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調剤薬局業務をExcelで効率化しよう

適切な発注点の管理方法

 

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皆さんの薬局では発注点を誰がどのように設定したり、管理されていますか?

 

よくあるパターンは

  1. カレンダーに来局予定者を書き込む
  2. 空箱発注
  3. 在庫管理システムのABC分析機能を利用する
  4. 薬品使用実績などから割り出す

などでしょうか。

 

それでは、それぞれの方法について見ていきましょう。

 

1)カレンダーに来局予定者を書き込む

おススメ度 ★☆☆☆☆

特徴:1日来局10名前後のドラッグストア併設薬局の1人薬剤師の店舗に多い

長所:在庫管理、データ処理などが苦手でもアナログで処理ができる
   長期処方などでも見落とさない

弱点:とにかく時間がかかる
   発注後に新患で処方があった場合などは見落とす可能性もある

 

2)空箱発注

おススメ度 ★★☆☆☆

特徴:箱を開けたら発注というシンプルなシステム
   発注点発注と組み合わせて精度を上げている薬局も多い
   通常は1日50枚くらいまでの薬局で採用されることが多い

長所:分かりやすい

弱点:空箱を取っておくための「箱」などが必要だが、意外にスペースを取る
   誤って箱を捨ててしまったら発注漏れの危険あり
   使ったらすぐに発注、となるので在庫過多になりやすい

 

3)在庫管理システムのABC分析機能を利用する

おススメ度 ★★★☆☆

特徴:システムで自動的に発注点を割り出す
   算出パターンをいくつかの中から選択可能なシステムもある
   4)の発注点を組み合わせることができるシステムもある

長所:算出パターンが適切なら半自動的に発注でき、時短

弱点:算出パターンを薬品ごとに最適化するのが難しい

 

4)薬品使用実績などから割り出す

おススメ度 ★★★★☆

特徴:薬品使用実績などから管理薬剤師などが割り出す
   在庫管理システムに発注点登録することで半自動的に発注できる

長所:経験に基づき至適発注点を設定できる
   随時見直しが可能で最も精度を期待できる

弱点:薬剤師の経験値やセンスに左右される
   発注点割り出しに時間がかかる

 

発注に関する悩ましさ

 

これに対し発注の際に考慮していることと言えば、

使用人数、不特定に使用されるか、次回処方日数、早め遅めの来局の可能性、薬価、包装容量、回転数、月末(期末)在庫、期間使用量、期末までの使用見込み、、、

これだけのことを薬品ごとに考えているんですよ!って社長に言ってやりたくなりますね(笑)

これに加えて、散剤で複数の包装規格品を採用していたり、一包化が多く自動錠剤分包機を導入していてバラ包装も採用していたりすると在庫管理はさらに難しくなります。

 

発注点割り出しの考え方

 

では使用実績から発注点を割り出す方法についてみてみましょう。

まず使用する実績は次のよう件で出力します

期間:直近3ヶ月~6ヶ月くらい(長期処方が多ければ期間は長い方がいい)

項目:薬品ごとに誰がいつ何日分で何錠使用したか、が分かるデータ

このようなデータがCSVで出力できればしめたもの。Excelで処理しましょう。(残念ながらMedicomでは薬品1品目ずつでしかデータ抽出ができません)
ただし、各メーカーによって出力形式は様々ですので、ピボットテーブルでデータを処理しようとする場合は出力したデータがテーブル形式になるように加工が必要な場合があります。

※テーブル形式:各行全てに薬品名、患者名、調剤日、使用数量が記載される形式

 

Medicomではデータが抽出できないのでサンプルデータを作成しました。(Medicomレセコンの患者検索業務で抽出できるデータを加工したものです)

f:id:ashomopapa:20170802141431p:plain

このデータからピボットテーブルを挿入し、行範囲に「薬品名」「患者番号」を配置、列範囲に「調剤日」を配置、値範囲に「使用量」「薬品名」を配置します。

f:id:ashomopapa:20170802143938p:plain

※値範囲の「薬品名」は調剤回数を表すために配置します(数値ではなく文字列を配置すると自動的に「個数/薬品名」となり登場回数が表示されます

すると、次のようなテーブルになります。

f:id:ashomopapa:20170802144012p:plain

※調剤日のところに日付が並んでいたら日付を右クリックして「グループ化」を選択し、「年」「月」を選択してOKとします。必要に応じて「列ラベル」横の▼をクリックして、期間を指定して下さい。

 一人1回(1日)当たり平均〇錠使用したのか、月平均何回の使用があったのか、が把握できます。そこで月の在庫日数目標を30日(1か月)とすると、回転している品目で20日前後に抑えておく必要がありますので、次のような計算式で発注点を求められます。

 =( 1回平均使用量 )× 使用回数 / 90 × 20 = 3か月使用量 × 2 / 9

また、使用回数が月20回以上(≒ほぼ毎日)の品目は 在庫日数10日として、

 = 使用量 / 9 でも十分でしょう。

ただし、この求め方では、たまたま同じ日に来局されることは想定していないので、同日来局を想定する場合は、「+1回平均使用量」、とすると少し余裕が持てます。

 

使用頻度の低いものは

 = MAX( 3か月使用量 × 2/9 、3か月使用量 / 使用回数 )

または、

 = MAX( 3か月使用量 × 2/9 、3か月間の最大使用量 ) で求められます。

 

 

バラ包装品や複数規格品の発注はどうすればいいの?

 

複数規格品の発注をシステム的に判断するためには、レセコンと在庫管理システムが完全に連携していればレセコンの薬品マスタ登録の際に例えば「クレストール錠2.5mg(PTP)」「クレストール錠2.5mg(バラ)」と複数登録しておき、レセコン入力の際に一包化の患者の場合は「クレストール錠2.5mg(バラ)」を入力する、という方法があります。

 

うちにはそんなシステムはない!という薬局が大半かと思いますが、そんな場合にこそExcelの出番です。ただしこれから先の話はExcelだけでは難しくて、どうしてもVBA(いわゆるマクロ)が必要ですが、VBAが使えるならバラ包装の在庫管理も余裕ですよ!

 (またそのうち紹介していきますね)