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調剤薬局のロス率と過剰在庫率

 

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前回は適正な在庫日数はどれくらいかを考えましたが、肝心なポイントとして廃棄リスク(デッドストック)を抑えていることがあります。また、在庫日数を抑えるためには「過剰在庫率」を抑えることが不可欠です。

ロス率は 0.1% を目標に!

まずは、廃棄ロスについて考えます。

医薬品の期限切れ、調剤時の破損や汚損、そして最近は少なくなりましたが薬価収載から除外されるための廃棄(いわゆる経過措置切れ)などで、ロスが生じてしまいます。
皆さんの薬局ではロス率を把握されていますか?ロス率は、

 ロス率 = 期間廃棄金額(薬価) ÷ 期間売上額(調剤報酬額) × 100(%)

で表します。廃棄金額は本来であれば原価で評価するべきなのでしょうが、正確な原価を反映させることはシステム上困難であることがほとんどなので、薬価ベースで統一する企業が多いと思います。

算出方法が分かったら、次は「いくらくらいならOKなの?」ということになりますよね。
これには、売り上げ規模、廃棄処理が適切に実行されているか、などの前提が必要です。私の経験上、月売り上げ500万円以上、チェーン薬局の場合、

ロス率は「0.1%」 を目標とすべきと考えています。

毎月廃棄処理すること!

 

普段少人数で運営している店舗に応援に行ったりすると、あちこちから期限切れの薬品が出てきたりすることがあります。在庫システム上はあることになっていますが、実際には調剤には使用できないデッドストックの極み(=キルストックと呼んでいます)です。

これでは正しい評価ができないばかりか、何より調剤過誤のリスクがありとても危険です。毎月きっちり期限切れの処理を実行しましょう。

普通の在庫管理システムなら、すでに期限が切れてしまっている薬品を抽出することができますので、確実に処理したいものですが、一部のメーカーのシステムでは「期限が切れそう」なものの抽出機能はあっても「期限が切れた」ものの抽出ができない、ということがあります(システム開発者の発想力が極めて乏しいことが原因)。その場合は、期限が切れる前にきっちり「今月切れるもの」を把握しておく必要があります。

在庫の流動化

 

売り上げ規模の小さな店舗は、小包装で仕入れる、商品が動かなくなったら適切に移動処理をする、など日々の在庫管理を頑張りましょう。

在庫管理システムで在庫の流動化を支援するものもありますが、細かい部分で現場運用に合わないなど仕様の問題があるようです。その場合は、ExcelVBA を操れば自前で在庫流動化をすることもできます。

在庫の流動化については、いずれ別の機会で紹介しようと思います。

過剰在庫率って何?

 

廃棄ロスを抑えるためには、いわゆるデッドストックを減らすことが不可欠です。なぜならデッドストックは「廃棄予備軍」だからです。

ところでこの「デッドストック」という言葉ですが、私は好きではありません。
薬局には dead ではなく active であっても、在庫過多という状態の品目が生じます。つまり、動きがあるかないか、ではなく、動きに対して在庫は適正か、ということを評価しなければいけないはずです。

そこで私は一般的ではありませんが、不動在庫ではなく「過剰在庫」「過剰在庫率」という言葉を使っています。

過剰在庫の定義は「直近〇か月間の使用実績を超える在庫」としています。〇ヶ月分のところは通常は3か月分、でいいでしょう。

過剰在庫(単品) =( 在庫数 - 〇ヶ月使用実績 )× 薬価

過剰在庫(全体) = 過剰在庫(単品) の合計

そして、

過剰在庫率 = 過剰在庫金額(薬価) ÷ 全在庫金額(薬価) × 100(%)

となります。つまり、在庫のうち〇か月で使い切れない品目(金額)の割合を評価します。そして、過剰在庫率の適正値(目標値)は、

売上げ500万円以上の店舗で「15%」、面応需・500万円以下で「30%」くらいでしょうか。(いずれも私の経験上ですが)

在庫の適正化には、この「過剰在庫率を低減する」ことと、「最適な発注」を両輪とする必要があります。