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調剤薬局の適正在庫って?

 

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先発品、後発品、OD錠、普通錠、一包化用バラ錠、5gチューブ、10gチューブ、経管栄養剤の複数フレーバー、などなど調剤薬局の在庫管理に悩みは尽きないですよね。。。

 

薬局も小売業ですから、最も重要な業務の一つが「発注」だと思います。
この発注業務を効率よくするために、各メーカーから在庫管理システムとか、本部システムとか言われるさまざまなシステムが販売されていますが、金額に見合うほど効率のいいものはなかなかないのではないでしょうか。

調剤薬局の在庫管理の中で、「発注」はテーマとしては避けられないのですが中身がかなり複雑なので、今回は「適正在庫」について考えてみます。

適正在庫を検討する際の指標として、皆さんの薬局ではどのようなものを用いているでしょうか。

最も簡便で信頼度が高いのは在庫日数(在庫月数)でしょう。
算出式は

在庫日数 =  月末在庫金額(薬価)  × 30(日)
 当月調剤報酬薬剤料

で表されます。(シンプルでしょ)

経営的には分子も分母も原価をベースにした方が、より正しく在庫評価をすることができそうですが、そのためにはどの問屋からいくらで仕入れた商品を何錠使ったか(何錠残っているか)などを考えないといけないため、売価(₌薬価)をベースにしておき、経営的に必要な部分では売価還元法で評価するといいと思います。
ということで、ここでは薬価ベースで在庫評価を考えます。

 

在庫日数の意味

 

この計算式で表わされるのは、月末の在庫(金額)はその薬局では何日分の売り上げに相当するか?という指標です。
薬剤料の代わりに調剤報酬全額を充てる方法もあるかと思いますが、これでは処方せん単価の低い薬局が在庫日数も低く、処方せん単価が大きければ在庫日数もより大きくなってしまうため、チェーン薬局の店舗間比較には不向きです。

 

さて、この在庫日数、いくらくらいなら適正と言えるでしょうか?
一言でいえば「経営者が決めた値」ということになりますが、普通は「まずは30日を下回ること」が目標となるでしょう。
なぜか?
それは、在庫日数が30日以上 ということは、1か月で使いきれない(売れない)商品を抱えているが、その商品に仕入れに対する支払いの期限はどんどん迫ってくる!からです。

  

 

新店オープンを想像してみて下さい。

4月1日のオープンを前に需要予測を立てて3月に商品を仕入れます。
薬価ベースで500万円分仕入れたとしましょう。
独立間もないため卸への支払いサイトは1か月だったとします。
4月の売り上げ(薬剤料分)は400万円でした。
5月頭にレセプト請求して口座への振り込みがあるのは6月20日頃の予定です。
つまり、4月末には卸から500万円の請求が届くが、その分のお金が手元に入るのは6月下旬です。しかも入金できるのは500万円のうち400万円で、その店舗は100万円の負債を抱えていることになります。(実際は薬価差益がありますので卸からの請求は8~10数%低くなることと思います)

 

卸から信用のある株式会社の薬局でも支払いサイトは3か月が一般的ですが、サイトが3か月あれば6月20日頃に入金があり請求は6月末なので、資金繰りに余裕ができます。
しかし、それでも400万円の入金に対し500万円の請求はきついですよね。。。

これが、在庫日数の目標は「まず30日を下回ること」になる理由です。

 

次回は、ロス率や過剰率などについても考えてみましょう。