調剤薬局業務をExcelで快適に PharmaDataLabo

調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

「医療用医薬品の不正販売」は対岸の火事ではない!!

 

sponsored Link

 

調剤薬局で本部側の役職を持つ方には、ちょっとショッキングな記事が出てしまいました。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201711/553569.html

 

ウエルシアは2010年頃からか、当時の社長の肝いりで「非処方せん薬の販売」を始めました。当初は困っている方のお役に立つことと、そういう「武器」を持つことで他のドラッグストアとの差別化を目的としていました。

 

ですが、間もなくグループ会社の調剤部長の間で「売上げ競争」が始まり、その頃から「いつかは起こる事」だったのでしょう。

当時から「誤って」処方せん医薬品を処方せんなしで販売する事案があり、レセコン入力の際にチェックがかかるようにレセコンメーカーに機能追加を要請した、などの経緯もあります。

 

ちなみに、薬機法の規定では処方せんによらずに処方せん医薬品を販売等した場合は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または両方を併科する」となっています。(法第八十四条十七)

 

この医療用医薬品の不正販売は大手のドラッグストアに限った問題でもなさそうです。

 

皆さんの会社では従業員が薬局にある医療用医薬品を購入することを認めている会社も多いことでしょう。

 

ちょっとした症状のために、仕事を休んで医療機関を受診したがそれほど大した診断もなく、ごくありがちな処方内容の処方せんで家の近くの薬局で薬をもらった。ということがあったとしましょう。

 

そんな大したことがないなら、仕事場の薬局にある薬を薬剤師が選んであげれば、本人も、薬局の現場も助かる。ということも多いでしょう。

 

そんな時、場合によっては抗生剤が欲しい場合もあるでしょう。

事務スタッフが抗生剤を買いたいと言ってきたら、どうしますか???

そうです、事務スタッフに抗生剤を販売したらアウトなんです。。。

 

中には、それを分かっていて、薬剤師が購入したことにして個人的に譲渡する、なんてこともやってないですか?(しかもお金をもらっていれば”販売”です)

 

今回のウエルシアの件は最低限のガバナンスが利いていたとみることもできるでしょう。ガバナンスが機能していない薬局が全国5万薬局のうちどれほどあるかを考えるとぞっとします。

薬剤師会の幹部の経営する薬局も例外ではなさそうです。

 

ただ、今回は「元従業員」が行ったとされています。現在はウエルシアを退職しているのでしょう。現在もウエルシア社員だったら、保健所に相談していたでしょうか??

 本社側としては当該薬剤師が既に退職しているので、敢えてオープンにした方が企業イメージへのダメージを最小限に出来ると踏んだと考えるのが妥当でしょう。

 

 

sponsored Link

 

 

 

次に、今回の問題をシステム的な観点で考えてみます。

チェーン薬局ではいわゆる本部システムなるものを導入していて、各店の売り上げ、在庫状況が一元的に把握できるようになっていることでしょう。

 

  1. レジの売り上げと現金に相違はないか
  2. レセコン入力で算定した売上げの一部負担金と、他薬局への医薬品の分譲等の代金がその日のレジの売り上げと相違ないか

1.の確認をしていない薬局はほぼないでしょうが、2.をしっかり確認している薬局はどれだけあるでしょうか。レセコン売り上げは確認しているという薬局はあっても、分譲品の代金まで確認しているところは少ないのではないでしょうか。

 

さらに言えば分譲の際、在庫システムで出庫処理を行いますが、その時に「分譲単価」が適切かどうかまでチェックしてますか?通常は薬価で登録し、外税を合わせた金額を請求するでしょう。

しかし、担当者が故意かどうかは別として「適当な」単価で登録したらどうでしょうか?だれがどの時点で間違いに気づくことができるでしょうか。

 

更にさらに言えば、

  • 例えば向精神薬を「期限切れ」として廃棄処理をしてその向精神薬が本当に廃棄されたかどうかをどうやって確認していますか?
  • 本当に期限切れだったのでしょうか?

お金の問題ならその会社で解決すればいいだけですが、向精神薬を廃棄したように見せかけて横流ししていた…なんてことになっていたらどうしますか?

 

私たち医療業界は性善説を原則にして仕事が構成されてきました。グループ薬局では当たり前になっている本部システムも不正を抑止(又は監視)する目的で開発されてきませんでした。

なので本部担当者は本部システムから得られるデータを駆使して、不正の可能性がないかどうかをチェックする必要があります。

 

今回の件では3年間も放置されたままでした。

紙薬歴の薬歴未記載は現場に行って確認しないと分かりませんが、今回の不正はある程度データで判断が可能です。

本部のシステムやデータの担当者は何をやっていたのかな??と思わざるを得ないですね。また、氷山の一角かもしれませんので、現場からの自己申告を促しつつ、本部で今一生懸命データをさらっているかもしれません。

(広報IRで発表したので、これ以上は不正はない、ということなのかもしれませんが)

 

そもそもデータを活用していればこんなことにはならなかったのにね。。。