1回以上 ⇒ 12回以上

  • ④ 患者の服薬情報等を文書で医療機関に提供した実績 12回以上(服薬情報等提供料に加え、服薬情報等提供料が併算定不可となっているもので、同等の業務を行った場合を含む)(新設)

  • ⑤ 薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席(新設)

  • ④と⑤のどちらかを満たすこと※経過措置期間あり

調剤基本料1以外を算定する薬局

  • ⑨ 薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に回以上出席(新設)

  • 9つの要件のうち8つを満たすこと

解説:<ハードルを少し上げて、点数アップ>

調剤基本料1の薬局について、在宅患者に対する指導実績要件が上がりました。

服薬情報等提供に関しても、算定の有無にかかわらず年12回以上の実績が求められることになりました。ただし、認定研修薬剤師が地域の多職種連携会議に回以上参加するか、のどちらかを満たせばいいとなります。

ハードルは上がったというか増えただけでこれくらいなら点数アップの恩恵の方が上回りそうですね。

調剤基本料1以外の薬局では、多職種連携会議参加要件が追加されましたが、これまでの①~⑧と合わせて9つの要件のうち8つがクリアできればいいですよ、ということになりました。つまり、今までの①~⑧のうちどうしてもきついものがあれば、今回新設の⑨がクリアできればOKとしてあげます、ということです。

経過措置期間についてですが、調剤基本料1を算定する薬局は1年間の経過措置がありますが、調剤基本料1以外の薬局ついては記載がありませんので、次の4月から適用されることになります。

 

② 薬局における対人業務の評価の充実(目玉!)

概要:

1.服用薬剤調整支援料について、6種類以上の内服薬が処方されている患者からの求めに基づき、患者が服用中の薬剤について、重複投薬等の状況を含めた一元的把握を行い、処方医に重複投薬の解消に係る提案を行った場合の評価を新設する。(「Ⅱ-1-③」を参照) 
2.患者のレジメン(治療内容)の情報を活用し、患者への副作用対策の説明や支持療法に係る薬剤の服薬指導等を実施するとともに、調剤後に電話等により服薬状況、抗悪性腫瘍剤の副作用の有無を確認し、その内容を文書等により医療機関に情報提供した場合の評価を新設する。(「Ⅱ-7-1-⑥」を参照) 
3.服薬情報等提供料について、医師の指示による分割調剤を実施する際に処方医に情報提供を行う場合、分割回数で除した点数ではなく、通常の点数(30 点)を算定できることとする。 
4.喘息等の患者について、医師の求めなどに応じて、吸入薬の使用方法について、文書での説明に加え、練習用吸入器を用いた実技指導を行い、その指導内容を医療機関に提供した場合の評価を新設する。 (新) 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算 30
5.経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する場合について、医師の求めなどに応じて薬局が必要な支援を行った場合について新たな評価を行う。 (新) 経管投薬支援料 100
6.地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、医師の求めなどに応じて、地域支援体制加算を届け出ている薬局が調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導等を行い、その結果を医師に情報提供した場合について新たな評価を行う。 (新) 薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算 30
7.薬剤服用歴管理指導料について、同一薬局の利用推進及び対物業務から対人業務への構造的な転換の観点から、以下の見直しを行う。(「Ⅱ-1-⑤」を参照) 
(1)薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる規定について、再度の来局の期間を「原則6月以内」から「原則3月以内」に短縮するとともに、対象を調剤基本料1以外にも拡大する。 
(2)医療機関と薬局が連携による残薬への対応を推進する観点から、お薬手帳による医療機関への情報提供を推進する規定を要件に追加する。
(3)医療機関等から薬局への連絡を円滑に行うため、患者が普段利用する薬局の名称をお薬手帳に記載するよう患者に促す規定を追加する。
(4)同一薬局の利用推進及び対物業務から対人業務への構造転換の観点から、評価を見直す。
 8.対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料について評価を見直す。
 

点数:

3.(分割調剤)服薬情報等提供料1枚の処方せんにつき30点 ⇒ 1回の提供ごとに30点

4.(新) 薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算 30

5.(新) 経管投薬支援料 100

6.(新) 薬剤服用歴管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算 30

8.調剤料 内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。)(1剤につき)

イ 14日分以下の場合

  1.  7日目以下の部分(1日分につき) 5点 ⇒ 7日分以下28
  2.  8日目以上の部分(1日分につき) 4点 ⇒ 8日分以上14日分以下55

ロ 15日分以上21日分以下の場合67点 ⇒ 64

ハ 22日分以上30日分以下の場合78点 ⇒ 77

ニ 31日分以上の場合86点  ⇒ 86

要件など:

4.喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって吸入薬の投薬が行われているものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、文書及び練習用吸入器等を用いて、必要な薬学的管理及び指導を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合に、吸入薬指導加算として、3月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

5.胃瘻若しくは腸瘻による経管投薬又は経鼻経管投薬を行っている患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得た上で、簡易懸濁法による薬剤の服用に関して必要な支援を行った場合に初回に限り算定する。

6.地域支援体制加算を届け出ている保険薬局において、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤(以下「糖尿病治療薬」という。)を使用している糖尿病患者であって、新たに糖尿病治療薬が処方されたもの又は糖尿病治療薬に係る投薬内容の変更が行われたものに対して、患者若しくはその家族等から求めがあった場合であって、処方医に了解を得たとき又は保険医療機関の求めがあった場合に、患者の同意を得て、調剤後も当該薬剤の服用に関し、電話等によりその服用状況、副作用の有無等について患者に確認し、必要な薬学的管理及び指導(当該調剤と同日に行う場合を除く。)を行うとともに、保険医療機関に必要な情報を文書等により提供した場合には、調剤後薬剤管理指導加算として、1月に1回に限り30点を所定点数に加算する。

 

解説:<調剤料を減らして、対人業務への評価へシフト>

 4. 「吸入薬指導加算」はまず喘息とCOPDに限られました。イナビルの吸入指導では算定できないようです。また処方医の指示又は了解が必要なため、主な処方せん発行元医療機関の医師に予め「吸入薬指導をお願いします」などのコメント記載をお願いしておくといいでしょう。また、吸入指導後の医師への報告に関してはフォーマットを作成しておいた方がいいでしょう。

また「練習用吸入器」は現在使っている「説明用見本」でいいのか、患者さんが直に口をつけて吸入力を試すことができるようなものでないといけないのか、3月の説明会待ちです。※直に口をつけるものでないといけないとなると、メーカーがそれ用のキットを作成しないといけないし、患者の数だけキットが必要となりますので難しいところですね。

5.「経管投薬支援料」は胃瘻・腸瘻・経鼻経管投薬を行っている患者さんに、初回のみ簡易懸濁法の指導を評価しますよ、という内容です。在宅をやっていてもそんなに頻繁に胃瘻・腸瘻・経鼻経管投薬を行う患者さんにはあたらないのではないでしょうか。100点という点数は魅力ですが、今回の改定で「増収」につながるというよりは、今後の対人業務の評価増につながるような点数だと思います。

6.「調剤後薬剤指導加算」は糖尿病患者における低血糖症状の発現を防止するために薬局薬剤師の活躍を期待するといった内容のようです。低血糖防止のためなので薬剤はインスリンと、SU剤に限定されています。処方医の指示又は了解の下、後日電話などで服薬状況や副作用発現有無などを確認し必要な指導を行い、医療機関に文書でフィードバックすることで、1月に1回算定できます。60日処方だとすると、調剤当日に薬歴管理指導料(+特定薬剤管理指導加算1)を算定し、3w後くらいに電話し状況確認し指導、さらに3w後くらいにも電話確認指導をすれば次回来局時に2回分算定できるということになるのでしょうか、、、実施日と算定日のタイムラグが生じるのでこれも3月の厚労省の説明会待ちですね。

8.「調剤料」はこれまでも色々話が出ていた通りになりました。例の『0402通知』以降、薬剤師でなくてもできる対物業務には点数はつけない、と言われ、一方で保険薬局の利益の半分以上を占めている調剤料を減らすのは慎重に、という声もあり、今回はこの点数で落ち着いたということでしょう。私の予測では次回改定ではさらに減点されていくと思います。(もしくは一包化加算などを減点していくとか、「1剤につき」というところにメスを入れるか?)

ただ、今回の改定では6,7日分、13,14日分の処方のみ減点となりますが、1~5日分、8~11日分までだと調剤料が増えることになります。自店のレセコンで調剤料集計のような帳票を出してみて増減をシュミレーションしてみると面白そうですね。(当番医などではやや増収が見込めますね。)

近いうちにこのブログでもメディコムレセコンでの調剤料シュミレーションについて取り上げたいと思っています。メディコムのレセコンでは7日分以下、14日分以下、・・・というような区分でしか集計できないので、14日分以下の内服調剤料の日数別の増減シュミレーションはできなそうです。ほかのレセコンなら日数別の集計ができるのかなぁ…

 

③ 調剤基本料の見直し

概要:

1.特定の医療機関からの処方箋受付割合が95%を超える薬局について、処方箋の1月あたりの受付回数が1,800回を超える場合を調剤基本料2とし、また、同一グループ内全体で3.5万回を超える場合を調剤基本料3イとする。

2.調剤基本料について、同一患者から異なる医療機関の処方箋をまとめて複数枚受け付けた場合、2回目以上の受付分については所定点数の100分の80に相当する点数を算定する。(Ⅱ-1-⑤参照)

3.特別調剤基本料について、特定の診療所との不動産取引等その他の特別な関係がある診療所の敷地内薬局(同一建物内に診療所がある場合を除く。)を対象に追加する。さらに、特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合の基準を引き下げ、点数も引き下げる。

4.いわゆる同一敷地内薬局の調剤基本料について、かかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない場合の要件を見直す。

点数:

調剤基本料1 42点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料2 26点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料3イ 21点 ⇒ (変更なし)

調剤基本料3ロ 16点 ⇒ (変更なし)

特別調剤基本料 11点 ⇒ 

未妥結・非かかりつけ減算 100分の50 ⇒ (変更なし)

(新)複数医療機関同時受付 100分の80(2回目以降の受付)を算定

後発医薬品減算(20%以下) ▲2点 ⇒ 40%以下) ▲2点

要件など:

【調剤基本料1】

調剤基本料2、3ーイ、3ーロ、特別調剤基本料以外 (医療資源の少ない地域にある薬局は、処方せん集中率の状況等によらず、調剤基本料1)

【調剤基本料2】 次のいずれかに該当

①処方せん受付回数が月4,000回超+処方せん集中率70%超 ⇒ (変更なし)

②処方せん受付回数が月2,000回超+処方せん集中率85%超 ⇒ (変更なし)

③いわゆる医療モール内の医療機関からの処方せん受付回数の合計が月4,000回超 ⇒ (変更なし)

(新設)処方せん受付回数が月1,800回超+処方せん集中率95%超
【調剤基本料3】
※ 特別調剤基本料に該当する場合は、特別調剤基本料を優先

<イ>(21点)

(現行)同一グループ薬局による処方せん受付回数が月4万回超40万回以下で、次のいずれかに該当 ①処方せん集中率85%超 ②医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有

⇒次のいずれかに該当

  1. (新設)同一グループ薬局による処方せん受付回数が月3.5万回超4万回以下 & 集中率95%超
  2. 同一グループ薬局による処方せん受付回数が月4万回超40万回以下 & {集中率85%超 or 医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有}(変更なし)
<ロ> (16点) ⇒ (変更なし)
同一グループ薬局による処方せん受付回数が月40万回超で、次のいずれかに該当 ①処方せん集中率85%超 ②医療機関との間で不動産の賃貸借取引:有
【特別調剤基本料】 11点 ⇒ 
(現行)病院と不動産取引等その他の特別な関係:有+集中率95%超 
保険医療機関不動産取引等その他の特別な関係:有+集中率70%超
非かかりつけ減算回避要件】
(現行)4に掲げる業務(かかりつけに関する業務)を合計10回算定した場合には、算定回数を満たした翌月より薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない保険薬局とはみなさない。
4に掲げる業務(かかりつけに関する業務)を合計10回(特別調剤基本料を算定する薬局においては合計100回算定した場合には、算定回数を満たした翌月より薬剤師 のかかりつけ機能に係る基本的な業務を実施していない保険薬局とはみなさない。
 

解説:<ますますチェーン薬局&門前薬局に厳しく!>

今回の改定では調剤基本料の点数にはあまり手を付けず、集中率の高い門前薬局やかかりつけ機能を果たさない薬局により厳しい改定となりました。

在宅患者訪問や地域医療の基幹薬局としての取り組みを行わない薬局は、じわじわと利益を削られていきます。

調剤基本料1以外をまとめると次のようになるかと思います。

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調剤基本料まとめイメージ

 

★大事なこと★

集中率については、95%、85%、70%というのがポイントですが、さらなる線引きを予測していた方がいいかもしれませんね。経営のことを考えれば次回改定で低い点数にならないようにということを考えておかなければいけません。

たとえば、4,000回超70%超 ⇒ 3500回超70%超 となるかもしれませんし、4000回超60%超となるかもしれません。また、5000回超65%超などが新設されるかもしれません。

現在調剤基本料1を算定できている薬局は、要件が厳しくなっても調剤基本料1を算定できるように次の2年間で準備しておかないとですね。

 

その③に続きます…

 

薬局長目線でポイント解説③

その③の内容・・・・

【Ⅱ-11 医療におけるICTの利活用】

⑤情報通信機器を用いた服薬指導の評価

【Ⅲ-3 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 】

⑯ 患者の状態に応じた在宅薬学管理業務の評価

【Ⅳ-1後発医薬品やバイオ後続品の使用促進】

①薬局における後発医薬品の使用促進

【Ⅳ-6 医師・院内薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用の推進】

② 入院時のポリファーマシー解消の推進<医科>

 

薬局長目線でポイント解説①

その①の内容・・・

【Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進 】

②情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進

【Ⅱ-1 かかりつけ機能の評価 】

③ 外来患者への重複投薬解消に対する取組の評価

④ かかりつけ薬剤師指導料等の評価

⑤ 同一薬局の利用推進

【Ⅱ-7-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価】

④ 質の高い外来がん化学療法の評価<医科>

⑥ がん患者に対する薬局での薬学的管理等の評価