前回、前々回と来年(平成30年)4月改定の後発品調剤率と調剤体制加算の話をしました。
今回は、このブログのテーマであるExcelで調剤体制加算の試算をするためのシート作成を紹介しますね。
前提条件と薬局の状況
まず、試算したい薬局の状況(下記項目)について、現状と来年4月の予測値を入力しましょう。
- 月間処方せん受付
- 処方せん単価
- 薬剤料比率
- 現在の後発医薬品調剤率
- カットオフ値
- 後発品薬価/後発のある先発品薬価
- (先発でも後発でもない品目+後発のない先発)/後発のある先発品薬価
- 後発品の薬価差益率
- 後発品以外の薬価差益率
前提としては、
- 薬価改定での影響はないとする
- 調剤報酬技術料の改定率も±0%
としておきます。
後発品、後発のある先発品、その他の各区分について
薬剤料の金額指標
先発品の薬価を基準に(A)先発でも後発でもない品目+後発のない先発品、(B)後発品、(C)後発のある先発品、の各区分の金額指標を算出します。
※Excelで、「(C) 半角括弧でC」と入力するとオートコレクト機能により勝手に「©」と変換されてしまうので、Shift+7 でシングルクオーテーション「’」を括弧の前に入力します
下図のように計算式を入力します。
※この図ではセルG2~G5の書式設定を「文字列」としてあります。
薬剤料の金額構成比
金額指標から金額構成比を求めます。
※H2セルへの入力で、分母のG5セルの指定の際にF4キーで行の絶対参照にしておくとH2からH5までフィルダウンすれば数式が入力できます
薬剤料に占める金額
金額構成比から各区分の薬剤料を求めます。
1枚当たりの薬価差益
薬剤料と薬価差益率から薬価差益額を求めます。
そうすると次のような値が求められました。
来年(平成30年)4月の予測値を求める
同様にして、来年4月の後発品調剤率と、カットオフ値の試算値を設けて、試算していきます。
処方せん単価と、薬剤料比率は後発品調剤率の影響で変化するものとしてここでは塗りつぶしておきます。
グレーのセルは現状と来年4月で基本的に変わらない項目です。
これらの予測値で、先ほど同様に計算式を入力します。
現状の数値と求め方を変えたのはI11セルの1枚当たりの薬剤料です。
現状ではシンプルに、「処方せん単価×薬剤料比率」としましたが、予測値では技術料には変化はないが、後発品調剤率が変化する影響で薬剤料も変化するため上図のように求めます。
- =薬剤料に占める金額指標(予測値) ÷ 薬剤料に占める金額指標(現行値) × 1枚当たり薬剤料(現行値)
値で表示したものがこちら。
現状と予測での売り上げ、差益額の差異を求める
薬剤料に関する変化が分かったのでこの値を基に、売上差異、差益額差異を求めましょう。
下図のように表を追加作成し、計算式を入力します。
更に、月間差異、年間差異の欄を追加します。
上級編
ここで勘のいい人は気づいたと思いますが、後発医薬品調剤体制加算を220,300と普通に入力するのはカッコよくないですよね。
B5、C5セルの値を利用して計算式で自動反映するようにしたいところです。
そのためにはもう一つ表を用意して、VLOOKUP関数を利用します。
右側の表ですが、昇順にしておくのがポイントです。
B13、C13セルの計算式ですが、B5=現行の後発品調剤率、C5=来年4月の予測の率で、それぞれG14:H16、G18:H19を検索範囲として、検索の型を1(またはtrue、つまりあいまい検索)とします。
こういう風に計算式にしておくと、仮に来年の予測値を変更することになっても〇%でいくら?を入力し直すだけで反映させることができます。
最終的な試算表
最終的には下図のようになります。
当該薬局の現状の数値を入力して、予測値を入力してみれば差異がどの程度なのかがすぐに判明します。
皆さんの薬局の現状数値を入力してみてぜひ試算してみて下さい。