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第1回 薬局業務日誌のデータ化~其の八~

 

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今回は⑥医薬品の分譲データ化と加工です。

 

つい最近、日本薬剤師会(日薬)、日本保険薬局協会(NPhA)、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の三者で「薬局間の医薬品譲渡ガイドライン」が公開されました。

これはC型肝炎治療薬ハーボニーの偽薬が流通してしまったことを受けての対応ですが、日経DIオンラインによると主な内容は

医薬品に関する情報として

  1. 製造販売業者
  2. 医薬品名
  3. 規格
  4. 数量
  5. 製造番号・記号
  6. 使用期限
  7. 医薬品の容器の状態や記載事項
  8. 添付文書などを確認した情報

譲受(譲渡)に関する情報として

  1. 譲受(譲渡)年月日
  2. 薬局名
  3. 薬局の連絡先
  4. 医薬品を渡した(受け取った)人
  5. 相手側薬局の開設許可証を確認した旨

などを書面に記録し、3年間保存すること、となっています。なお、あくまで自主基準(ガイドライン)であり、各薬局でこのガイドラインを踏まえて業務手順書を作成(改定)するように求められることとなりました。

また、このガイドラインはグループ内の薬局間でも書面への記録を求めています。

医薬品分譲のデータ化  

 

ということで、今回は分譲データの集計・加工の手順を紹介します。在庫管理システムも各薬局で様々ですが、なんらかのCSV出力機能があるはずです。ここでは私の薬局で利用している、医薬品卸アルフレッサから提供されている「JustockEX Ⅱ」のデータを利用して説明しますね。他の在庫管理システムも基本的な考え方は一緒ですので参考にしてください。

 

帳票出力機能の譲渡データ出力画面で期間、相手先の指定(原則全て)、抽出薬品(全て)などを指定してCSVファイル出力します。

開いたファイルに次の項目があることを確認します。

譲渡日付、相手の薬局名、受渡区分、医薬品名、メーカー名、規格、分譲数量、使用期限、製造番号記号、など

項目を確認したら、とりあえず全部をコピペしリスト化します。一番最初は項目名もコピペしましょう。

※この時も譲渡日付欄が「日付」扱いとなっているか「文字列」扱いとなっているかを確認し、「文字列」扱いとなっていればコピペをする前に日付に変換しておきます。変換の手順はこちらの記事をご覧ください。

 

pharmalabo.hatenablog.com

コピペしたら次の加工の準備とリストを見やすく処理しやすくするための作業を行います。

加工の準備

コピペした表の右側に3列追加し項目名を参照日付/結合/転記データ、などとしておきます。

リストを工夫

項目名に空欄がないことを確認し、リスト内のどれか一つのセルを選択し、「データ」タブの「フィルタ」ボタンをクリックして、リストにフィルタをかけます。(「挿入」タブの「テーブル」ボタンからリストをテーブル化してもいいですよ)

そのまま項目名の行が見えている状態で、「表示」タブの「ウィンドウ枠の固定」→「先頭行の固定」を選択すると、項目名行が固定されます。

不要な列を非表示にする:前記で確認した項目以外は業務日誌には不要なので、列名をCtrl+クリックで複数列を選択して最後に右クリック→非表示にします。ただし、後々のコピペのためにA列は非表示にしません。

医薬品分譲データの加工 

データを貼り付けたら、並び替えをして数式を加えます。

分譲データの並び替え

譲渡日付列を基準に「昇順」に並び替えます。

数式の入力

 右側に項目を追加した3列に数式を入力しましょう。(それぞれ2行目に数式を入力し、オートフィルで数式を最下行までコピーします)

 ※記号や関数名はすべて半角で入力するものとします。

  また特に記載がない場合は数式中で参照するセルは入力しているセルと「同じ行」のセルとします。

f:id:ashomopapa:20170409154354p:plain 

「参照日付」列:

=IF(譲渡日付セル=譲渡日付セル次行,"",譲渡日付セル)

 ※同じ日付が複数あれば一番下の行から転記すべきデータを参照するための準備

「結合」列:

=受渡区分&”/”&相手の薬局名&”/”&メーカー名&”/”&医薬品名&”/”&規格&”/”&分譲数量&単位&”/”&製造記号番号&”/”&TEXT(使用期限,”yyyy'm”)

 ※分譲データを1件ずつ業務日誌記載用にまとめる

 ※文字や記号や数字が連続するため項目の区切りを示すため半角の「/」(スラッシュ)で区切ることにします。

 ※使用期限は「2020’9」と表記されます

「転記データ」列:

=IF(譲渡日付セル<>譲渡日付セル前行,結合セル,転記データ前行&CHAR(10)&結合セル)

 ※1件ずつの分譲データを日ごとに結合する

 ※CHAR(10) はExcelで「改行」を指定する関数

 

3つのセルに数式を入力出来たら、3つのセルを選択し右下の■をダブルクリックすると、最下行まで数式が入力されるはずです。これでデータの加工ができました。

 

 

※リストをテーブル化しておくと、あるセルに数式を入力するとその列全体に自動で数式がコピーされたりしますので、そっちがいいという方はお試し下さい。(私はなんとなくテーブル化をしない方を選んじゃいます) 

 

次回は業務日誌に反映させるデータをまとめる⑦一覧シートの作成です。