調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo

調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

薬局の棚卸 楽にしませんか⁉

 

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こんにちは。皆さんの薬局では薬価改定に向けて、日々在庫管理に励んでいたことと思います。何が、「物から人へ」なのか頭の中が???だらけで必死に「物」の管理をしている自分が愛おしく感じる季節ですね。(笑)

 

私も自分の薬局のことで必死で、4月になったのでやっとこの記事を書いてます。

「きちんと準備をしておけばもっと楽にできたのに…」と毎度のことながら反省はするけれど、なんせ半年に1回のことに一生懸命準備するような余裕なんかないよ~という薬局長が多いことと思います。

その気持ち、よ~く分かります。

 

次の棚卸と、2020年以降の毎年薬価改定に備えて、棚卸の段取りを整理しておけば、きっと役に立つでしょう。

 

在庫管理の手順

棚卸の意義

 そもそも、どうして面倒くさいのに毎回毎回棚卸が必要なのか知っていますか?

その意味は、調剤薬局では主に二つ挙げられます。

1)財務会計

 どのような会社であれ、経済活動ですから会社として利益を正確に計上する必要があります。その利益に基づいて従業員の給与や賞与などが支払われています。

利益を計上するためには売上原価を把握しなければなりません。

利益=売上げー売上原価

  =売上げ-(期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高)

となるため、ボーナスをもらうためにはきちんと棚卸をしなければなりません。

 

2)調剤過誤の可能性の発見

 実地棚卸をすると、多少なりとも差異が生じることでしょう。

一般的には差異の主な原因は、在庫データの入力ミス、システムへのマスタ登録ミス、盗難、内部の不正などがありますが、調剤薬局においては調剤過誤も大きな要因となります。

定期的に実地棚卸をすることで、見過ごされた調剤過誤を発見し、再発防止を図るためにも重要と言えるでしょう。

 

棚番の整理

棚卸をスムーズに行うための絶対条件です。在庫管理システムによって棚番の設定方法は様々ですが、私の薬局で採用している「JustockEXⅢ」ではJANコードごとに棚番を設定できる仕様になっています。

このため、例えば散剤のバラ包装(瓶包装)と、分包品は別の棚で管理が可能になり、PTP包装の錠剤は棚で管理して、バラ錠は分包機に棚番を振ったりして管理する、ということができます。

 

実地棚卸の基本 

 実地棚卸という言葉でもわかるように、棚卸の際には帳簿はあくまで補助的なものとしておき、あくまでも「実際にそこにある商品」をカウントすることが最重要です。

なぜでしょうか?もし帳簿(棚卸リスト)を基にして棚卸を行うと、「リストにはないが引き出しに入っている」という商品のカウントを漏らしてしまう恐れが高いからです。

 

実際にそこにある商品Aをカウントしてリストに記入しようとしたときに、当該棚番にはその商品Aが記載されていないと、欄外に記入したりすることになりますが、これが後に実棚登録をする際に面倒なことになります。

商品Aがどの棚番に登録されてるかを探して、ひとまず棚番はそのままで、カウントした数量を登録しなければなりませんし、棚卸を確定させて後に、棚番を振り直さないといけません。

なので、実地棚卸をやるときに棚番がしっかり整理されていないと面倒なことになるのです。

 

ではどういう手順で整理するといいのでしょうか。

私の薬局では、予め全スタッフに担当棚番を割り振ってあるので、(棚卸の2週間ほど前に)仮の棚卸リストを印刷し各スタッフに自分の担当棚番を確認してもらいます。その時点で「棚にはあるのにリストにない」商品に正しい棚番を登録し直すことで、棚卸本番がとても楽になります。

 

返品の管理

実地棚卸を開始する前までに返品伝票が処理できるように、問屋に返品を依頼しましょう。(JustockEXの場合は、問屋から返品データを受信できることが必要です)

万が一、返品処理が間に合わない場合は「在庫が薬局にあるもの」として棚卸をしないといけませんので、予め返品したもののリストを用意しておくといいでしょう。

 

 

廃棄薬の管理

実地棚卸を開始するまでに、すでに紛失したものや調剤ミスによるロスなどがあれば廃棄処理をしておきましょう。

期限切れ品は予め廃棄処理するか、実地棚卸では「在庫があるもの」としてカウントしましょう。

 

棚卸開始前までの処方引き落とし

実棚当日分までの処方を引き落としてから、棚卸を開始します。

過去の処方入力の訂正などについても全て引き落とされているかもしっかり確認しましょう。

また、処方入力に誤りがないかいわゆる処方箋チェックも棚卸開始前までに終わらせておくのが望ましいですね。

JustockEXの場合は、前々月の1日からの処方分を引き落とすことができますので、念のため、前々月1日以降当日までのデータを引き落とすといいでしょう。

 

事前計数

 

本来棚卸は「用意スタート!」で一斉に開始しなければなりません。

ただ、これでは業務終了後に非常に時間がかかってしまいます。そこで監査法人にも認められた方法ですが、実地棚卸当日までにカウントを開始して、その時点で付箋に数量を記入した上で「封」をします。

「その封が破られるまではその数量のまま」であることが担保されます。

棚卸月に入って、もう動かなそうな薬品からどんどん事前計数をしておくと、当日はとっても楽ちんですね。

 

不足薬(マイナス在庫)の管理

調剤という業態は不思議なことに、薬が不足したまま売上を計上することができてしまうので、実地棚卸の際に「マイナス在庫」という現象が発生することがあります。

実棚後に薬が入荷して、不足分をお届けなりすることになりますので、「マイナス在庫」はマイナスのままカウントしましょう。

JustockEXの場合は、棚卸リスト上は「0」となっていて、実棚登録でもマイナスの数値は入力できませんので、マイナス在庫となっている品目を別途確認し、未渡しの不足薬の数量を確認する必要があります。

 

 

棚卸中の調剤分の管理

薬局には調剤応需の義務がありますので、棚卸中に患者さんが処方せんを持ってきたら応需しなければなりません。

棚卸リストを発行したタイミングと、当該処方箋の処方薬を実地棚卸カウントをしたタイミング、調剤して薬を棚から取り出したタイミングを正確に判断する必要があります。

一般的には、棚卸リスト印刷→棚卸開始→患者来局ということになりますので、

処方薬カウント後に調剤=当該調剤分は気にしない

処方薬カウント前に調剤=当該調剤分を「在庫がある」ものとしてカウントする

という対応が必要です。

 

その他予製剤・一包化予製・分包機内バラ薬品の管理

棚卸前までに予製剤や一包化予製、分包機内バラ錠はなるべく少なくしておきたいのですが、日々の調剤業務が止められるわけではないのでどうしても発生してしまいますよね。

そうであるなら、予めリストを作成しておきカウントしやすくしておくと断然楽になります。予製剤が単味であるなら話は簡単ですが、数種類の薬品を混合していたりするとちょっと面倒ですね。

そこはExcelで換算シートを作っておくと楽ちんです。

一包化予製についても、患者ごとにExcelリストを作り合計するなどのExcelシートを作成しておくといいでしょう。

 

分包機内バラ錠のカウントですが、ピンセットを使って1錠ずつ数えるなんて面倒なことはやってられません。ここは、「重量」で錠数をカウントしましょう。

Excelシートに分包機内の薬品リストを作成しておき、添付文書に記載されている1錠当たりの重量を登録しておきます。

リストを印刷し、分包機内バラ錠の重量を記入して、Excelに入力すれば簡単に錠数を計算できます。どうしても誤差が気になるところですが、1錠ずつカウントしても数100錠カウントしてたら1錠くらいずれることも十分にありうるとすれば、むしろ重量の方が精度は高いかもしれないと考えています。

 

Excelで計算した各薬品の数量を、棚卸リストに追加すれば完了です。

 

 

いかがでしたか?早めに準備をして、正確で楽に棚卸を終えたいですね!!